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2016年05月07日 22:18山たびの軌跡全体に公開

川内山塊 毛無山 Part 2

山旅の軌跡 第29回 ボボー、ボボー、というツツドリのさえずりに目を覚ます。いい天気である。絶好の登山日和だ。しかし、気温の上昇は、山登りにとっては、好ましいことではない。大量の発汗は体内のミネラルを奪い、いわゆるバテを誘うのだ。山登りを始めたころは、ただ闇雲に藪をこざいて失敗したり、高温の中で重荷を担いでハイペースで歩き、バテてしまったことも有る。あの頃は、バテの実態も知らず、ただがむしゃらに歩いていたような気がする。ハイペース、オーバーペースがいけないのである。じっくりと、体力、体調に合わせ、ミネラルを補給しながら、亀のごとく進むのである。それがバテ無い秘訣なのだ。

中ノ又山手前の左側は、なだらかなブナの林が広がっている。「○○平」と熊撃ちが言っていた通りである。○○はブナだったような気がするが、やっぱり思い出せなかった。藪も少しあるが、だいたい雪堤通しに歩ける。飯豊の端山、烏帽子山を目指したときに幕営した、稲葉ノ平の様な感じである。中ノ又山は、さしずめミニ烏帽子山といった雰囲気だ。中ノ又山の山頂は見えているのだが、結構長い。山頂まで、だらだらと上り詰めるので、山というような気がしない。しかし、景色は良い。

中ノ又山から方向を変えて、いよいよ藪の尾根へと入る。藪をかき分け、ある時はすり抜けるように、ある時は灌木を掴みながら、ただただ藪に身を投じて進んだ。標高1002mを過ぎると、灌木の背も低くなり、ホッと一息という感じになる。しかし、それも束の間、すぐにまた、背丈以上の藪となる。しかし、最低鞍部近くになると、尾根が痩せてきて、何となく、獣道のような雰囲気となる。ブナの木も目立つようになり、部分的には歩きやすい藪となる。イワウチワの花が真っ盛りである。谷から吹き上げる風が、ほてった体に心地よい。ところどころ使える雪堤は、砂漠の中のオアシスだが、ブヨがわんさか集まってくるのには閉口する。

最低鞍部から登っていくと、いよいよずんぐりと、黒々とした毛無山が眼前である。雪に痛めつけられて、地を這うような屈強な灌木が、ハリネズミのように身を固めている。一部岩がむき出しになった、急な斜面である。藪埃のついた灌木を掴みながら一歩一歩山頂へと身を運んだ。そして、ついに雪の詰まった山頂へと立ったのである。周りは、抜けるような青空だ。何も遮るもののない開放感。「ヤッホー!!」、私は、思いっきり叫んだ。

毛無山は、直径50m位の平頂で、そこだけが雪をかぶっている。わずかに顔を出している灌木に、千切れたテープが巻き付いている。それだけが人間の痕跡を表している。あとは何もない山頂だ。360度、間違いなく大展望である。守門岳・浅草岳・鞍掛峠・御神楽岳・駒形山・矢筈岳・青里岳・粟ヶ岳。大展望独り占めだ。私は、アタックザックに腰を下ろして、ただただ景色に見入った。

帰りは同じ藪でも、コースの状況が分かるだけ気分的に余裕がある。気温は鰻登りで体に堪えるが、稜線を渡る風に身を任せて、マイペースを心がける。幕営山行は、気ぜわしい日帰りと違って、今日のうちにテン場につければ、という気楽さが良い。少しずつでも、藪をこざいているうちに、だんだんと目標が近づいてきて、ひとりでに頬が緩んでくるような感覚もいいなあ。

中ノ又山からテン場に向かっていると、右手に沢源頭が入り込んでいた。水がとれるのではないかと、近づいていくと、かすかに水音が聞こえてきた。それらしい所の雪を掘ると、ちょうど段になって水が流れ落ちる場所であった。カップに、二杯、一気に飲んだ。雪解けの冷たい水に生き返った。

空になったテルモスや水筒にたっぷり水を詰める。デリオスの目が詰まり加減だったので、難儀な水造りから解放されてもうけた気分である。反面、定番の作業が無くなって、寂しいような気もする。難儀なのは嫌、難儀でないのも嫌、とまあ人間というのは、わがままな生き物である。

星が近いなあ。まじまじと星空を眺めるのは、いつ以来だろうか。日常生活では、星なんて眺めることもない。たまにこういうことがあると、よけいに普段の生活との落差を感じるものである。日の落ちるのに合わせるように眠りにつく。

写真左:米粒のようなテントを振り返る 奥は守門岳
写真中:毛無山へと続く尾根 
写真右:ハリネズミのような灌木に守られた毛無山
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コメント

RE: 川内山塊 毛無山 Part 2
ツツドリ、面白い声で聞こえるとマネしちゃいます。
名前を知ったのはごく最近です。

妙高さんもどこのお水でも大丈夫なんですね。
私も普段井戸水、山水で暮らしているので
どこの山の水も美味しく頂けます(^o^)

テント泊ができれば長い山行ができて
羨ましいです。
重い荷物が難儀なので
憧れだけですが・・・
2016/5/8 23:20
GW終わりましたね
おはようございます。
遠征したわけでもないのにGWもあっというまでした。山菜は採りましたね。毎日食べてました。冷凍にしたみたいなので、まだまだ続くかも。(-_-;)それとも(^^)/、どっちでしょうね。ふきのとう・コシアブラ・タラの芽・木の芽(ミツバアケビの芽)・シオデ・タケノコ(孟宗竹)・ミズ・イラクサ・フキなどです。こんどは根曲がりたけ採りたいです。山菜は前はあまり好きじゃなかったけど、最近は食べられるようになりました(^^)/

水であたるということは無いですね。腹はいたって丈夫なようです。テント泊は、行程が比較的自由度が高いのがいいですね。ただ、荷物が重くなるのが難点です。あと風ですかね。テント飛ばされちゃうんじゃないかと思います。テント張りも大変ですね。ポール曲ったことあります。雨も嫌ですね〜。

食料は、軽く軽くとなっちゃいますね。カロリー主体で。栄養はオロナミンCで、じゃないオロナインじゃないし、まあ、いわゆる栄養補給剤飲んだり。けっして”快適”とは言え無いです。

それでもテント選んじゃいます。なんでかな〜。  
2016/5/9 10:11
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