春の奥武蔵、アカヤシオと桜に包まれて 名郷−蕨山−有間山−日向沢ノ峰−棒ノ嶺-ゴルジューさわらびの湯


- GPS
- 08:58
- 距離
- 21.8km
- 登り
- 1,884m
- 下り
- 1,957m
コースタイム
- 山行
- 8:12
- 休憩
- 0:46
- 合計
- 8:58
今回はトータル2時間ぐらい遅い感じ
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
平日でしたので空いてました。 帰りはさわらびの湯から東飯能へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はゴルジュ帯ぐらい あとは落ち葉スリップはありますが概ね道も分かりやすく道迷いはしなさそう |
その他周辺情報 | 駅前にコンビニあり。 名郷バス停にはトイレあり。 さわらびの湯にはお風呂あり。 |
写真
感想
春が山を彩り始めると、足を運びたくなるのは、やはり奥武蔵の静かな山々だ。昨年の冬が長く感じられたせいか、今年の春は特に待ち遠しかった。目的は、アカヤシオと棒ノ嶺の桜。そんな単純な動機が、実はこの日の登山を格別なものにしてくれた。
アカヤシオは、春の初めに咲く可憐な花だ。淡いピンク色の花弁が、青空を背景に山の木々を優しく包み込む様子は、まるで春の風そのもののようだった。その美しさに思わず立ち止まり、しばし見とれてしまう。花の命は短いが、その儚さがまた、山の風景に深みを与える。無事にその姿を目にできたことに、何とも言えない安堵と喜びを感じた。
その後、日向沢ノ峰へ向かう道は、視界が広がり、自然の開放感に包まれる場所だった。風が心地よく吹き抜け、空気がすがすがしく感じる。あの瞬間、何か大きな力に抱かれているような気持ちになった。日常の喧騒を忘れ、ただ自分の呼吸と、足を進める音だけが響く。山の中にいると、自然と自分の中の「静けさ」に気づくことができる。
だが、棒ノ嶺に向かう道はそう簡単ではなかった。急な下りが続き、足元を取られそうになることもあった。まるでこの山が「試練」を与えているかのように感じる。下りが長く、道が険しくなるにつれ、次第に暑さが体力を奪っていった。春の陽気といえど、歩き続けるには汗ばむほどだった。
それでも、ようやく棒ノ嶺に到着すると、目の前に広がる景色と、満開の桜が疲れを忘れさせてくれた。一本の桜が、山頂で堂々と咲き誇っている。その存在感に圧倒されつつも、周りの桜はまだ蕾を抱えているものが多く、春の途中に立ち会っているような、不思議な気持ちになった。自然は常に変化し、時を刻みながら、私たちにその瞬間を与えてくれる。
夕方、下山の道を進みながら、次第に空がオレンジ色に染まり、山の景色も変わりゆく。夕闇が迫り、沢沿いに咲く花たちがひっそりと美しい姿を見せる。花々は、まるで静かに私を呼び寄せるように、足を止めることを誘う。その誘惑に心が揺れたが、最後には山を下りるという現実を思い出し、足を進めることにした。どこか名残惜しい気持ちを抱えながら。
途中、有間の湧水に立ち寄った。少し疲れた体に、ひんやりとした水が染み渡る。その水が、パイプを通って流れ出す様子が、なぜかひときわ不思議だった。水は一度地面に落ち、再びパイプに戻ってくる。どうしてそんな風になっているのかはわからないが、自然の中にあるこうした小さな謎が、私たちを魅了するのだろう。
春の山歩きは、何か心に残るものを与えてくれる。アカヤシオの花、一本の満開の桜、夕暮れ時の沢の花たち、有間の湧水──これらすべてが、静かな時間の中で私を包み込み、ひとときの安らぎを与えてくれた。山は、私たちに多くのことを教えてくれる。時に厳しく、時に優しく、そのすべてが、心の中に深く刻まれる。
この日、歩いた道をまた歩きたくなるだろう。春の山が、次にどんな表情を見せてくれるのか。そう思いながら、私はまた歩き出すことを決めた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する