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2013年09月13日 16:06未分類全体に公開

西前四郎「冬のデナリ」(福音館文庫)、井上靖「氷壁」

そういえば「極北」を読み始める前に、読み終えた本が2冊。

西前四郎「冬のデナリ」と、山の友達が読んでいるというので、
つられて私も10年ぶりぐらい の再読になるかな、
井上靖「氷壁」。

デナリは、マッキンリー山のことで、あの植村直己氏が消息不明になった山。北米大陸最高峰の6,194m。
(たまたま今日のCNNで、6,194mより約25m低かったことが最新の測量機器で判明したらしいとのニュースが。とは言え北米最高峰には変わりない

著者の西前四郎氏って?誰だ?と思い、調べたら、
基本的には高校の英語教師のようで、「いつかある日」という曲を作曲したりと(歌詞は日本百名山の深田久弥)、
この履歴だけだと、登山家の片鱗は皆無だけど、
1964年に北米第2峰セントエアイラス山の第3登、
1965年にはデナリ第39登に成功していて、その時に出会った青年と冬のデナリ登頂の話しで盛り上がる訳です。
そして、決行された1967年のデナリ厳冬期登頂時の体験が、
この「冬のデナリ」の物語をなしています。

バックグラウンドが全く異なる、寄せ集め8人の国際登山隊(西前氏は物語の中ではジローという名で登場。他は実名)による、
冬は零下40〜60度になるデナリでの壮絶な戦いと共に、
生き抜いた証が綴られているこの本は、
執筆するまで、30年以上かかったと著者自身があとがきに書いてますが、
その年月を持ってしてやっと昇華できたのかと思うと、
筆者が精神的にも肉体的にもどれだけの苦悩を経験をしたのか、
想像に及ばない。

死の四面楚歌状態にあってもなお、微かな生きる可能性をたぐり寄せる力と、その一瞬を判断することが出来る人間の力には、神の領域を超えた、とてつもなく凄まじい人間の未知なるものを感じます。

読者対象が小学校上級以上となってますが、
隊員達の心の機微や、自分自身との葛藤の中に垣間見える思惑、
行間にある作者の気持ちといったものを理解するには、大人でないと難しいかもしれません。

とは言え、子供は子供なりの理解をすればいいだけの話で、
大人になったらもう一度読み返して欲しい本の一つです。

そういえば、小学5、6年の時、親からヘミングウェイ「老人と海」を読まされた事があったな。
そのときは単なる、爺さんとカジキマグロの話としか理解できなかったんだけど、大人になって読み返した時の感動といったら、、、
こんな薄い本の中に、こんなにまで濃厚で凝縮された人生が詰まっていたとは、、。

脱線しました、、。

「氷壁」については、読んでない人には「読んだらわかる」としか言いようがない、敢えて何も語る必要もないのですが、
そこを敢えて言うと、山岳小説じゃなくて恋愛小説?と言われがちですが、
いいえ、そうじゃないんです、とだけ言っておきます
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コメント

RE: 西前四郎「冬のデナリ」(福音館文庫)、井上靖「氷壁」
azusan、はじめまして。

「冬のデナリ」面白そうですね。
装丁もシンプルで好きです。
今度読んでみます
2013/11/13 19:58
RE: 西前四郎「冬のデナリ」(福音館文庫)、井上靖「氷壁」
ドイツ語で「内緒」の、Geheimnisさん、こんばんわ
「冬のデナリ」は基本的には小学高学年対象なので、
表現が平易な箇所が多いですが、その分、直球で心に伝わって来るように感じました。

大きな書店でも、もう置いていないはずですが、
amazonさんでは購入可能のようです。

Geheimnisさんの状況、読ませていただきました。
周りの声は優しいものではないのは当然ですよね。
それも十分わかっていらっしゃることと思います。

私は、どんっと背中を押したい。
思うことをやってみるといいんです。
自分の人生は自分でしか生きられない。
やっていれば良かった、、と後悔するくらいなら、
とにかく飛び込んで、とにかくやってみることです。

