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Yamareco

記録ID: 7896915
全員に公開
アルパインクライミング
大山・蒜山

壁沢登はん〜槍ヶ峰(残雪期)

2025年03月14日(金) [日帰り]
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
06:02
距離
12.1km
登り
1,409m
下り
1,406m
歩くペース
とても速い
0.60.7
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
5:32
休憩
0:31
合計
6:03
距離 12.1km 登り 1,409m 下り 1,406m
5:37
29
6:50
70
8:00
98
9:38
9:40
2
9:42
10:00
3
10:03
10:06
52
11:09
15
11:24
16
11:40
ゴール地点
天候 晴れ。夜中から早朝にかけて冷えていた。
過去天気図(気象庁) 2025年03月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
奥大山スキー場に駐車(スキー場自体は閉鎖中)。トイレは使えません。最寄りのトイレもないので大変です。
コース状況/
危険箇所等
※残雪期の壁沢は雪崩、落石のリスクが高いです。特にこの日は8時半時を超えてから落石が顕著にではじめました。隣の本沢の方がそれらのリスクは多少低いと思われます。

 本沢、壁沢、烏ヶ山蛇谷、三鈷峰北稜、三鈷峰北東面Aルンゼ、滝沢。手帳に書いてあるやりたいルートの中で、この日は壁沢をやることにしていた。直前までは本沢だったが、壁沢基部から写された写真をみて、雪がちゃんと最後までついていたのと、そこからみた槍ヶ峰が手招きしていたので決めた。
 コンディション的にもよかったと思う。残雪期で、夜間の冷え込みもあり、数日間目立った降雪はなし。一番の心配は落石だったので、2時に起床した。
 3時間睡眠のち、4時すぎに家をでる。山よりも一番の心配はトイレ問題だった。奥大山スキー場は閉鎖しており、トイレが使えず、付近にトイレはなく、車で25分かかる奥大山休暇村までいかないといけない。案の定家で大きな方がでず、途中のコンビニでもでなかった。仕方がないので、携帯トイレを持つ。

