２回目 ヒューマンファクターとヒューマンエラー
前回に続いて、ヒューマンファクターと登山の話を行いたいと思いますが、
まず、ヒューマンファクターについて説明したいと思います。
ヒューマンファクターとは、
ウィキペディアや日本ヒューマンファクター研究所（http://www.jihf.com/）
に定義がありますが、要するに
「道具・機械・組織等を人間が使用・運用する場合は、人間の特性も考えよう」
ということです。
じゃあ、その人間の特性って何か？というと・・・
�／祐屬蓮�同時に一つのことしか考えられません
だから人間は「ながら」が苦手であり、これが不注意を生む原因となります。
ケータイをいじりながら運転すると事故するのは、当然なのです。
�∈脳�エネルギーの法則
人間は、何かを行おうとするとき、なるべく楽をしようとします。
これが、手抜きの原因です。
いい例が、ショートカットです。正規の道でなくても、安全性等がある程度確保されていれば、ショートカットしていまうことありますよね。（山行だけでなく、駐車場とか公園とかでもです）
ただし、この特性があるからこそ、人間は車や飛行機、コンピュータ等を発明し発展しました。
��人間は、自分の都合のいいように考えやすい
イソップ物語に「すっぱいブドウ」という話があります。
高い木になっているブドウをキツネが見つけたのですが、高くてとれません。そこで、キツネは、「あのブドウは酸っぱいから食べてもおいしくない」といってあきらめました。
これは、ほんの一例ですが、人間の思考には様々なバイアス（傾き）がかかります。
自分は、論理的に冷静に判断できている思っても、必ずしもそうとは限らないのです。
�じ胸惑�vs人間脳
原始脳は、「お腹空いた」とか「眠い」とか、体を動かす部分。爬虫類や哺乳類の脳
人間脳は、人間としての思考を行う部分。
普段は、人間脳が原始脳をコントロールしていますが、生命に関する危機が増える（空腹、疲労など）と人間脳より原始脳が優先されてしまいます。
なので、空腹時や疲労が溜まっている場合は、人間脳の活動は不活発になり、ミスが増えます。
余談ですが、飲酒をすると、人間脳から麻痺していきます。だから、欲望が表に出てきてセクハラおやじが出現するわけです＾＾
まだ、他にも人間の特性はあると思いますが、道具・機械・組織等を人間が使用・運用する場合は、これらの特性を考慮しないと、最悪の場合、人間はエラーを起こし事故に至ります。
なお、ヒューマンファクターを考えるうえで、「環境」も大きな問題となります。
環境（社会的環境や天象・気象など）によって現れる人間の特性が異なるからです。
例えば、一人での山行では、容易に引き返すことを決断できますが、
グループ山行では、引き返すことを躊躇することがあります。
これは、一人とグループという社会的環境が影響する例です。
こうした、ヒューマンファクターにより引き起こされたエラーをヒューマンエラーと呼びます。
ヒューマンエラーを防ぐためには、ヒューマンファクターに即した、対策を講じるないと効果がありません。
例えば、山道で看板を見落として道を間違えた場合、「次は気を付けよう」では対策になりません
なぜ道を間違えたのか
�＾貊錣帽堝阿靴討い臣膣屬箸里�しゃべりに夢中だった
��何回も通っている経路なので、ちゃんと探していなかった
�４波弔�古いから間違っていると思った
�と茲譴討い討Δ弔爐い討い�
これらのエラーは先ほど紹介した人間の特性によるヒューマンエラーです。
では、これらのヒューマンエラーを防ぐためにはどうしたらいいでしょうか。
エラーを防ぐ対策をしつつも、人間である以上、エラーは完全に防止できません。
そこで、エラーを起こしても最悪の事故（死亡事故等）にいらないようにする必要があります。
それが、エラーレジスタントとエラートレラントです。
先ほどの山道で看板を見落として道を間違えた例であれば、GPSを持つのが一つの対策でしょう。
分岐のところで「ピッ」と音をなるようにすれば、分岐点での看板を見逃す可能性が減ります。
これが、エラーレジスタントの一例です。
仮に、何らかの要因で分岐を逃しても、GPSで現在位置を確認すれば道に迷う前に元の経路に戻ることができます。
これが、エラートレラントの例です。
※もちろん、GPSだけじゃなく地図も持ちましょう！
次回以降、エラーレジスタントやエラートレラントを深く掘り下げていこうと思います。
うーん、すばらしい企画ですね。
私事、ついこの間も、
「山道で看板を見落として道を間違えた」を二回繰り返して
（自分の場合、ＧＰＳは持ってたんですが、途中似たような標識がたくさんあったし、ＧＰＳは頻繁にピッピッと鳴るので、山頂行き標識を「マタか〜」と黙殺して、結果心ならずも巻いてしまった、あたりが原因かと思われます。
次回以降の話題、楽しみにしています。
ttmhajimeさん、こんにちは。
山道でのヒューマンエラーの原因の多くは慣れや先入観ですね。
＞��何回も通っている経路なので、ちゃんと探していなかった
特に「単独行」の遭難が多いですね。
エラ−の段階では当事者は気が付いていませんね。
次回を楽しみにしています。
>tatsucaさん
tatsucaさんの例は、正に「��人間は、自分の都合のいいように考えやすい」の好例ですね。
これは、「正常性バイアス」と呼ばれ、警報が多すぎるときには、その警報を誤作動と認識してしまう特性が人間にあります。この話は、近いうちにやりたいと思います。
>cprrescueさん
>エラ−の段階では当事者は気が付いていませんね。
そうですね、エラーの段階では気づいていないことが多いです。もしくは、エラーと気づいていても「エラーと認めていない」だけかもしれません。
まずは、エラーに気づき、エラーを認めることからエラーの防止は始まります。
そして、単独行の遭難が多いのも、ヒューマンファクターのせいだと思います。いずれ、じっくり考察していきたいと思います。
私の自分勝手な日記なんですが、意外と反響が大きく驚いています。
ヒューマンファクターについて私自身も調べなおし、山行に当てはめることで、私自身の勉強にもなります。
今後も、私の拙文にお付き合い頂き、皆さんの安全登山の一助になれば幸いです。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する