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2021年03月16日 15:29日本百名山の短歌全体に公開

短歌で詠う百名山 10 岩木山

   みちのくコザクラ     山頂の奥宮で     山頂からの夜景 

短歌百名山10 岩木山   
津軽海峡を越えて奥羽地方の山に移る。最初の山は岩木山である。津軽富士とも呼ばれる山だ。深田久弥はは、石坂洋次郎氏の初期の短編に『お山』と、津軽と言えば太宰治の「津軽」からこの山の紹介をする。
石坂は弘前の生まれで、短編小説の「お山というのは岩木山のことで、年に一度のお山参詣の風習の中に、少年のウブな恋をからませた物語だったと記憶する。」
と書いている。また太宰については、太宰の文章を引用している。
「『やー、富士いいなあ』と私は叫んだ。富士ではなかった。津軽富士と呼ばれている千六百 一十五メートルの岩木山が、満目の水田の尽きるところに、ふわりと浮んでいる。実際、軽く浮んでいる感じなのである。したたるほど真蒼で、富士山よりもっと女らしく、十一単衣の裾を、銀杏の葉をさかさに立てたようにぱらりとひらいて左右の均斉も正しく、静かに青空に浮んでいる。決して高い山ではな
この文章は見事な描写でそれいが、けれども、なかなか、透きとおるくらいに嬋娟(せんけん)たる美女ではある。」を借りると言っている。
嬋娟などと言う意味不明な言葉を使っているところがすごい。「容姿のあでやかで美しいさま」を言う意味とあるが、太宰が好んで使ったようだ。漢字からは感じられない字だ。「富士山より女らしい」という捉え方、それは言えるかな。

歌謡曲にも歌われる山が、短歌では昭和10年の日本山岳短歌には奥羽地方の中に3首あった。

与謝野寛  手にするは岩木のやまの草もみぢ別れし人を思ひつつ行く
横山信吾  ここにしてまさやかに見つわだの原の向ふに暮るる遠き岩木嶽
成田源三  岩木嶽の雪いまだにうせねども真澄める空は初秋のいろ
他に昭和の歌人
太田水穂  城跡の木の間に見れば岩木山青田の原も暮れてをりたり
      朝日さす青田の原の平らかに国大いなる岩木山かも
結城哀草果 北に走る汽車の左に雪かつぎ夏日まともに岩木山高し

を得ている。
ネットで探した歌を取り上げる。
松下 正樹 天守閣の扉はひらかれておほどかに裾をひろげし岩木山にまむかふゝ
https://life.gentosha-go.com/articles/-/2584
(1939年、鹿児島県種子島に生まれの歌人)

青森近代文学館(青森県内の文学碑(近代)を掲載)のサイトで見つけた歌
https://www.plib.pref.aomori.lg.jp/top/museum/bungakuhi.html
俳句 どこからも岩木山見え花りんご
https://www.plib.pref.aomori.lg.jp/top/museum/seihokugotiku/masuta-sakuragi.HTML
大町桂月  四方八方の千万の山を見下して心にかかる雲もなき哉 (岩木山山頂歌碑)
一戸謙三  お岩木山ね守らェで、
        お城の周りサ展がる
            此のあづましいおらの街……弘前市藤田記念庭園詩碑
徳富蘆花  林檎朱にまるめろ黄なる秋の日を岩木山下に君とかたらふ (北五地区の文学碑・徳富蘆花歌碑)
田ぞの章  一日燃え明日も継がむと沈む陽の肩に乗り居る岩木美し (平川市金山・大屋祇神社歌碑 )
駒井勝雄  秀峯の岩木をほこる津軽野に悔えなく田畑耕し (川市金屋・大山祇神社 歌碑)
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こういうのもありました。津軽語(津軽弁ではなくて)で短歌を詠む試みや、津軽弁を今に残そうとする試みだと思う。
短歌(1)nifty - Coocan a7bal.la.coocan.jp/tanka.htm
もくもくと岩木山なる流れ雲津軽平野に恵みの雨を (共通語)
朔日山
残念ながら、今年も岩木山の朔日山(ついたちやま)に行けませんでした。予想通り今年は、きれいな「ご来光」を拝むことができたそうです。来年は絶対行くぞ!。
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【共通語】
・秋になり朔日山へ行こうかと計画するも行かれぬ私  ポリカレ青森
・来年は必ず行くぞ岩木山、朔日山の来光見るに     同  
【津軽語】
・ご来光拝めば利益有ると言う、吾行ても利益あるんだべがの?  ポリカレ青森
・行きてなと朔日山さ行きてなと、思てらばてよ行げねんだねな   同
・行げねんだ朔日山さ行げねんだ、仕事があるて理屈になねね    同
・岩木山今年も来たね参詣さ、サイギサイギの朔日山だ       同
(津軽の人々が村々で隊を組んで、旧暦の八月一日から十五日の間に、「お山参詣」する)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●岩木山
津軽の象徴的な「山」、それは岩木山です。標高1625mのこの山は、信仰などの対象としても有名です。津軽富士とも言われ、その優美な姿は津軽に育った人達に取って永遠の心の故郷でもあります。
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男1:あんださぁ、岩木山のかっこ、何処がら見だんづえどもる?。
(あなたね、岩木山の姿、何処からみたのが良いと思いますか?)
男2:おらだば、しろさぎ側だな!(私でしたら、弘前側ですよ!)
男1:どすてや?。(どうしてですか?)
男2:どすてやって?、3つ山かさなって見えるんだば弘前だべさぁ。
(どうしてかって?、山頂の山が3個重なって見えるのは弘前でしょう!)
男1:へば、鰺ヶ沢がら見だづきどんだんぢよ?。
(それであれば、鰺ヶ沢町から見た時はどうなんですかね?)
男2:いがさまぁ!、ちょんどあっぺだもんせ!。(いかにも!、丁度、反対側ですよね!)
男1:五所川原だの、きんずぐり(木造町)がら見ればとがってめるきゃの!。
(五所川原市や木造町からみれば山頂が尖って見えますよね!)
男2:んー、かっこわりばて、岩木山に変わりねもな。
(そうですね、格好は悪いが岩木山には変わりありませんからね)
男1:ねぷたっこ終われば、秋風っこ吹いて、「サーイギサイギ、ドッコイサイギ」のお山参詣始まるでばぁー。
(ねぷた/ねぶたが終われば、秋風が吹いて「懺悔、懺悔、何処へ懺悔」のお山参詣が始りますよねぇー)
男2:んだね、1年ってすぐだねな。(そうですね、1年経つのはすぐですね)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
青森市からは天気の良いときに、7合目付近から上が見えますよね。

