休日にゆっくり家を出て小田原からバスに乗り、大涌谷で下車して付近を散策した後、落ち葉の積もった山道を芦ノ湖畔(たぶん湖尻)まで歩きました。
道中父親と何を話したか覚えていませんが、大涌谷で黒卵を食べたことと姥子(うばこ)温泉という名前をかすかに記憶しています。
今でも鮮明に記憶しているのは以下の情景です。
夕刻に芦ノ湖畔から乗った帰りのバスは、一旦大涌谷へ登り暫く停車した後、小田原へ向かう路線でした。
私達親子は、ほぼ満員のバスの後方に座っていましたが、大涌谷の停車時間中に父親は「便所に行ってくる」と言って下車しました。
薄暗い車内に残された私は、なかなか戻らない父親を待ってだんだん心細くなりましたが、周りは知らない大人達ばかりです。
そのうち男性の車掌がバスに戻り、「それでは発車します」と合図しました。
「このままでは父親を残してバスで連れ去られる」と焦った私は、思い切って「まだ一人います!」と声を絞り出しました。たぶん半泣きだったのでしょう。
幸い声は車掌に伝わり、バスは父親の戻るのを待ってから発車しました。
緊張から解放された私は、父親の横で眠り込んでしまいました。
この頃の私は大人しく引っ込み思案で、知らない大人達の中で大声を出すなど思いもよりませんでした。
今思えばこの一件以来、私は少し積極的に発言が出来るようになり、困ったときは恥ずかしがらずに声を挙げれば、事態は好転することを学びました。
【写真 箱根大涌谷 近年】
いつもノスタルジックなエッセイ楽しみにしています。
私も箱根の黒卵の思い出は何故か鮮明に覚えています。全く前後のシュチュエーションは全く覚えていませんが、たぶん黒い卵なんて生まれて初めて見たんでしょう。
そこに今は亡き、家族思いの父がいた事は間違いないはずです。自分も人の親になって初めてその気持ちが分かる様になりました。
私の拙い雑文にご興味を示してくださり、ありがとうございます。
齢を重ねると、大人になってからの事柄よりも子供時代の断片的な記憶が鮮明に思い出されます。
私は、皆さんの様に詳細な山行記録をご披露することはもう叶いませんので、日常の出来事や昔の記憶などを書き散らしています。
よろしければ、これからも拙文をご一読くだされば幸いです。
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