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2012年08月21日(火) 〜 2012年08月22日(水)
8/20 17:00とよぬか山荘
8/21 3:00とよぬか山荘＝（シャトルばす）＝3:50第一ゲート3:55〜5:30取水口5:50〜7:45幌尻山荘8:10〜9:40命の水9:50〜11:30幌尻岳山11:50〜13:17命の水13:25〜14:31幌尻山荘
8/22 幌尻山荘5:00〜取水口6:43〜8:07第一ゲート8:30＝（シャトルバス）＝9:20とよぬか山荘10:00＝ビラトリ温泉＝倶知安
馬鹿なNRCのパソコンが書いた文章を突然消してしまった。書き直す。
平取町の問い合わせ先は幌尻岳のホームページから。
*準備
1）幌尻山荘の宿泊予約（1泊1500円振り込み）平取町山岳会
2）シャトルバスの予約 往復3000円
バスの運行時間 3:00 4:00 7:00 10:00 12:00
帰路 4:00(7.8月）5:00(9月）8:30 11:30 17:00(7・8月）16:00(9月）とよぬか山荘駐車場での車中泊もできるがトイレは外にない。
とよぬか山荘宿泊代5000円。
午前3時のバスに乗れば日帰りも可能。
林道は北海道電力の管理。自家用車の事故に対応できないところから利用の制限をしている。ゲートがあるのはそのため。シャトルバスの予約をすることをお勧めします。
詳細は平取町山岳会にお問い合わせください。
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この山への思いは深い。昭和39年(1964年）に深田久弥の「日本百名山」が出版されて、初めてこの山をして以来、憧れ続けていた山である。
北海道はとおかった。91座を終えて北海道のみを残す段階になっても、北海道に行く気になれなかったのは、山が大きくて登れるだろうかという不安であり、その先頭にこの山の額平川の渡渉の怖さがあった。
でも実は、これは私が深田の本を読み違えていたことにもある。深田久弥が取ったコースは新冠コースであってここではない。その文章の中に川を渡渉する「一物をぬらすにいたって観念した」というくだりが頭にしみこんでいて、渡渉のすごさにたじろいでいたのだ。
しかし今年67歳、最後のチャンスだろうと決心し、最初の登山を幌尻にと決めて計画したが、8月17日にとよぬか山荘に来て見ると、前日の雨で遭難騒ぎになっており、17日はシャトルバスが運行されないことになった。幌尻山荘の予約が21日なら取れるとのことで変更する。ここで予定が大きく変わったのだ。道東の天気がよいとの予報をあてに阿寒、斜里、羅臼に行き、20日の夕方とよぬか山荘に再び来て、一泊する。
8月20日 午後五時に羅臼町から戻ってきました。
このとよぬか山荘は元とよぬか小中学校の校舎のあとです。ここが教室の2室かな2段ベッドの宿泊施設になっており、他は食堂や談話室などになっている。幌尻登山のシーズンだけに運営されているが、予約が取れないことが多い。今回のように天気の具合でハプニングが起こる。玄関口の脇の食堂で、夕食のジンギスカンを頂きます。食後に談話室に行ったら、大阪からの、4、50代の二人いて、同室になりました。この二人は日帰り予定だと言います。
早くに寝ました。午前3時のバスに乗り込むのです。
8月21日
幌尻小屋へ
明けて21日午前3時のシャトルバスで向かう。団体さんが宿泊していたが、翌朝7時のバスだという。3時のバスには7人が乗り込んだ。真っ暗な林道を50分走り、第一ゲートと以前呼んでいた場所に着く（3:50）。この先は車は入れない。ここから取水口まで林道歩きだ。
まだ暗い中身支度を整えて、4時前に林道を歩き出す。一人の若い人は日帰りのようで消えていなくなった。約5キロの道だ。
暗い中ライトを頼りに黙々と歩いていく。車で取水口までは入れたら、どれほど楽になることか。取水口に着くと朝だ（5:30）。車が一台あった。山荘が用意したおにぎり食べて腹ごしらえをし、ここで渡渉のできる準備をする。