青森県の「文学館」は様々な歌碑を句碑、詩碑などを県内に探しているもので、青森でこれだけのものがあるとしたら、全国ではどれほどになるのでしょう。実に面白い。そして如何に「俳句・短歌」が定着しているかも知る事が出来る。しかしこのような努力は青森だけなのだろうか。

岩木山を詠う
この山は2005年の8月に岩手山を皮切りに八甲田山、岩木山、さらに鳥海山と連続して登ったのだ。2004年に妻が山に行かなくなり、一人で百名山を登りたいと、細々と登っていた。
岩木山に登る
雲被る岩木の山は乙女山姿見せずに気を持たせおり
上手下手問わずにおこう花写真眺める時の和み楽しも
高山の花を愛で行く山道は怖い道をも忘れて歩く
岩木山この山に咲く固有種のみちのくコザクラ今出会いけり
花に寄す思いはさらにつよまりぬみちのくコザクラめでるそよかぜ
安寿姫髪にさしたるコザクラはみちのくに咲く岩木の花に
恥らうかタチギボウシはユリ科にて花六裂にうつむいて咲く
あらためて人の差を知る山にいて花の名すぐに言える人いて
津軽富士沢の少なく積もる雪浸みて平野の田を潤すか
雲取れて青空のぞく山頂に一歩一歩と近づいている
真夏来て残雪残る岩木山錫杖清水にうるおす渇き
鳥の海小さいけれど噴火口火の山なりし岩木ヶ嶽は
子供らの元気な声が聞こえ来るお岩木山の夏のかがやく
奥宮に祈りをささげ山頂の空青々し岩木山かな
雲切れてその下にある津軽かなお岩木さんはこの国の山
日本海津軽海峡海光るいっときなれど山より見たり
岩木山にぎわいみたり夏の日にみな愛してる故郷の山
みちのくの山は太古の贈り物再び来たし岩木山かな
岩木山この山もまた花の山風雪耐える山に祈れる

最後に岩木神社の由来
祭神
顕國魂神 うつしくにたまのかみ
多都比姫神 たつひひめのかみ
宇賀能賣神 うがのめのかみ
大山祇神 おおやまづみのかみ 
坂上刈田麿命 さかのうえのかりたまろのみこと
由緒沿革
当社は昔から「お岩木さま」「お山」と親しんで呼ばれ、陸奥津軽の開拓の神、農海産物の守護神、また祖霊の座すところとして崇められてまいりました。神山・霊山である岩木山は津軽全土から仰望せられ、人々に慈しみの徳を授けたまい、郷土人の生活と心のよりどころであります。
岩木山大神は太古より神霊岩木嶺にお鎮まりになられ、今から約1200年前、宝亀11年(780)に社殿を山頂に創建したのが当社の起りであります。延暦19年(800)に、征夷大将軍 坂上田村麿がこれを再建し、別に山麓である十腰内の里に下居宮を建立して、山頂を奥宮と称し、
寛治5年(1091)神宣により、下居宮を現在地に奉遷いたしました。
その後、世々の地頭・領主何れもがよく崇敬の赤誠をつくし、江戸時代には津軽藩主 為信・信牧・信義・信政により大造営が行われ、近代には崇敬者の熱意を集めて、建造物、諸施設とも整い、名実共にその偉容を誇り、畏き辺りも日本の北門鎮護の名社として、農業・漁業・商工業・医薬・交通関係、とりわけ開運福の神として、色々の宗派を超え、深い信仰の源として厚く崇敬されております。
新しき時代に向かい、ご神徳のまにまに、日本人の心の絆としてひとしく拝し、ご神威ますます輝かしく仰ぎ奉られるのであります。
大國魂鎮守 旧國幣社。
(以上公式ホームページから)
北海道の山を取り上げましたが、振り返ってみると社が山頂に置かれていたのは「利尻岳」なんですね。大雪にも、阿寒にも神様がいないのだ。もちろん蝦夷人(アイヌ人)の名称には神を意味する言葉や意味が込められているかもしれないが、それを思うとなぜ北海道の山には神を祀れなかったのか、それを考えてみたいです。
それと神社は複数の神様を祭ることができるようで、そのことも考えあわせてみたいと思います。

岩木山山頂 岩木神社奥宮からの夜景(公式HPより)
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