 5時40分には出発できた。まあまあ。健康の森から入山。トレースがほぼないが、時たま数日前のものと思われるものがでてきたりする。それにしても、はまりこみがほとんどない。手帳を見たら6日間くらい目立った降雪がないみたい。
 当初は1405Pを登って壁沢の基部に行こうと思っていたが、よく考えたら1405Pに行く意味ないし、できるだけ体力を温存できるルート取りを模索した。その結果、鳥越峠にもいかず、その少し西の鞍部に到着する。そこからはキリン沢の東尾根を下ったら、ちょうど壁沢の手前にでるのでこれが最短ルート! と勝手に心の中で小踊りをしていたが、適当に歩いてたら2本くらい東の尾根を下ってしまっていた。その後は細かい修正をしながら、トラバースを経て地獄谷へと帰着する。
 残雪期の地獄谷はほぼ初めて。そもそも積雪期の大山東壁登はんも初めて。振子沢は東壁に入らないだろう。いくつかルート取りはあるが、一番目に壁沢を選ぶ奴はまーいない。ただ、だからこそやる意味があった。壁沢の基部に入った時点で、心の中では「これが今季最後の大山だ」と決めていたと思う。
 すでに左右の斜面の山肌は露出している箇所が目立ち、雪面を茶色に染めている。背中が温かい。東から太陽がではじめている。そういえば背中に温かみを感じる雪山をした経験がほとんどない気がする。冬は北風や西風が強いので、東から登る山というのはあまりないのかもしれない。
 8時半を過ぎると、どこからともなく小石が転がってくる。ただ、大量のデブリの中を歩いている間は安全性が高かった。摩擦力やデコボコのおかげで落石が止まる。以後は中盤までデブリに助けられる。デブリが無くなってからは、頭をほとんどの時間上げながら登はんしなくてはならなかった。前方の遠くから、右側からすごい勢いで落石がある。基本的には左端にくっついていた。長い沢なので、アイゼンの前爪だけに頼っていてはふくらはぎの筋肉を酷使してしまい、疲れてしまう。そのため、ジグザグに歩いたり、あえて体勢を変えて、体のいろいろな部位の筋肉を使って登っていく。
 終盤にくると、落石の心配はないが、斜度があがってきて前爪に頼らざるを得ない箇所が増えてくる。大きなクラックも開いていたが、この日は足休めの休息場になってくれた。すでに斜度は45度である。このくらいの角度は今期、中ノ沢、三鈷峰γルンゼで経験した。ただ、このあと60度近くまで上がることは知っていたので気は抜けない。右手の60センチのピッケルのピックだけではなく、左手に持ったゴルジュハンマーのピックも活躍する。登はん用のピッケルではないので、手先が直に雪の斜面に触れ、体全体も冷たくなってきた。太陽をあてにしていたので、上はドライウェアと薄手のメリノウールの2枚だけである。斜度が急だが、途中でステップをつくり、カッパを羽織ることにした。来季も雪山をやるなら、登はん用のピッケルを買おうと思う。
 背後には甲ヶ山が見え、左には烏ヶ山。東壁からの景色もまあまあいい。何より太陽の暖かさを感じられる雪山は貴重だった。9時42分、槍ヶ峰に到着。車から4時間しか経過してなかった。
驚くほどはまらない。夜にマイナスの気温で冷えていたことと、しばらく降雪がなかったせいかな。
2025年03月14日 06:18撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 6:18
驚くほどはまらない。夜にマイナスの気温で冷えていたことと、しばらく降雪がなかったせいかな。
烏ヶ山は残雪の気配。この風景をみたとき「あ、もう今期は蛇谷はやめとこっかな」と思ってしまった。
2025年03月14日 06:44撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 6:44
烏ヶ山は残雪の気配。この風景をみたとき「あ、もう今期は蛇谷はやめとこっかな」と思ってしまった。
ルート思案。右が鳥越峠だけど、いちいちいかず、左側を登った方が効率的と思いそうした。
2025年03月14日 06:59撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 6:59
ルート思案。右が鳥越峠だけど、いちいちいかず、左側を登った方が効率的と思いそうした。
この鞍部にまずのる。
2025年03月14日 07:13撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 7:13
この鞍部にまずのる。
2025年03月14日 07:15撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 7:15
奥に矢筈ヶ山。
2025年03月14日 07:15撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 7:15
奥に矢筈ヶ山。
ここでルートミス。キリン沢の東尾根を下る予定が、気が付いたらもっと東の尾根を下っていた。ちょいちょいトラバースしてルート調整。
2025年03月14日 07:31撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 7:31
ここでルートミス。キリン沢の東尾根を下る予定が、気が付いたらもっと東の尾根を下っていた。ちょいちょいトラバースしてルート調整。
地獄谷に帰着。詰める。
2025年03月14日 07:53撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 7:53
地獄谷に帰着。詰める。
全層雪崩が起きてすぐ止まってる図。
2025年03月14日 07:54撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 7:54
全層雪崩が起きてすぐ止まってる図。
キリン沢。
2025年03月14日 07:59撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 7:59
キリン沢。
左は壁沢。奥が本沢。
2025年03月14日 08:03撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:03
左は壁沢。奥が本沢。
壁沢の基部より。稜線まで雪がついててほっとする。ちょっと汚れた感じが残雪を思わせる。
2025年03月14日 08:04撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:04
壁沢の基部より。稜線まで雪がついててほっとする。ちょっと汚れた感じが残雪を思わせる。
2025年03月14日 08:04撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:04
太陽が照らし始めてきたので、思ったより時間はないのかもしれない(落石のため