山荘から長靴に履いている。ここでは雨具のパンツを穿く。パンツの裏地にメッシュがあったのが、後で失敗となった。長靴に雨具のパンツを上から履けば、水は入ってこない。そのつもりでいた。他の人はどうしたかは見ていなかった。
5:50分に歩き出して、この登山道はきちんとした道であることに驚いた。最初から河原歩きだと思っていたが、これは登山道である。渡渉の準備は渡渉するところまで行ってからでも間に合う。
最初の渡渉は浅いところを選んでいたが、長靴が滑らないことが判るに及んで大胆に川の中を歩いた。流れの勢いが思った以上に強い。これだから腰まで水が来たら身動きできなくなるかも。先日の遭難騒ぎの話を聞くとまさにそうであった。
最初は道がついていたが、沢にでて、渡渉をすることになる。朝が明けているので気持ちはいいが、やはり緊張する。沢の岩に赤くマークがあるので、それを外さないように渡渉を繰り返す。やはりストックは必要だ。しかしこの渡渉がこの山の醍醐味であって一番面白い。滝が左に見えると道の中間地点になる。
左右の岩場を上り下りする部分もあるが、比較的わかりやすい。私は徒渉回数がそれほど多いとは思っていない。途中でビデオがおかしくなったり、小型カメラが使えないことになって、トラブルが起きて渡渉の回数を数えるところではなかった。ビデオの画面に出たマークはバッテリー切れではなくて、SDカードに空きがないというマークだった。それに気づいて小型カケラのSDカードを入れて変えて、撮り続けることができたのだけど、それに気づくのが遅れて、渡渉場面を後半撮り損ねた。渡渉の場面の醍醐味を表現できないのが何よりも悔しい。その意味でもう一度チャレンジしたいと思っている。最後に山荘の手前で徒渉して小屋に到る。
糠平の沢を辿って幌尻の山荘に着く夢ではなしに
山荘の前でビデオを撮る。自分で感動していた。写真で見た三角屋根の小屋だ。この沢の渡渉コースが想像以上に危ういものと思っていたので、過ごしてしまうと、「おお、何とかなる」みたいな安心感を得た。小屋への階段上り、戸をあけて顔を出して、「今日は」と声をかける。小屋番が顔を見て、名前を聞いて宿泊を確認する。
荷物は部屋の外に決められた場所に置くように指示される。荷物は置き場があるので、大半のものはそこにおいて、食料と水と雨具だけナップサックに入れて山頂を目指す。小屋の周りには、宿泊者たちがいたが、帰る客でにぎわっていた。
山頂へ
小屋の右手から登山道に入る。一本道のひたすら登りの道だ。命の水まで休みなしで一気に歩く。1時間半、休まずに歩くと、道端に『命の水』と書いてある小さなプレートがあって、左の細い踏み跡を少し降りると水が流れ出ている。水場の先にテント一張り分のスペースがあった。水を詰めてから再び痩せ尾根の苦しい登りが続く。這松が現れてくると、左手に戸蔦別岳が見えてくる。ここまで来ると気分一新である。
1800ｍ位の高度に出ると幌尻岳が見えてくる長い稜線の一角にたどり着いたことを知る。でもそこから山頂まで1時間近く歩かねばならない。見るだけで山頂は遠いのだ。そう感じさせる。
稜線に抜け出た刹那目にみたり憧れていた幌尻の嶺
見下ろせば広がっている幌尻のカールは深く水を走らす
稜線の道つづくなり幌尻の頂越えて戸蔦別へと
北のカール
2000mに近い稜線は円を描くように幌尻岳につながっている。左手下に北カールが広がる。
雨が降るとこのカールに戸蔦別の分まで全部集まって額平川に流れ込む。それで一気に水嵩が高くなるのだ。それで17日に来た時の様な遭難騒ぎになるというのだ。ここから取水口まではわずかな距離だから降水してから1時間もしないうちに増水する。この川は平取町の平地に出ると大河になる。ほんとに侮ってはならない。
登山道の脇にお花畑が広がる。7月であればどれほど美しいことか。時期は遅く空の色は秋だ。急な登りもなく一歩一歩進んで、幌尻の山頂に着く。
幌尻岳の山頂へはゆっくりと近づく。三角点があり、写真で見ていた山頂の表示版がある。先行したとよぬか山荘で同室だった二人が私より30分以上早くに到着していた。私と入れ替えに下っていく。山頂を譲ってくれた。二人は今日中に帰ると言っていた。
空高くイヌワシと白鷹が舞う幌尻の頂に立つ夏の終わりに
