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1日目は中房温泉から燕山荘(燕岳往復)・大天井岳を越えて西岳ヒュッテ泊、2日目は槍ヶ岳を越えて三俣山荘泊、3日目の鷲羽岳・黒岳・赤牛岳を越えて平ノ小屋泊とした。ガイドブックのコースタイムは1日目10.5時間、2日目11時間、3日目は14.5時間の強行日程で、しかも自炊道具、食料、寝袋、ツェルト持参のため荷物も重かったが、若くて疲れを知らなかった当時の私にはそれほど苦しくはなかった。
計画通りに2日目は三俣山荘に泊まった。3日目、食料も減り、荷物が軽くなり、勇んで山荘から目の前に立ちはだかる鷲羽岳へ向かう。見事に晴れ上がり、夏ではあるが空気の澄んだ朝、北アルプスのほぼ中央の鷲羽岳山頂からの展望は周りの見えるべき山が全て見えたと言っても過言ではない素晴しい大パノラマであった。日本海に近い白馬岳は勿論のこと太平洋近い富士山までが槍ヶ岳北鎌尾根の横に顔をのぞかせ、西は黒部五郎岳の向こうに白山がくっきりと見え、東側は妙高、浅間山と見える山の数を挙げたら限がないほどの展望であった。私の山行歴の中でも山頂からこれほどの山の数を見たのは鷲羽岳が1番ではないかと思う。
鷲羽岳山頂下に水溜りのようなモスグリーンの小さい鷲羽池が見える。山、自然の風景の中で水は非常に重要な役割、味付けをしてくれる。川や滝、地塘・池や湖などがあると癒され、周りの景色を引き立たせてくれるものである。しかし、このときは鷲羽池の存在が場違いで、なにかこの展望に不釣合いの感じを受けてしまった。
次に鷲羽岳を訪れたのは37年後の2002年の9月末であった。私は鷲羽岳に最初に登った15年後から深田久弥の日本百名山を目指すようになったが、むしろ日本標高ベスト百山に登る事に重きをおいていた。その最後の記念すべき百山目となる祖父岳に登るために雲の平に入った。前にも雲の平は訪れているが巻き道で三俣山荘に行き、すぐそばの祖父岳の頂上を踏んでいなかった。2002年のこのときも素晴しい天気で、祖父岳の頂上からは今まで登ってきた山々が全て顔を見せ、標高ベスト百山達成をお祝いしてくれて、百山目の山を祖父岳にして本当に良かったと感動した。その感動を引きずって岩苔乗越からワリモ岳、鷲羽岳に登った。鷲羽岳山頂からの展望は37年前に比較して穂高連峰の上の方に少し雲がかかっていたが、やはり素晴しい展望を見せてくれた。頂上は同行してくれたN君と二人きりで、思う存分に展望をビデオに収める事ができた。
鷲羽岳直下の三俣山荘の展望食堂で槍ヶ岳を見ながら、N君と標高ベスト百山完登の祝杯に大ジョッキの生ビールを立て続けに空けたのは最高の想い出である。
写真:三俣蓮華岳山頂から朝の鷲羽岳
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