雲上の温泉泊りで硫黄岳〜横岳稜線
- GPS
- 28:15
- 距離
- 17.1km
- 登り
- 1,510m
- 下り
- 1,578m
コースタイム
【26日】5:50本沢温泉-6:45夏沢峠(6:55まで休憩)-7:55硫黄岳山頂-8:20硫黄岳山荘(8:45まで休憩)-9:10台座の頭-9:30横岳山頂-9:45三叉峰-10:20二十三夜峰-10:30地蔵の頭(10:40まで休憩)-11:30行者小屋(12:00まで食事休憩)-13:35美濃戸(13:55まで着替え・身支度)-14:35美濃戸口バス停
天候 | 25日晴れ、26日晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
【帰り】美濃戸口バス停からJR茅野駅下車(アルピコ交通) |
コース状況/ 危険箇所等 |
【みどり池入口バス停〜しらびそ小屋〜本沢温泉】危険を感じたところなし 【本沢温泉〜夏沢峠】危険を感じたところなし 【夏沢峠〜硫黄岳山頂】森林限界を越えてからはがれ場が続く。落石、浮き石に注意しながら、佐久(東)側は火口壁になっているので登山道を外れないよう慎重に行動した 【硫黄岳山頂〜硫黄岳山荘】危険を感じたところなし 【硫黄岳山荘〜地蔵の頭】クサリ場、はしご多数あり。技術的にはそれほど難しくないと思うが、下を見ると高度感のある切り立った稜線を通過する区間で、三点支持をしっかり意識しながら慎重に通過した 【地蔵の頭〜行者小屋】地蔵尾根の上部は高度感のある急斜面。登山者の多いコースなので落石には注意した 【行者小屋〜美濃戸】危険を感じたところなし 【美濃戸〜美濃戸口】アカウシアブらしい大型のアブがまとわりつき、肌の露出部分をさしてきた。虫よけスプレーなど対策が必要かと思われる。ハチと違い命にかかわるダメージはないが、どこまでも追いかけてくるので厄介 |
写真
感想
日本最高所の露天風呂、埼玉の自宅から遥かに望む八ヶ岳核心部の縦走、この時期にしか見られない高山植物の一石三鳥をもくろんで去年8月以来の八ヶ岳へ。
JR小海線小海駅からバスでみどり池入口に到着、1日目は本沢温泉を目指し登山口をスタートする。埼玉の自宅を出たときは小雨模様だったが、ここでは日が差している。最初はカラマツの人工林、高度を上げていくと北八ヶ岳特有のバットぐらいの太さの針葉樹林帯に入る。登山道には森林軌道のレールが残る。
2000メートルを超えると登山道は平らになり、みどり池のほとりに建つしらびそ小屋が見えてくる。小屋の前のベンチでコッヘルを出し、昼食の準備にかかる。昨年7月に天狗岳に登った時もここを通過したが、その時は見えなかった天狗岳がみどり池の向こう、ガスが晴れて姿を見せてくれた。さしずめ池の借景のような美しさ。
昼食を食べ終えて出発。再び針葉樹林帯に入るとほどなく分岐。右は中山峠、本沢温泉へは左に行く。小さな湿原を通り過ぎ、樹林帯の少し空が開けた小さな流れのほとりにクリンソウが群生している。盛りは過ぎているが、花は残っている。高度を上げ小さな尾根を越えて降りていくと、本沢入口からの林道に合流する。右に進路をとり林道を行くと本沢温泉に到着。チェックイン、部屋に入って荷物を置く。
定員20人の広間だが、平日とあって、部屋には自分のほかに1人。おかげで広々と使わせていただく。荷物を解き、さっそく日本最高地点の露天風呂へ。登山道を夏沢峠に向けて登り分岐から河原に降りると、源泉がわき出ているところに湯船を設置しただけの野趣あふれる露天風呂がある。標高2115メートル、3人も入ればいっぱいのこじんまりした湯船だが、振り仰ぐと頭上に硫黄岳の爆裂火口がのしかかるように迫る。先に入っていた人たちに声をかけ湯船につかる。ちょうどいい感じのお湯加減。肩までつかって温まり、上半身だけ上がって風に吹かれる。う〜んこれは気持ちがいい。
宿に戻り、今度は内湯につかる。せっけん・シャンプーは禁止だけれど、山で風呂に入れるだけで十分。風呂から上がってもまだ外は明るい。行動食をアテに、宿の中庭で持参した焼酎をちびりと飲む。見上げれば爆裂火口、風の音、鳥の声を聴きながらの一杯はなんともぜいたく。
食事をとり8時に就寝、翌朝は4時半起床。朝食を済ませ身支度、夏沢峠に向けて歩き始める。空にはガスが西から東へ速いスピードで動いていて、出発間際に雨がぱらついたので雨具を着込んだが、高度を上げるにつれて日が差してきた。雨具を脱いでほどなく夏沢峠に着く。風が強い。ここでヘルメットを装着、硫黄岳への道を登っていく。
森林限界を超えるとがれ場が広がっている。ガスの合間にさっきまでいた夏沢峠の山小屋、そこから降りたオーレン小屋が眼下に見える。風は相変わらず強く、バランスを崩さないよう頂上に向け高度を上げていく。ガスで視界が利かない。左の火口壁に近づかないよう、ガスの中にぼんやり見えるケルンを目印に行くと平らな石が広がる開けた硫黄岳山頂に飛び出した。相変わらずのガスガス。しかしとにかく硫黄岳山荘までは行こう。コンパスで方向を見定め、ケルンを頼りに登山道を行く。