半世紀名を慕っていた北海の日高の嶺に我来たり今
下界から目にすることのできぬ山幌尻の嶺我登りたり
山頂で私は感激のひと時を過ごす。やっとこれたという思いが込み上げてくる。
これが幌尻岳の山頂、やはり憧れ続けていただけに、山頂に立てた感慨はひとしお深いです。もっと若くに挑戦していたらと思いますが、この歳にして登っているから良いのでしょう。深田久弥はここで小石を記念に持って帰っている。私も持って帰ればよかったのに。次回があればそうしたい。
戸蔦別岳の吊り稜線。あの反対側に七つ沼カールがある。深田久弥は新冠川から入って七つ沼カールにテントを張って、幌尻岳に登っている。私たちが今利用している道は、比較的新しく開発されたのかもしれない。名残惜しいホロシリの稜線が雲に覆われてきた。もともとのアイヌ語の山名はホロシリだと思う。シリは山を意味するのでは、思ったりもする。
七つ沼のカールを見るには30分歩かないといけない。もはや七つ沼カールを見に行く気力はありませんでした。ここは小屋に2泊しないと戸蔦別へはいけません。それに北戸蔦別からの下りを見ると恐ろしいです。ひざが持つか心配になります。今回はほかの人たちと同様に山頂を踏むだけで満足することにしました。もう普通の登山者と変わらないのだとつくづく観念しました。戸蔦別岳に回遊するという案はもう途中ですでに放棄していたのです。山が大きく、今の私には山頂を踏むだけで満足です。齢67、どこまで元気でいられるかわからない。次回があれば、小屋に二泊の計画で挑戦したいものだ。
山頂に残っていた男性が上空を見ながら、ここにはイヌワシが生息していて、今飛んでいるのがそうだという。雲のでた上空に3羽の大型の鳥が舞っている。一羽イヌワシで一羽ハクタカであるという。タカもワシも区別がないほどに大きいのだ。翼を広げると2m位になるという。ビデオにはとらえられないので、一緒に上空を見ていた。その人と一緒に下った。バスで一緒だった夫婦が遅れて登ってきた。
2人で、命の水まで下り、一息入れてから小屋まで一気に下る。下りもきびしい。小屋に着く前にビデオのバッテリーがついに切れてしまった。もはやビデオもカメラも尽きてしまう。ああ何たることかと、がっかりするけれど、ここまでビデオ撮りができてよかったと自分を慰める。
このコースはさほど難しいところはなく、ただひたすら歩くだけである。稜線に出て幌尻のピークを見ると感動するが、ピーク自体はとんがって居たり、急登があるわけではない。
幌尻岳山頂
ただ山容が大きいのと、幌尻小屋へのコースが浪漫を掻き立てるのだ。
山頂から幌尻山荘まで2時間半ほどで下った。
幌尻山荘の前庭にはブルーのシートが拡げられていて、その上で登山者は休息を取り、また食事の用意などをする。ベンチにすわって他の登山者とおしゃべりして夕刻を待つ。ここで熊本から来たグループのリーダーと知り合う。明日5時に下るというのでご一緒させてもらうことにした。
一緒に下ってきた方や最後のご夫婦のいるブルーシートで夕食を作る。
最後に登ってきた夫婦のご主人は70歳で、2年間で百名山を60登ったという。山仕事を以前やっていたという。タフだ。
77歳の人もいたし、高齢者が多い。ツアーが二組、明日下るツアーと登るツアーとがいた。だから山荘は満員なのだ。
私より先に下った二人は山荘を予約していなかったので、そのまま夕方の最終便に間に合うようにと下って行ったという。40代と50代の大阪の人だった。
夕食を済ませて、小屋に入ると、小屋番さんが一人一人寝る場所を指定する。私は台所の一部に足を突っ込んだスペースで、なんとも言いようのない場所だった。できればもう少しゆったりしたいが、シーズンだから無理か。
午後6時からシュラフに入って寝てしまう。こんなことは今までではじめてのことだろう。
翌朝3時30分に目覚めて、下山の準備をする。
例の夫婦は4時過ぎに出て行った。私は外で朝飯用のパンを食べてから、下る準備をした。ちょうど熊本のグループに一緒に夜の明けた山を下ることになった。
この山岳会は熊本合志山岳会というのだそうで、8名で来ていた。24日後志羊蹄山、雌阿寒岳に明日登るという。
