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http://www.yamareco.com/modules/diary/19423-detail-81054
雲取山から歩くと、その距離は18km弱に及ぶ。
日帰りの行程としてはともかく、連泊の中の行程としてはかなりの距離で、
実際に前泊した奥多摩小屋からかなりの時間を要した。
そうして辿り着いた雁峠山荘は、ひっそりと静まり返っていた。
この山行を計画した当初から訪れようと思い、
あれこれと調べてみるものの、記録はほとんどなく、
加藤氏が去って以来、小屋は長年放置され、
宿泊場所としてまったく機能していない。
おまけに幽霊が出る、などという噂すらあった。
16時近くということもあってか、
林の中にある雁峠山荘は薄暗く、破れたカーテンの隙間から
2階の部屋の中が見えるものの、中の見通しまでは分からなかった。
もしビバークに堪えない状態であれば、
すぐ近くの笠取小屋でテン泊するつもりではあったが、
ぼくは加藤氏がひと時紡いだ
「自然と人間を信じた山小屋」(著書より引用)の面影をどうしても感じたく、
傾き壊れかけた小屋の扉を引き開けた。
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扉の高さは身長178cmのぼくには非常に低く、
屈まないと入ることができない。
おまけに、扉は50cm程しか開かず、
ザックを担いだままでは通り抜けることもできない。
まずは身体だけ中に入り、ザックをあとから引きずって連れて入った。
入口すぐの土間は地面むき出しで、
脇には鹿が木の皮を食い荒らすことを防ぐためのネットが置いてある。
つまり、現在は誰の管理下にもないものの、誰かが物置場として使用している。
奥の部屋はかつて休憩所だったらしく、古びた木の机と椅子が置いてある。
やはり地面がむき出しで、ビバークには向かない。
入口の右手には頼りない木造の階段があり、2階へと続いている。
「2階は土足禁止」との張り紙があり、
階段の下にはボロボロのサンダルが2足置いてある。
ザックを担いだ状態だと重みで壊れるのではないかと思い、
抜き足差し足で階段を上がると、2階。
2階の階段の脇は板敷の床で、10数人は宿泊できそうな広さだ。
埃臭い布団やら、シュラフやら、その他よく分からない物やらが散乱している。
階段の正面には引き戸があり、手をかけてみるが、
建物全体が傾いているので、ガタガタと音を立てるばかりでなかなか開かない。
戸を上下に揺さぶりながら、かなりの力を込めて開け、中に入る。
そこは茣蓙敷きの床で、先の部屋よりも一回りほど狭い。
布団やら、シュラフやら、ヤッケやらが部屋を通してある紐に引っかけられ、
隅に食器や薬缶が置いてあって、割と整理されている。
どうやら、ここが加藤氏が滞在していた時の管理人部屋だったようだ。
ぼくはこの部屋にザックを置いた。
(後篇)
http://www.yamareco.com/modules/diary/19423-detail-81253
続きが気になります
コメントありがとうございます。
拙文ではありますが、続きを書きました。
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