普段は家内との二人だけの暢気な生活に慣れた身体に一時も立ち止まらず動き続ける一歳児にとことん翻弄され、今度は急に静かになった家の中で夫婦二人、殆ど放心状態で過ごしている。
気が付くと腰がやたら痛い。
娘達が居る間は気が付かなかったが頻繁な抱き降ろしや荷物持ちでトコトン腰を痛めつけていたらしい。そして身体の奥深くに染みこんだ疲労。寝ても寝ても疲れが取れない。
山に向かう時間と気力吸い取られたかのようだ。しかも娘の嫁ぎ先の駐車場で慌てて愛車のバンパーを擦ったのも気力低下に拍車を掛けた。泣きっ面に蜂だ。
そんな或る朝、窓から見える雪を纏った富士山を見た。
「ああ、やはり自分はここに居る訳にはいかない」と水島上等兵みたいな言葉をつい口に出してしまう。
好きだから、とか趣味だから、などではなくとにかく「山に行かねばならない」のだ。そうやってずっと生きてきたのだから。
クラストした雪面にアイゼンの感触が甦る。
来週、嫁いだもう一人の娘が暢気に帰ってくるらしいのでそれが済んだら冬道具の点検でも始めよう。冬靴に防水スプレーでも吹きかけアイゼンの爪を研いでやろうか。
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