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7泊8日の「旅」も終盤に入り、やっと眺めのよい高さまでおりてきました。前回、日記を初めて使い、沢山の方から拍手やら励ましやらをもらって、本当に支えられてるなあ、と心底感じました。この場を借りてお礼と簡単な報告をさせていただかないとバチが当たりますので、少し書かせていただきます。
最初12月に入院した時は、年が明けたら退院の予定だったし、そのつもりでいたのですが、抗がん剤治療がうまく進まず、結局ずーっと入院でやる羽目になって50日近く病院にいました。その後、1月の終わりに退院して2週間後の今月13日、7泊8日の予定で手術入院したのです。 今回は「明日になったら体が切られる」という緊張感で全く眠れず手術の朝を迎え、そのままオペ室に歩いていきました。10以上あるうちのどの部屋に入れと告げられるか、たいそうコワくて、できればその場から逃げ出したい思いで横になり、麻酔が掛かって気がついたら「無事終わりましたよー」というドクターの笑顔に迎えられ、いや、本当に「生き返ったきがする」ってのはこのことでした。
病巣はすっかり取れたと聞かされ、ホッとするとともに、「タバコで真っ黒な肺でしたか」と訊くと、それほどではなかった、とのこと。40年近く吸い続けてきたタールにまみれた状態を予想していた自分としては、少し肩透かしを食らったように感じたのを覚えています。
その後の実に早い展開には本当に驚くのですが、翌日から歩いたりのリハビリが始まり、繋がれていたチューブもどんどん取れて術後3日で全てから解放されたところです。まだ痛みはありますが、人間のカラダの復元力というか、切られた所を埋めもどそうとする力は本当にすごいんですね。文字通り「胸にポッカリ空いた穴」は、肺が元通り大きくなることはないが、やがて体液で充満されていくのだそうです。ガンになることが分かっていなかった訳ではないけれど、タバコを吸い続けて申し訳ない!と自分のカラダに謝りたい気も少しはしたのです。こう言うと、タバコは害悪でどうしようもない憎いもの、と感じているかというとそうではなく、私は今でもタバコがあったからこそ充実した時間が送れたことに、とても感謝しているところがあるのです。やっと探しあてた花を写真に撮り終えた後の一本。ルートを探してまだ歩いたことのない谷筋に入っていく前の一本。色んな場面で欠かすことのできないものでした。塩野七生だったか、タバコのない80年の人生より、タバコがあって短い人生の方がいい、みたいなことを言っていたのを昔読んだ記憶があって、私もその言葉への共感は今でも変わっていません。ただ、健康で山を歩くこととタバコを両立できない生き方しかできなかったことが、後悔の核心であり、もう両立できないなら、せてめ山が歩けるようになれるよう、しっかり回復に専心しようと思っているわけです。ガン患者のステージ別5年後生存率みたいなものがあるようで、それによると私のステージでは決して高いわけじゃない。統計、確率の問題という点では、タバコとガンの関係と同じようなものですから、あまり気にせず早く山の空気吸いに行こう、そう思ってます。
まだまだこれからも抗がん剤治療が続きますが、とりあえずは手術という山が越えられました。今までの励ましへのお礼と経過の報告、させていただきました。