2025年03月14日 08:14撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:14
太陽が照らし始めてきたので、思ったより時間はないのかもしれない(落石のため
落石のあとが見える。
2025年03月14日 08:15撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:15
落石のあとが見える。
2025年03月14日 08:17撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
3/14 8:17
膨大なデブリの跡。しかし、この後落石があったときに、デブリにあたって止まることが多く、この日はデブリに助けられることが多かった。
2025年03月14日 08:19撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:19
膨大なデブリの跡。しかし、この後落石があったときに、デブリにあたって止まることが多く、この日はデブリに助けられることが多かった。
まずは右斜面からの落石のプレゼント。デブリより左にはこないので、デブリの上を進む。
2025年03月14日 08:28撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:28
まずは右斜面からの落石のプレゼント。デブリより左にはこないので、デブリの上を進む。
ここの斜面が落石のスピードも速いのでこわかった。中央の岩の直下までいき、右側を登はんするようなルートでいく。
2025年03月14日 08:42撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:42
ここの斜面が落石のスピードも速いのでこわかった。中央の岩の直下までいき、右側を登はんするようなルートでいく。
午後は落石地獄になるだろう。
2025年03月14日 08:42撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:42
午後は落石地獄になるだろう。
イワカガミと思われる葉っぱがひと時の癒しをくれる。
2025年03月14日 08:46撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:46
イワカガミと思われる葉っぱがひと時の癒しをくれる。
本沢ではなく、壁沢を選んだ意味を考える。
2025年03月14日 08:46撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:46
本沢ではなく、壁沢を選んだ意味を考える。
2025年03月14日 08:50撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:50
中盤になってもたまに奥から落石が転がってくる。
2025年03月14日 08:50撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 8:50
中盤になってもたまに奥から落石が転がってくる。
甲ヶ山も顔をだす。
2025年03月14日 09:04撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 9:04
甲ヶ山も顔をだす。
斜度が上がってくる。奥から落石がいつ落ちてきてもいいように、顔をあげながらの登はん。
2025年03月14日 09:06撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 9:06
斜度が上がってくる。奥から落石がいつ落ちてきてもいいように、顔をあげながらの登はん。
2025年03月14日 09:14撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 9:14
全層雪崩が起きる予感。
2025年03月14日 09:16撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 9:16
全層雪崩が起きる予感。
斜度は45度くらいか。
2025年03月14日 09:18撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 9:18
斜度は45度くらいか。
50度を超えて進むペースも遅くなる。その後60度に到達。
2025年03月14日 09:35撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 9:35
50度を超えて進むペースも遅くなる。その後60度に到達。
すぐ左側が本沢だが、あちらはまだ白くて優美さが残っている。この日はすでに本沢を単独者が登り切っていたらしい。
2025年03月14日 09:40撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 9:40
すぐ左側が本沢だが、あちらはまだ白くて優美さが残っている。この日はすでに本沢を単独者が登り切っていたらしい。
槍ヶ峰には4時間で到着。早かった。
2025年03月14日 09:44撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 9:44
槍ヶ峰には4時間で到着。早かった。
本沢は左にある三ノ峰の直下にでるらしいよ。
2025年03月14日 09:46撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 9:46
本沢は左にある三ノ峰の直下にでるらしいよ。
三ノ沢はデブリランド。
2025年03月14日 10:26撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 10:26
三ノ沢はデブリランド。
どこから降ってきたのか、高さ2メートルくらいのでっかい石塊があった。
2025年03月14日 10:31撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 10:31
どこから降ってきたのか、高さ2メートルくらいのでっかい石塊があった。
三ノ沢左俣ルンゼでも雪崩が起きたらしい。隅っこに雪壁ができていた。なんだか工事現場みたい。
2025年03月14日 10:35撮影 by  TG-620 , OLYMPUS IMAGING CORP.
3/14 10:35
三ノ沢左俣ルンゼでも雪崩が起きたらしい。隅っこに雪壁ができていた。なんだか工事現場みたい。
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