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私は東北の人間なので奥羽山脈のことは大体分かる。だから南に向かって作業を開始し、半年後の現在、関西方面にまで達した。
岐阜県に入ってから急に作業が難しくなった。正確に言うと、乗鞍岳から西側に続く中央分水嶺が全然イメージできない。
● 中央分水嶺とは
中央分水嶺とは結局はクニ境であり、大部分は県境なり市町村の境目である。
中央分水嶺を境目に日本海側/太平洋側というふうに、地域を明瞭に分けることができる。
しかしいくつか例外があり、その都道府県では区域の真ん中を中央分水嶺が走っている。福島・長野・岐阜・京都・兵庫・広島などである(本州では)。
それでも市町村の境目であったりするので、それを頼りに山の形を見ながらパス線を引くことができる。
しかし市町村の境目でもない部分があり、それはもう鳥瞰図や地形図を見て、分水嶺の連なりをイメージして線を引いていくことになる。
図1:全体像
オレンジが分水嶺のパス線。大体が県境なんだけど、福島県・長野県・岐阜県・京都府・兵庫県は真ん中に分水嶺が走っている。
福島や長野はGoogle Earthの鳥瞰図のみでクリアーしてきた。
しかし岐阜県、京都府、兵庫県の分水嶺は、山が平坦すぎて何が何だか分からない。細かい山名や市町村名も全く分からない。
仕方がないので、カシミールで等高線と睨めっこする作戦を採った。
図2:カシミールの作業風景
ルート機能でまず地名だけを直線で結び(青線)、それを元に等高線を見ながら分水嶺を引く(赤線)。図は京都府の左京区辺り。
図3:Google Earthの作業風景
ルートを.kml化して Google Earth に取り込み、鳥瞰図で山の形を確かめながら最終的な線を引く(白線)。図は兵庫県の水分れ公園付近。
● ここまでの感想
これは、奥羽山脈の傍で暮らしている私には到底信じられないことである。分水嶺が分水嶺らしくない。こんな作業が必要だなんて…!?
「分水嶺」と言えば、私にとっては地域と地域を分断する巨大な壁である。
その東西で気候も全然違うし、峠を越えれば植生も変わるし、戦国時代の大名が他国に攻め入る際の障害だったため、そのまま領地の境目を決定づけたものという認識である。
川端康成の「国境のトンネルを抜けると、、、」の通り「クニ」の境目なのであり、律令制の時代から東西の県境を定めてきた、動かざる山の連なりと思ってきた。
しかしそうでない地域が日本にあるということで、驚きが大きいのだった。
福島の辺りが怪しいということで始めたのがきっかけなんだけども。
その他、「山」とか「自然と人間の関係」について気づくことがいっぱいだったため、これから幾つかの記事にまとめていきたい。
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参考にしているサイト:
DamMaps:川と流域地図
http://tiles.dammaps.jp/ryuiki/
大分水嶺
http://www.jac.or.jp/info/doukoukai/chiri/img-bunsui/bunsuirei-map151016.pdf
分水嶺辞典
http://www.kyudou.org/nagajis.dyndns.org/Bunsuirei/index.html#init
私も幼い頃から地理が好きでしたので、分水嶺フェチなところがあり、あちこちに行って分水嶺があれば立ち寄ってましたwww
実際に行った経験が少しでもお役に立てばと思い投稿させていただきます。
①岐阜県と富山県
ひるがの高原という場所が庄川(日本海側)、長良川(太平洋側)の分岐点となっています。
②兵庫県丹波市氷上町
ここは日本一低い分水嶺(界)があり、由良川(日本海側)、加古川(瀬戸内海側)の端緒となっています。
③広島県
広島は日本海と瀬戸内海の分水嶺は広島県の安芸高田市にある上根中央分水嶺というあたりです。
ここで江の川(日本海側)、太田川(瀬戸内海側)に分かれています。
あ、具体的に申し上げるのNGだったらごめんなさい🙏
兵庫、広島は記述されているように単純に山嶺や県境が分水嶺でないところが面白いですね。
分水嶺というのは流れ方ひとつで日本海に注ぐのか、太平洋に注ぐのか、少し大袈裟ですが文字通り運命の分かれ道みたいな感覚があって、スケールの大きな地理の魅力ポイントのひとつだと思います。
分水嶺と聞いただけでワクワクしてしまいます。
なんかの病気ですかね💦
一本の線で全国の分水嶺を引くのは大変だと思いますが、楽しい作業だと思いますので、無事完了されることを願っています。
>iCapa さん
コメントありがとうございます。いずれの地名もチェック済みです、ご心配なく。
川というのは低いところへ流れるにしたがって、幾つもの沢や小川がどんどん集まって最後は一本になるハズ(ちょうど樹形図のように)が、これらの地点では二つに分かれるんですよね。
分水嶺というより「分水ポイント」と言えるでしょうか。山形県にも最上町・境田というところにあります。不思議な地形があるものです。
無数の知らない山々や峠のほか、疎水地点、谷中分水界・河川争奪などなど、幾つものキーワードで頭がいっぱいになってます。
「中国地方の方にとって山陰と山陽って何を以て分けているのだろう」とか、いろんな疑問が次から次へと湧いているところです。
記事にしながら混乱を鎮めていこうと思ってます。
こんにちは。
iCapaさんのコメントに補足させていただきます。
岐阜のひるがの高原分水嶺は「完全分水嶺」で、この目ではっきりと、日本海側(荘川)と太平洋側(長良川)の境目を見ることができます。日本列島の分水嶺のほとんどはその境目があやふやですが、ひるがのだけはハッキリしていて、右と左とで流れの違いを確認できます。標高は900メートルですが、登山装備など無くても誰にでも見られる場所(公園)にあります。
ご参考までに。
> maasuke1 さん
ひるがの高原、線を引くのが大変でした。見当山から大日ヶ岳に向かっての高原地帯の、どこにどう分水嶺が通っているのだろうと、頭が痛くなるくらいに地形図・鳥瞰図と睨めっこしました。
目で見ることのできる分水ポイント、、、日本にごく僅かしかなさそうなので、機会があれば訪れてみたいです。
中央分水嶺の赤線が、秩父の十文字峠から霧ヶ峰の先の和田峠までは繋がっています。
この赤線が繋がった時に、更に伸ばす事を考えて調べたら日本山岳会の記録が見つかりました。
下記のページで、PDFの報告書がダウンロードできます。(無料)
https://jac1.or.jp/bunsuirei
自分でルートを見つけ出すという、お楽しみを邪魔する事になるかも知れませんが、一応ご参考まで。
>guchi999 さん
甲武信ヶ岳から八ヶ岳方面までかなり歩かれていますね。私も、自分の生活圏である最上川水系の分水嶺を歩いてみようかと、および自分にどの程度可能かと考え始めています。
日本山岳会のページ、あとで読んでみます。
コメントありがとうございました。
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