霞沢岳 滑落100m 九死に一生


- GPS
- 12:16
- 距離
- 20.2km
- 登り
- 1,829m
- 下り
- 1,838m
コースタイム
- 山行
- 11:56
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 12:16
過去天気図(気象庁) | 2025年04月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
この日、まさか自分には起こらないだろうと思っていた登山事故が起きた。下山中に陽が落ち、雪が降り積もった沢をトラバースしようとし、沢の中腹でルートを外れている事に気づいたが、ここから尾根に戻れるような取り付きもないので、復帰する為に暫くこの沢を数メートル下ってその先でここよりも正規ルートに復帰しやすい場所があるだろうと判断し、体を谷底に向けた途端に体が滑り始めた。斜面は想像したよりも急だったようで、滑り始めた体は加速していく。ストックを振り回し何とかもがくが、全く止まる気配がない。体に何度か強い衝撃を受け恐怖に支配され、なすすべも滑り落ち何かの拍子で前のめりに滑落が止まった。
ストック、アイゼンとヘッデンが体から消えていた。夕闇迫る山の中ヘッデンなしでこの先進めるのか絶望的になった。ただ幸い形態は胸ポケットにある事と体に耐え難いほどの痛みはない事が確認できた。骨折も出血もしていないようだ。地図アプリで現在地を確認すると予定のルートからかなり左に離れてしまっていた。滑落したその先に川の印がありそれを辿るとその先の予定ルートの舗装路と合流している事がわかった。遭難したら沢を下るな!の言葉が頭を一瞬過ったが、意を決して更に斜面を滑り降りると川に転げ出た。泊まる寸前に右足が雪を深く踏み抜き、それを軸に体が捻られたが捻挫も骨折もなく足が引き抜けた。傾斜も緩くなり川の水量も少ない。月は出ていないが真っ暗闇では無い。下流に向かって川をずんずん進む。途中何度も雪に足を取られ転倒するが、立ち上がり、少し歩いてはまた転倒を繰り返し無心で歩くうちに不意に足元が踏み固められた明らかな違いを体が感じ取った。GPSで位置を確認すると舗装路は近い。すると左前方に灯りが浮かび上がった。それは目指していた旧道分岐のトンネルの灯りだった。戻れたんだと心の底からほっとした。
他人のレコを見て自分との脚力やスキルの違いも検証せずに自分にも行けると慢心し、実行してしまったのが、そもそもの間違いだった。尚且つ踏み抜きが激し過ぎたし急登が予想を遥かに超える過酷さで時間は確実に削られていくものの距離は一向に稼げない。かと言って撤退を決めたとしても、あんな急登を下るにもかなりの危険が伴うと思い前に進むしかなかった。スタートがあと1時間早かったら、ルートも外れず、滑落する事もなかったのではと思う。ただこんな幸運は二度とないと思う。
最悪のシナリオはいくらでも考えられた。それを考えると本当に運が良かったと恐ろしくなる。最近、雪山に対する恐れが麻痺しだしていた。それが今回の事故を招いたんだと思う。今は全身筋肉痛と打ち身による痛みが右あばらの辺りと尾てい骨、それから右腕の辺りに出ていて、日常生活に若干影響が出ているものの、これも今週末位には癒えている思うが、今後の山との触れ合い方はしっかり考えようと思う。
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