記事によれば、8月4日昼頃、北アルプス立山連峰・一の越の標高2500m付近の登山道で、下山途中の70歳の男性が転倒し、左足の骨を折る重傷を負い、病院に搬送された由。
思い起こせば、2014年7月21日から岳沢を発って奥穂高に登り、北穂高・南岳を経て暴風雨の下槍ヶ岳山荘に到着。雨宿りしていると小雨模様となったのを幸いに、下山することにした。只、直下の石段で滑って転んでしまった。雨中の下山は危険だなと思いつつ、殺生ヒュッテまで降りたところで一泊することにした。
翌日は朝から晴れで、所謂登山日和だった。お陰で、何の心配もなく無事に下山できた。
使用の登山靴は国内の有名な登山用具メーカー製だが、ソールはビブラム製だった。登山靴のソールは一般に滑りにくく、グリップが良く効く。ただ、それも乾いた路面でのこと。濡れた路面だと滑り易い。更に、岩の上では特に滑り易く、注意が必要だ。
この時の経験から雨中岩場でも滑りにくい登山靴が無いかと思うようになった。色々と調べた結果、ファイブテンのイグザムガイドが良さそうだった。ネット上の評判も上々で、早速アマゾンで購入することにした。
10月、下の廊下を訪れた際に使用した。途中、雨に見舞われたものの快適に歩行できた。只、小屋が満員で泊まれそうもなかったので、途中から引き返した。
帰宅してからが大変で、足に痺れが来たりして歩けなくなった。体力が靴の性能に追い付いていなかったようだったので、以後、筋トレ等に励んだ結果、履きこなせる体を得られた。
登山靴の重量が200gほど軽量化された効果も合わさってか、従来は一日の行程は8時間ほどだったが、12時間でも元気に歩けるようになった。更に、歩くルートも8月に北穂高岳東稜・前穂高岳北尾根・剱岳北方稜線と所謂バリエーションルートになり、9月に槍ヶ岳北鎌尾根を単独・初見で無事踏破できた。
イグザムガイドは、幅広と私の足にピッタリで、防水でない故か蒸れが少なく、苦労していた足指の豆もできなくなり、困難な泊まり縦走登山も楽しめられるようになった。只、耐久性が弱い感じがしたので、2ヶ月ほどで多少傷みが目立つようになり、新たに二足目(二代目)を求めることに。以後、二足を使い分けて、バリエーションルート等の難路もたのしめた。ところが、最近三代目が加水分解で部分的に崩壊し、使えなくなった。更に、二代目も加水分解でクッション部分が崩壊し、ソールが剥げてしまった。
専門店に修理を依頼するも修理不能との返事。代わりに、同じファイブテンのガイドテニーを履いて登山してみたが、靴との相性が良くないのか一日履くのが限界だった。これでは、二泊とか三泊とかの縦走登山は難しい。最近は、バリエーションルートを安全・快適に伴に歩く靴も無くなり、更に、70歳超えの年齢も考慮してバリエーションルートもそろそろ卒業かと思い始めている。
バリエーションルートだと、ルート上に難易度3級(5.6)〜4級(5.8)の岩壁が出てくる。単独だとロープの確保無しで岩壁を登らざるを得ない。只、登山靴だと3級の岩壁を確保無しで登る気になれない。例えば、槍ヶ岳本峰直下のチムニーだが、登山靴だと厳しいがイグザムガイドだと登れる。ガイドテニーだと余裕で登れるだろう。登山靴とアプローチシューズとはかくも性能に差がある。単に濡れた岩場で滑りにくいというだけでなく、アプローチシューズは不可能を可能にしてくれる魔法の靴である。魔法の靴を喪失したタイミングで登山の形態を再考し、未然に遭難を防ぐべきかもと思う次第。
注:ファイブテンのブランドは、数年前に他社に移り、二転して最近までアディダス扱いであった。要は、イグザムガイド・キャンプフォー等の未使用の製品が出回ったとしても、製造から数年以上経過したものが多く、自然と経年劣化が進んでいる。それで、加水分解による不具合が一斉に表面化しているようだ。
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