失敗したら、後悔すればいい。
次のことはその時に考えればいいんです。
絶対、それからでも何とかなるんです。

一生の中で、今の自分の勢いを信頼して、
動ける時ってそうそうあるもんじゃないです。

自分に一番近い自分が自分を信頼しないのでは、
だれも信頼できないし、だれも愛せないです。
まずは自分を好きでいること=自分を信頼すること、
そんな自分の声に耳を澄まして、
いま、何が自分にとって心地よいのか、
を考えて、動き続けてほしいと思っています。

応援しています
2013/11/13 23:37
RE: 西前四郎「冬のデナリ」(福音館文庫)、井上靖「氷壁」
azusan(「さん」が含まれているので勝手に敬称略にしてます )、
温かいコメントありがとうございます!

「冬のデナリ」は小学高学年対象なのですね。
わかり易くてサクっと読めそうですね!
目に入ることがあったら、手に取ってみようと思います。

「失敗したら、後悔すればいい。」
私もそう思います。
やって後悔する方がやらずに後悔するよりも、
私はマシだと思うのです。

そして、自分ならできる!
と今は思えています
そういう境地は今までの自分にはなかったので、
そこに賭けずにいつ賭けるのかって感じです。
(今でしょ

お言葉力になりました
応援ありがとうございます
2013/11/15 12:12
RE: 西前四郎「冬のデナリ」(福音館文庫)、井上靖「氷壁」
ご無沙汰しております。最近の記録はないようですが、山登ってますか〜?

今更ながら「冬のデナリ」読みました。実はたまたまこのキーワードで検索したらこの日記に辿り着いた次第です。正直ここでこの本を知ったことも、azusanとのやり取りも忘れていました。カーリル(というアプリ)の読みたいリストに入ったまま止まってました。

3年半も経ったんですね。懐かしく、こっ恥ずかしいやり取り...。当時の理想とは少し異なりますが、「Geheimnis」だった頃より、今は自分らしく生きられるようになったと思います。

ところで、「冬のデナリ」は素晴らしい本でした。無謀と思われることに挑戦する気概、冒険心、野心、名誉欲、計算や駆け引き、戦略、友情、恐怖、絶望、怒り、悲しみ、安堵そして楽しさ、、、平易な文体で雄弁に語られています。著者の知性や人となりも伝わります。この本を遺してくれたことに感謝ですね。書評は苦手なのでこの辺で、、、

このコメントがazusanに正しく通知されるかわかりませんが、伝わったらまたコメントください。
2017/5/18 20:03
RE: 西前四郎「冬のデナリ」(福音館文庫)、井上靖「氷壁」
Tomahawkさん、お久しぶりです。
はい!山登っております
厳冬期の赤岳へ行き、右手の中指に軽い凍傷を負ったり、
ボルダリングで肩痛めたり(いまだに痛い、、)など、
いろいろありましたが、元気に登り続けていますよ〜

GWは、のんびり徳澤にテント張って、涸沢の雪渓を登りピストンで徳澤に戻り、
翌日、長塀山から蝶に登ったり。
先日は、南アルプスライチョウサポーターの講習会にいったので、
この夏は、南アルプスを中心に、ライチョウの生活域のチェックもしつつ
登りたいと思っています、

が、ヤマレコに記録するのにどうしても時間がかかってしまうので、
ここのところずっと、インスタグラムだけに写真をアップしてる状態
(ヤマレコさん、すみません

「冬のデナリ」読みましたか
私は、今更ながら、星野道夫の本を読んでいますよ。
「長い旅の途中」など、どうしてこんなに透明な文章を書けるんだろうと、思います。
読むたびに私自身も心地よい透明な物に包まれるような気持ちになって、
とても幸せな気分になれるんです。

Tomahawkさんのこの夏はどんな山登りをご予定されてるんですか〜
2017/5/29 22:44
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