公害告発小説である。
日露戦争の時代、富国強兵、日立鉱山が兵器増産のために銅山の精錬所を拡充していく中で、煙害という公害問題を取り上げた作品である。
私が小さい頃は、今で言う花粉情報と同じレベルで、光化学スモッグ情報が流れていた。
今日は光化学スモッグが発生する可能性がありますよ、気をつけてくださいという情報だ。
今の日本では想像もつかないことだ。
車の排気ガスや工場から排出される煙への関心は対策が進んで一般市民の関心は薄いところだが、今でも中国から偏西風によって流れてくるPM2.5や黄砂の被害は九州だけでなく広く日本全体に影響がある。
煙害というと足尾銅山や四日市のコンビナートが思い起こされるが、便利さや経済と環境問題との衝突はいまでも原発問題の中にうかがい知ることが出来る。
人間が目先の豊かさや便利さを追い求め、痛い目に遭って公害の抑制や環境問題の大切さを初めて知るのだ。
登山で山に入ると、環境問題の一つに関連して、太陽光発電推進に疑問を持つことがある。大切な山の樹木を伐採し、一面ソーラーパネルの海が彼方此方に出現している。
化石燃料由来でない電気を作ると言いながら、その為に山の自然を破壊している実態があるのだ。そして風雨で壊れたソーラーパネルは大きな廃棄物として山中に放置される。
治水のためにダムを造り、そのダムが土砂で埋まると又その奥にダムを造るという悪循環・・・。
色々なことを感じさせてくれた一冊であった。
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