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2021年04月08日 23:16日本百名山の短歌全体に公開

短歌の詠う百名山 19 飯豊山

短歌で詠う日本百名山19 飯豊山
東北の百名山を巡る中でも難関の山に出会うことになる。先に挙げた朝日岳は結城哀草果という歌人がいた。しかし、この飯豊山はそのような歌人を持たない山なのだ。斉藤茂吉が、たまたま吾妻山と並べて飯豊の名を短歌に織り込んだが、其れだけで, 斉藤は飯豊の歌は歌っていない。また結城もわずかであり、飯豊山はその山容の立派さを見過ごされて、歌人の目を引くことが無かったようだ。
斉藤茂吉  
吾妻山飯豊の山もこのあさけ近く見えわたる雪降りしかば
結城哀草果  
山川の瀬のみなもとはるかにし飯豊の嶺呂に雲たちのぼる
置賜は国のまほろば菜種咲き若葉茂りて雪山も見ゆ 
雑誌『山と渓谷』2017年掲載の歌1首を見つけた。
斉藤勲   
道標は海老の尻尾に覆われて飯豊は霞かすむ黄砂風 吹く

「日本山岳短歌集」に飯豊の大日岳の歌があった。大日岳は飯豊連峰の最高峰の山であるが、山の名前は出てこない。
上坂信勝
雲はさらに濃くなりて麓べにとどろ鳴りこもる山のいかづち    
山の上にあへば親しもおのもおの屯言葉かはしつつ行き過ぎに    
飯豊山が世間の目を引くようになったのは昭和25年以降でしょう。私が手にする昭和44年の昭文社のブルーガイドブックの「はじめに」とあるこのガイドブックの紹介の一文を取り上げよう。まだこの時代は文章もかなり格調のあるもので、昭和の香りを伝えてくれる。登山も40年代から、スポーツとして盛んになる時代で、昭文社のガイドブックも昭和43年ごろから出されたのだ。私の手元に「谷川岳」「南アルプス」が昭和43年版で、「八ヶ岳」と「飯豊・朝日」が昭和44版なのだ。
「飯豊連峰、朝日連峰、そして出羽三山はともに東北の裏目本にあり、山の高さ、深さからいって東北地方ではAクラスの山である。これらの山々は東北の静かな風土のなかにあって、ひときわあざやかな存在を示しているが、それは、東北的な意休において豊かな諧調をもっていることであり、その重厚な雰囲気が「東北」を象徴しているからである。
 昭和25年に磐梯朝日国立公園として指定をうけたが、この地城を山岳国立公園として指定した最大の趣旨は、太古にそのままに残された原始的自然景観の保存ということであった。人目の密なわが国にあって、ますます貴重なものとなる原始性を豊かに保つこの自然公園は、やがて、近代人にとって渇仰の地となることは必至である。
 東北に旅する人は、この土地が静かであるがゆえに、そしていまだ知られざる風物が豊かに残されているがゆえに、自ら発見する喜びを味わうことができる。飯豊、朝日、出羽三山の山岳からは、未知の魅力とともに原始への郷愁を探り、山麓の史跡や集落、あるいは温泉を訪ねては、求め得られなかった故郷の匂いをそこにかぐような印象を得ることができよう。
 われわれの生活は、世の進展とともにますます自然から遠ざかるいっぽうであるが、その反面、自然を慕う気持ちもおさえがたく、精神の解放と肉体の健康を求めて、大自然のふところにとびこんでいく。こうして各地の山や高原は多くの人びとを迎えるが、最後まで自然のふるさととして大きな包容力をみせる場所が、この飯豊、朝日、出羽三山の地域ではないだろうか。」
と紹介されている。どれほど山深いところかと、畏れたものだ。
私がこのエリアに足を踏み込んだのは2000年以降で、5回ほど飯豊山をめざして、1度しか山頂を踏んでいない。とてもこの山に挑むには勇気とチャンスが必要だった。一度は縦走し、一度はヒメサユリを見るために三国小屋まで行き、一度はカイラギ山荘で終わっているし、二度は途中でやめたし、一度は石転沢を登るのが目的で行った。いずれもヤマレコに書いている。
「日本山岳短歌集」には「飯豊山」と言うのは取られていない。代わりに「大日岳」が二首あった。
大日岳  上坂信勝の歌2首
密雲はさらに濃くなりて麓べにとどろ鳴りこもる山のいかづち 
山の上にあへば親しもおのもおのも言葉かはしつつ行き過ぎに  

近代の歌人が詠むことのない山であることは朝日同様で、それでも結城哀草果がいい歌を残しているが、飯豊については見つからない。
ネットで調べて、「うたのわ」(ウタネット)というのを見つけて、そこに清宮幸春という人が「歌人登録」していて「飯豊」を詠んだ歌が三首ヒットした。以下(ウタネット)
「ウタネット」より
あかつきに起き眺むれば飯豊山雪の光にかすむむらさき      
清宮幸春 
たちかへる朝日の出でし飯豊山雪の中にも春の立ちぬる
飯豊山昨日の色は墨なれど今朝の色こそ雪の衣かな
清宮さんは自分で登山したうたでなく、麓から詠んで歌であろう。
また別のサイトで「短歌」のブログ記事一覧-草莽隊日記https://blog.goo.ne.jp/ikeiketarou/c/2607fa45eecad001ffd...から以下の一連の歌を見つけた。
真白なる飯豊連峰 5首 2018年11月27日 | 短歌
真白なる壁となりてみちのくの会津と出羽を画す飯豊は
青空に吸われる白さそのままに飯豊連峰神おわす山
大人への通過儀礼は飯豊山水ごりとり父も登りし
冬を告ぐ飯豊の山を仰ぎけり北に向かって手合わせけり
雪かぶる飯豊連峰望みたる一角の地に墓標並べり
この歌い手が大人の通過儀礼として父も登ったと言うのは伝統的な行事になっているのだろう。
草奔隊日記さんの歌は結城哀草果の系統を継ぐ人かもしれませんね。
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