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登山では軽量化が大事だと言われます。登山をする人なら皆、なんらかの軽量化を心がけていると思います。
ただ、山行のスタイルは人それぞれであり、何のために山に登るのかが明確でない状態で軽量化を言っても意味がないと思っています。
10年ほど前、労山主催のハイキングセミナーに受講生として参加したときのこと。
1泊2日でのテント泊の実技だったのですが、事前の座学で言われていたのが軽量化でした。
「装備は選ぶ」「無駄なものは持ってこない」と計画の段階から指導がありました。
当日、テント場で夕食の準備になり、皆がバックパックから荷物を出しました。
班のメンバーは4人なのにキャベツ1個丸ごと持ってきた来た人、調味料をパッケージごと持ってきた人などがコーチ・スタッフからダメ出しを受けていました。
「無駄に材料を持ってきて食べきれなかったら残飯になって、また荷物になる」
「パッケージを山に持ってくる必要はない」
自分としては班のみんなと考えて荷物は厳選したつもりでしたが「まだまだ無駄な荷物が多い。軽量化が甘い」と酷評されました。
その夜。このセミナーでは夜に受講生が班単位で余興として歌を歌う(歌わされる)のが恒例になっています。その即興ステージで、全員がアフロヘアのかぶり物をかぶって歌う班がありました。マラソンの仮装なんかでよくかぶっている人を見かける、あれです(写真をご参照)。
会場はバカ受けで、大いに盛り上がりました。
しかし、この人たち、このかぶり物を担いで来たんですよね?
あれだけ「軽量化!軽量化!」と言っていたコーチ・スタッフも手を叩いて喜んでいます。
なにこれ?
軽量化ってなんなん?
まあ、アフロのカツラなんて重たいものではないのでしょうが、釈然としないものがありました。
その後、私はウルトラライトハイキングを知り、装備を軽くすることの面白さに出合いました。
装備が軽くなることで歩ける距離も伸び、行動範囲が広がりました。
装備を考えるときに「自分は山に何をしに行くのか」について、より深く考えることが習慣になりました。
要は山に行く目的によって軽量化も変わるのだと思います。
私は「おいしいものは下山後に食べる」という考え方なので、食べるための荷物は少ないです。しかし「テント泊のときもおいしいものを食べたい」という人は、そのための材料や道具を持つことになります。
そんな人に軽量化を言ってもあまり意味がないでしょう。
ベテランの中には軽量化の一般論をビギナーに垂れてマウントをとる人がいるように思います。
しかし軽量化は述べてきたように、人によって答えが違うものです。そして山登りを続けるかぎり、答えを追い続けるものではないかと考えています。
(写真はAmazonからお借りしました)
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