３回目 エラーレジスタントについて
前回、山道で看板を見落として道を間違えた例をあげて、エラーレジスタントとエラートレラントという概念を紹介しました。
エラーレジスタントとは、「エラーそのものの発生を低減する対策」を言います。
エラートレラントとは、「エラーが発生しても，事故に至らないようにする対策」を言います。
今回はエラーレジスタントについて紹介したいと思います。
では早速、エラーレジスタントは以下の５つのポイントがあげられます。
１、危険予知（エラー予測）
２、意図開示
３、コミュニケーション
４、復唱
５、指差喚呼
では、順に説明していきます。
１、危険予知
山道を歩くときにぼーっと歩くのと、
「足場が悪くて足をくじきそうだな」
「あの倒木に足ひっかけねぇよな」
「あの岩、濡れてて滑りそうだな」
等と考えながら歩くのでは危険の度合いが異なるのは言わずもがなでしょう。
２、意図開示
グループ山行しているとき、
「いつ休憩するのかなぁ」「この後、どんな道なのかな」等
と不安になったことありませんか？
グループで動くとき、グループ員は長の意図がわからないと不安になりそれが原因で些細なエラーを起こす可能性が高まります。些細なエラーが些細なままならいのですが、状況によっては重大な事故に結びつく可能性があります。
グループ長は、積極的に意図を開示し、グループ員のストレスを緩和する必要があります。
俺に黙ってついてこい！は今は昔の話です。
３、コミュニケーション
ヒューマンエラーは、コミュニケーションのエラーに起因するものが半分を占めるそうです。
コミュニケーションのエラーをを防ぐには以下の５点に注意してください。
（１）まず、結論を
（２）理由は後から
（３）Yes、Noをはっきりと
（４）共通の用語や物差しで
（５）相手の状況を考えて
（１）〜（３）はよく言われることなので省略します
（４）と（５）をおろそかにしていませんか？
これらに注意して、コミュニケーションをおこなってください
４、復唱
復唱とは、相手に言われたことを言い返すことです。
言い間違えがないかを確認するのとともに、相手と自分の意識に植え付ける効果があります。
「次は○○で□□方向ね」と言われたら、「はい」だけじゃなく「□□ね」と復唱しましょう。
ちなみに、復唱は、一人でもできます！それは独り言です。
言葉に出すことで、頭の中の考えが、耳から再度入ってくることにより意識により植え付けられうっかりミスを防ぐことができます。
「次は○○で分岐だな」「つぎの休憩で山小屋に連絡しよう」など口に出すことで、うっかりミス防止になります。
５、指差喚呼
指差喚呼とは、確認するものを指でさして呼称することです。
電車の運転手さんがやってるあれです。
指差しと独り言によって、脳への意識を強める効果があります。
鉄道総合研究所が行った試験では、何もしなかった場合に比べて指差し喚呼を行た場合は、エラーが１／６になったそうです。
なお、呼称だけ指差だけの場合はいずれも約１／２になったそうです。
確保を取り忘れたまま懸垂降下・・・なんて悲惨な事故も「確保よし！」という指差喚呼を習慣にしていれば防げたかもしれません。
看板を見たら、指差喚呼するだけで「うっかり分岐を間違えた」なんてことも防げるかもしれません。
ちょっと恥ずかしい、という方は、指差しからだけでも始めましょう！
今回、紹介した５つが全てではありません。他にも方法はあるはずです。
いい方法があれば、ご教授お願いします。
忘れてはならないのは、これら対策を行っても、エラーはおきます。
そこで、エラーが発生しても，事故に至らないようにする対策が必要になります。
それがエラートレラントです。次回はエラートレラントを紹介したいと思います。
毎度お世話様です。
今回もわかりやすくで良いですねぇ。
実は昨日もぷち迷いやっちまいまして、今回は整備された林道を安心して歩いていたらいつの間にか予定していた登山道への分岐を見逃した、また、たまたまキーとなる標識が土手の上のちょっと見にくいところにあったので、標識すら気づかなかった（指差喚呼のしようも無かったかな
個人的には「次の分岐はいつごろ来る」というのを確認し、忘れないようにして、近づいたらむしろ積極的に道標探すのが対策かな、などと愚考・反省していたところでした。
「危険予知」が必要な実例ですかね
＞tatsucaさん
ありがとうございます。
今後もわかりやすく紹介できるよう精進していきたいと思います。
危険予知は、ある状況を想定（想像）して、「この場合はこういう危険があるな」というトレーニングすることで危険予知能力が上がります。
産業界では、危険予知トレーニング（略してKYT）を積極的に行っているとこもあります。
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