しかしあなたのまだ知らない音楽があるとしたら──
この映画は無音であり、言語は手話である。耳の聞こえない聾者(ろう者)たちが自ら「音楽」を奏でるアート・ドキュメンタリーだ。楽器や音声は介さない。彼らは、自身の手、指、顔の表情から全身に至るまで、その肉体を余すことなく駆使しながら視覚的に「音楽」空間を創り出していく。
出演者は国内外で活躍する舞踏家から、演技経験のない一般の聾者まで多彩な顔ぶれが集まる。彼らは各々に「音楽が視える」と語り、「魂から溢れ出る“気”のようなもの」から「音楽」を感じるという。複数の手話詩を交えながら「四季」を表現する初老の男性、木々のざわめきの中で風を歌う少女、波打つ浜辺で魂を叫ぶ女性、親密な愛情を共鳴させる夫婦……。
手話言語を通じて日常的に熟達した彼らの身体表現は、「音楽とは?」という問いのさらに奥深く、人の内面から滲み出る内なる“何か”へと迫っていく。
(映画紹介より抜粋)
鑑賞前の印象では聾唖者の方が頭の中に流れる音楽を音では無く身体で表現した演出形式の映画と思っていたのだが音楽そのものというよりは手話(手だけに限らず表情やボディランゲージを含む)の心地よさや心の動きを翻訳するような狙いで製作されたものらしい。
製作側にプロの舞踏家(彼自身聾唖者)の方がいるためある程度の演出はあるとは思うが日常的に手話を使用している方たちだけあり指の動きが繊細かつ滑らかで、全身を使った表現により彼らが作り出す音の出ない音楽を探り出すことに夢中になれる。
カンヌで話題となり昨年日本でも公開された『ザ・トライブ』も全員聾唖者の役者さんによる全編手話のみで構成された映画、こちらは結構エグめなので興味がある方は心の準備を…
他に、演じているのは役者さんだが2015年のフランス映画祭で話題になった『エール!』や高峰秀子主演の名作『名もなく貧しく美しく』も同テーマを扱った必見作。
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