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入会したてのころの失敗はことかかない。その年（1962）の１０月に冬山合宿の準備で中央アルプスフの偵察にいった時のことである。リーダーの吉野さんと先輩が周囲の偵察に出会かけ、私はテントでホエブスで湯を沸かすように命じられた。しかし当時未成年者の私はタバコを吸わないためにマッチを忘れてしまい、テントで留守番をしていても、ホエブスに火をつけられずいた。もどってきた吉野さんにひどく怒られもした。それ以後は必ずマッチを忘れることはなかった。その時に、木曾駒ヶ岳と宝劒岳に登った。
１１月に富士山で雪上訓練の合宿に初めて参加。あと５０ｍほどで山頂の稜線に届くところで、時間切れで下山した。その後２回ほど行ったが、稜線にはたどりついていない。
その冬、年末年始にかけて1週間の冬山合宿（1963）が行われた。もちろん中央アルプスである。もちろんロープウェイなどない時代だったと思うのだが、今の北御所登山口から蛇腹沢コースで伊那前岳へ。そこでベースキャンプを張った。入山した翌日から、日本の上空に低気圧がどっしりと腰を据えて、入山激しい雪になった。毎日吹雪いて、下山する前の日の午前中はじめて晴天になった。この時、雪の木曾駒ヶ岳に登ったのが唯一の行動となった。この停滞中のエピソードはいろいろあるが、ともかくテントの中で雪の収まるのを待つしかなかった。最後の下山の日、降り積もった雪は予想以上に深く、胸までのラッセルが続く。暗くなっても下山できない。秋には3時間ほどで下った道が、暗くなっても降りられなかった。腹は空くしつらかった。へとへとになって麓に着いたのは午後九時だった。これが最初の冬山体験で、私に強烈な印象を残した。
ＦＡＣでの記憶をもう少し辿ると、1963年の夏に槍ヶ岳、北鎌尾根からの登肇、穂高涸沢での合宿で滝谷に入った。この時は北鎌尾根を登って槍にテントを張ったが、リーダーの吉野さんが足の具合を悪くしたので、付き添って上高地に下り、大キレットは通貨できなかった。翌日涸沢に戻り、みんなと合流した。
１９６３年の秋、牛山先輩と袈裟丸山を一泊二日で歩いてかえるとき、電車の中でケディ暗殺事件を知った。
翌年の1964年の冬は大学受験で不参加だった。一度だけの受験で神奈川大学に合格した。この時も純愛ドラマがあった。
１９６４年の富士山訓練の記録がある。
１９６５年の冬、谷川岳集中で中ゴー尾根を登り、途中テント張った。夜中風が強くてテントが飛ばされそうになった。
この夏、二十歳の時、穂高涸沢合宿で滝谷に入った。
あの暗い壁の陰欝な雰囲気は忘れられない。ジャンダルムの上に一人立って眺めた午後の落ち着いた山々の光景も美しかった。しかし、その夜にテントの中で不注意からホエブスの残りガスに引火させて火傷をおい、診療所まで駆けて行き、入り口の床に座ったとたんに動けなくなり、翌日上高地までみんなに背負われて下山し、松本国立病院に二週間入院した。そこの看護婦さんと恋をした。青春が、このＦＡＣ時代にいっぱい詰まっている。
ヤケドを負った事故はラジオでもニュースになった。「無謀登山」と言われて、なにもわかっていないと思った。
その年の秋、彼女と燕岳から槍ヶ岳まで縦走をしている。
１９６６年の冬に八ヶ岳で合宿、阿弥陀の東稜線をリーダーとして登り、赤岳山頂で合流して、硫黄まで縦走している。鉱泉にテントを張っていた。
２１歳になる６月、彼女を穂高山荘まで連れて行った。奥穂高に登ったと思うのだが、ザイテングラードを下るときに彼女がスリップしてあのカールを２００ｍ落下した。奇跡的にもけがはなく途中で止まっていた。
その夏は剱岳の合宿だった。
この劒岳の合宿は楽しかった。早月尾根から直接劒の頂上に到達したときは、その雄大な眺望に興奮したものだ。
長次郎摂家を登り、八峰の�己�から岩綾を雨宮先輩と登肇した。途中で小さな落石がヘルメットをかすめた。もしあたっていたらヘルメットを貫通していただろう。八峰の尾根を登ってチンネやクレオパトラニードルをまじかに見た。
この剱の合宿の時に仙人池の写真をみてあこがれ続けることになる。
風邪をひいて、一人テント番をして、劒沢の岩の上で昼寝をしたのもこの時だ。
２０歳、２１歳のころが当時としては一人でも、仲間ともよく山にのぼったと思う。
写真：左２枚は富士山。右は中央アルプス合宿の時
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