さっきまでとは逆に西(諏訪)側が落ち込んでいるが、要所はロープが張ってあるので不安はない。コマクサ、チシマギキョウ、オンタデ、キバナシャクナゲといった花を見ながら行くと、すれ違う横岳方面からの登山者が増えてきた。平日といえど登山シーズン、さすがは人気コースだ。
硫黄岳山荘が左側に見えてきて、登山道に面した祠の横で休憩をとっていると、ガスが晴れ始めた。今降りてきた硫黄岳、その左の赤岩の頭に至る稜線が見えている。よく見ると赤岳鉱泉方面から登山者が続々登ってくるのが見える。
軽食を取っていよいよ横岳方面へ。目の前のなだらかで大きな山体は台座の頭か。斜面に取りつき高度を上げていく。山頂に向けてトラバースする登山道、ネットで仕切ってある斜面の上も下も一面のコマクサ。これは壮観だ。
台座の頭に上がると、目の前、塔のような岩峰が天を衝いている。ここからが横岳の核心部だ。心を引き締めてまず左に回り込むように細い尾根を上がっていく。右に大同心の岩峰を見ながらクサリ場、鉄の桟道を通過して横岳山頂。初めての2800メートル越え。残念ながらガスで視界はない。
山頂標識を撮って先へ。ハシゴ、ナイフリッジ、オーバーハングした岩の下の狭い岩場と、難所を通過していく。三叉峰を通過、下を見ないよう、登山道の先と手元、足元、踏み跡だけを見てとにかく先へ進む。二十三夜峰の標識を過ぎ、登山道の右にお地蔵さん。横岳を無事に通過したらしい。ほっとして張りつめた心がやわらぐ。しばし休憩。目の前には赤岳の雄姿が迫るはずだが、山頂はガスの中。赤岳まで行く予定だったが、疲労を考慮。山頂アタックは次回に取っておくことにして、行者小屋へと地蔵尾根を降りていく。
樹林帯に入るまでは崩壊の進んだ荒涼たる風景が続く。いくつかの階段を降りていくと樹林帯、登山道の傾斜が緩やかになってきたと思うと間もなく行者小屋の横に出る。お昼時で中学生らしい集団、登山者たちがめいめいに昼食をとっている。空いているテーブルを探してバーナーとコッヘルを取り出し昼食。今日はリフィルタイプのカップ麺。見上げるとガスはすっかり晴れて横岳、赤岳、阿弥陀岳、八ヶ岳の核心部分をなすピークがずらり居並んでいる。壮観だ。できれば上にいるときに晴れてほしかったけれど。
時計を見ると正午5分前。美濃戸口バス停午後2時45分発のJR茅野駅行きバスに間に合うか微妙な時間だが、下山を急ぐことにする。登山道は沢沿いで、所々水のない河原を通るが踏み跡がしっかりついている。この時間帯になっても登ってくる登山者は多い。沢を何回か徒渉して登山道をどんどん降りる。沢に懸けられた橋を渡って、コンクリートの堰堤を越えると、美濃戸登山口に出る。
ここから美濃戸口までは自動車道。地下足袋をランニングシューズに履き替えて美濃戸口へ向かう。茶店、売店、駐車場の集まった一角に差し掛かると、右手に痛み。大型のアブが腕に止まって刺している。振り払うが、何匹もまとわりついてくる。美濃戸口へ車道を下っていくが、申し送りでもあるのか、どこまで行ってもまとわりついてくる。半そでに着かえたのは失敗だった。腕を大きく振ってなるべく刺されないようにしながら下っていく。前方の林の中に建物が見えてきた。八ヶ岳山荘だ。広い道路に合流すると美濃戸口バス停は目の前。2時45分発のバスに間に合う。やれやれ。
天気が心配な2日間だったが、まずまずの天気に恵まれた。ガスで展望は今一つだったけれど、横岳の岩稜を怪我することなく越えられて、自分としては満足のいく山行になった。次こそは赤岳に挑戦したい。
junyoさん、お疲れさまでした。
このルート、いいですね!
八ッは大体美濃戸から鉱泉の周回ばかり、
一昨年はピラタスから編笠まで
(悪天候でオーレンから美濃戸敗退)
の縦ルート(?)だったので、
本沢ルートは新鮮に感じました!
そう言えば大昔、この温泉も入った記憶が…。
赤岳ばかりがクローズアップされる山塊ですが、
このルートは温めておきます。
ちなみに首都圏からですか?
でしたら申し訳ないのですが、
電車時刻等、お教え頂けると助かります。
またこのような穴場ルート、お願いします!
計画では赤岳まで行ければ、と思っていたのですが。
地蔵の頭でかなり疲れを感じたので、美濃戸に降りてしまいました。
埼玉在住ですので、
熊谷7時31分発長野新幹線〜佐久平8時21分着、佐久平8時30分発小海線小淵沢行き〜小海9時17分着
という行程でした。
ちなみに帰りは
茅野15時50分発の新宿行き特急あずさに乗車しました。
ご参考になれば幸いです。
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