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その1で記した通り、おっきりこみもほうとうも、
小麦粉に混ぜる水に塩は入れません。
大きな理由として、海から遥か離れた上州や甲州では、
塩が貴重品だったという風土的な背景もありますが、
塩を入れないことで、具を含めた素材本来の旨さが活きる、
という料理としての観点もあるようです。
(Wikipediaだったら「要出典」タグをつけられそうです(笑))
また、うどんは麺が主役ですが、
おっきりこみやほうとうは麺は具のひとつでしかありません。
その昔、夏は養蚕が盛んで桑畑が多く、
養蚕が終わった後に二毛作として麦作をしていた関係上、
小麦粉がそう潤沢にあるわけではなかったので、
野菜や山菜を多量に入れることで、
「麺食」ではなく、「煮込み食」という意味合いが強くありました。
山梨では、小麦粉を多く使ううどんは高級な食べ物であり、
おめでたい席で食べられるという風習がありました。
さて、水に塩を入れない場合、小麦粉本来の甘みが活きますが、
つなぎが悪くなるので、うどんよりもかなり強く練ります。
うどんと違い、生地は練り終わった後に寝かさず、いきなり伸します。
おっきりこみもほうとうも、主に夕食として食べられていたものですが、
家事に追われて多忙な女衆が調理に時間をかける猶予がなかったことから、
このような調理法になったと言われています。
塩分を含まない麺は、芯まで火が通りにくくなるので、
うどんと同じような正方形ではなく、
火が通りやすいように平たい麺にします。
また、塩を入れないことで、
小麦粉のタンパク質が融解しやすくなるので、
翌日には麺の原型はほとんど失われ、どろりと溶けた状態になります。
これを大変好む人も少なからずいるそうですし、
山梨出身のぼくもこの状態は好きです。
翌日になってどろりと溶けた汁を、
別に茹でたほうとうにかける、という食べ方もあります。
(これは別項で触れます)
ほうとうのつゆはほぼ味噌味ですが、
おっきりこみのそれは、醤油と味噌が半々です。
群馬県内でも北西部、つまり信州に近い方は味噌中心、
東部、つまり常総に近い方は醤油中心です。
ぼくが初めて食べたおっ切り込みは中東部に位置する
伊勢崎市内の店だったからか、醤油味でした。
これは想像ですが、東部が醤油中心なのは、
醤油の名産地である野田から利根川を遡上して運ばれ、
北西部が味噌中心なのは、
信州味噌が田口峠や十石峠などを越えて運ばれていた、
あるいは信州味噌文化が峠を越えて南牧や赤城などの山間部に伝わり、
その地方の中心的な調味料として使われてきたという
という遥か昔の食糧事情からでしょうか。
今回作ったおっきりこみは、かつて食べたことがある、
醤油味をベースとした味付けをしました。
記憶ではずいぶん味が濃かったので、わざと薄めにしています。
おっきりこみもほうとうもとてもよく似た食べ物ですが、
大きく違う点が2つあります。
それについては、次項にて触れます。
その3へつづく
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