早池峰山の短歌は詠む人が少なく作品が無いことは書いた。
来島靖生著「歌人の山」の早池峰で冒頭に紹介されていた服部直人の歌集を取り寄せて、その中に4首の歌を得た。
早池峰と題して
亡き兄が山草摘みて学びたる早池峰やまに雲ゐしずまる
村びとのまつりは終り春ふけし早池峰やまに夕雲かかる
花の生
みなかみに夕霧たちて早池峰のうつし世遠き峰嶺(をね)かげる
亡き兄が若き日摘みし早池峰の花美しき日の遠のまぼろし
紺の服あせたる兄がいりゆきし早池峰思ふその花の生(み)を
現世にひとりの兄がいりゆきて摘みにし山の花の思ほゆ
と6首詠んでいる。
服部直人は1906年(明治40年)の生まれ、私の父より3歳早いが同時代の人だ。1979年に72歳で亡くなった。長兄の静男氏が昭和45年に亡くなっている。お兄さんは岡山大学の学長を務めた方。直人氏も長く教育者として活動された。この作品は昭和52年とある。
早池峰の山に愛着を抱いて詠じてくれる歌人が少ないのは、早池峰の山の位置によるのだろう。
私の遥か昔、上の駅から夜行列車急行十和田で盛岡に早朝に着き、山田線の始発列車に乗って山しかない平津戸駅に降りたのだ。遠いところと言う印象が強かった。
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