昭和2年発行の地形図(1/25,000神戸主部)を眺めている。
ふと、石楠花山の三角点が今の地理院地図と違っているのに気付いた。獺池や天狗岩との関係から見るに、現在の位置より南に打たれているように見える。また、これはありがちなことかもしれないが、標高も652.8で現三角点の652.0と違いがある。
そこで、地形図上の三角点の緯度経度の近似値を計測できないかと思い、地形図上の四隅にある緯度経度と地形図の縦横の大きさ、三角点の位置(左端下辺からの距離)など使って計算してみた。出てきた緯度経度は日本測地系によるものと考え、世界測地系に変換するサイトの手助けをかりた。そうやって得られた緯度経度を地理院地図に入力すると、石楠花山展望台の西30mくらいの場所を指す。
家にあるものさしで地形図を測っているので、誤差があるとは思うが、はじめに受けた見た目の違和感は一応収めることができた。展望台や消防用水施設を作る時の工事が三角点移動と関係があったのかどうかは分からない。また、あの場所であるなら、竹中靖一「六甲」に掲載されている石楠花山の写真「石楠花山の頂」や天狗岩に関する記述(注1)とも符合するような気がする。
これと別に、INAKAのGoats Diaryには、ドーントらが石楠花山と思われるGreen Manを経由してゴルフ場西の別荘に向かう記録が散見される(注2)。このうちFutatabiからGreen Manへの経路について、再度からはおそらく当時のメインルートであった再度道とその先の山田道を使ったと思われるが、山田道から石楠花山への経路がわかりづらい。いや、昔の登山路には柿木塚の北に出合という場所がありそこから大迫道が石楠花山に通じている(注3)。ドーントらが利用した可能性を想像できるルートだ。
昭和2年の地形図にも大迫道にあたる場所に破線路が引かれているので、これについて山田道との分岐と黄連谷ルートとの分岐について緯度経度の近似値を調べてみた。
結果は山田道との分岐は、森林植物園にある460.7mの三角点の北約50m付近。ここは森林展示館西にあたる場所。一方、黄連谷ルートとの分岐は一里塚付近。ここは送電鉄塔の少し西にあたる。
この2点を結ぶルートが今どうなっているかというと、ご存知のようにその上を車道が走っている。この車道を1回だけ歩いたことがあるが、車道独特の距離感とあわせて結構傾斜も感じられる道だったと記憶している。今度石楠花山に行った時には、植物園方向の眺めを味わい、往時に思いをはせることにしたい。
注1:"山頂から少し北の天狗岩・烏帽子岩は、..."(竹中靖一「六甲」復刻版 1976 p417)
注2:"Goat's diaryに見られる地名 : Green Man"(https: //www.yamareco.com/modules/diary/24521-detail-80338)
注3:"...本會[神戸徒歩会]が開鑿敷設して大正大正四年四月ニ十五日に開通式を擧げた山田道から若草山に通ずる山路 (延長二十二町十五間)を大迫道と命名する事として..."(齊藤幸吉「KWS の二十五年」ペデスツリヤン25周年特集記念号 関西徒歩会, 復刻版 1991 p12)
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