「後ろにくっ付いて行きますけどいいですか？」というと、リーダーの人が、
「いいですよ」と言うので、私はグループの最後について歩いた。
私の前の男性が盛んにカメラで写真を撮っているので、この人の写真を借りようと思った。その人にわけを話して写真を使わせてもらうことの了解をいただく。それが今回の下山時の写真として使わせていただくものになった。大勢でいると渡渉もにぎやかである。
渡渉の状況
おかげで私に姿もこのように。渡渉をする写真が残せてとても参考になると思います。ビデオ撮りの時は人がいなかったので、いい絵にはなってない。
膝下、膝上くらいの深さである。ただこれが雨の跡だと腰から胸までになり身動きが出来なくなる。またマークを見失うと渡渉箇所を間違えて危険になる。
後日聞いた話だが、女性3人のパーティが赤マークを見失って深いところばかりを渡っていたという話を聞いた。赤ペンキと赤布をしっかり探すことが大事。みなさん余裕の表情で、けっこう楽しんでいました。
渡渉の連続する個所が途中にありまして、そこが緊張するところでしょうが、それを過ごすと、道はしっかりついています。へずりの部分もあります。取水口に近づくと大きな岩の個所を通過する。
取水口に至るまでに登ってくるツアーやグループの登山者に何組も出会った。人気のある山なのだ。天気さえよければまた来られると思った。渡渉も慣れてしまえば面白い。
小屋を5:00に出て1時間45分ほどで取水口に着いた。
ですから、取水口には意外と早く着いたので8時半のバスに間に合うと林道を急ぐことにしました。
林道をみんなで競争するように歩きましたが、先頭を歩いたIさんが、バスの時間を8時と思い込んで飛ばしました。下りは走ったと言います。おかげで余裕の到着になりました。無事バスに間にあいました。バスは8時半なので十分間に合った。
私は深田久弥がこのコースをとったと思い込みしていて尻込みしていたのだが、それは間違いであった。もっと早くに気づけば、恐れずに済んだかもしれなかったのにと思う。
1回で登れる人は運がいい。だいたい2回目、3回目で登れた人が多いという。私も2度目で登れた。
下山後、私はビラトリ温泉に行く。私は比布町の知り合いのところへ行く予定でいたけれどビラトリ温泉は苫小牧方面に30分も走ったところにあった。それで方針を変更して、後志羊蹄山に行くことにしたのだ。最後にこの山を詠んだ歌を見つけられずにいる。百名山短歌を収集して、この山とトムラウシだけは見いだせないでいる。
この標高の山を関東に考えれば、雲取山や女峰山などの�發気畔僂錣蕕覆い發里世�、山の規模が違うのだ。それだけで難易度が変わってしまう。北海道では2000ｍクラスの山は3000ｍ峰ほどの貴重性がある同時に、難しさもあると思う。
百名山登山を詠う８ 幌尻岳
午前３時のシャトルでも日帰りかなわぬ幌尻の峰
若者が日帰りをめざしてかけるながき林道
先を行く人追いつつ渡渉するストックついて深さをはかる
膝までも水にしたりて渡渉するその回数を数えて歩く
山荘の姿を見つつ渡渉する山の奥きて更に色濃し
小屋番に挨拶をして宿泊の予約確かめ一息をつく
幌尻の道に挑めば急にして「命の水」まで休み場所なし
幌尻の頂に立つその一念日高の奥に二千の高さ
左手に戸蔦別ありその底に水を集めるカールひろがり
尾根道の一段高き尖りをば幌尻岳ととらえたり
白鷹の舞う山頂に遂にきれどもはやここまで前に進まず
急峻な北戸蔦別の下りをば目にして挑む気力失せゆく
歳だ歳観念せよと言いかす幌尻岳より引き返すわれ
正面の戸蔦別岳の吊り稜線七つ沼のカール次にみるべし
名残惜しいホロシリの稜線が雲に覆われてきた。
もともとのアイヌ語の山名はポロシリと呼ぶ大きい山
ポロシリに名残惜しむや稜線の一場の終わり雲の降り来て
小屋番に一夜の寝所指図され幌尻恋する人の多さよ
（八十までにあと5年）
ひと夏を北の大地の山巡りかなえばわれの生に悔いなし
時やいつわが魂の昇りゆくあさに咲けるか竜胆の花
人生の終る朝来て浮かべるは幌尻岳に舞える白鳥
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