窓の外を見る、快晴である。湯ノ丸山へ行こうと思った。
湯ノ丸山は浅間連峰の初心者向きの山である。
外へ出て山の方を見ると、山頂付近は雲がかかっている。この辺の山は、午後になると雲が無くなることが多い。予報は晴れなので、雲が無くなることを期待して車を走らせた。
土曜なので、スキー客が多く、駐車場は数台の空きがあるという状態だった。
地蔵峠から歩きはじめ、キャンプ場でワカンを装着した。山は相変わらず雲の中であった。
雪の樹林の中を歩むと、不思議な感覚になる。感覚が研ぎ澄まされるのだろうか。微かな音にも敏感になる。
無音の雪面を、黙々と歩む。鐘分岐までは、すごく歩きやすかった。
鐘分岐から湯ノ丸山の上りにとりつく。前方は雲の中。亀さんペースで歩を進める。
頂上近く、全く視界がきかなくなった。
ひたすら足元の足跡をたどって前へ進んだ。跡があるというのは本当にありがたい。
頂上は無人で、視界ゼロ状態であった。
風を遮れそうな場所を探し、熱い湯を飲んだ。湯が体の芯を温めてくれた。暫くいると、大人数のパーティーが登ってきた。私は入れ違いに下山を始めた。
皮肉なもので、鐘分岐まで下ったら、陽が差してきた。前方の上空には青空も見えた。
良い時もあれば、悪い時もある。
「雪の中を、ゆっくりと歩けた。今日はそれで満足としよう」と自分に言い聞かせながら、駐車場への帰路についた。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する