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コロボックルヒュッテは、今ではショップとレストランも併設する大きな施設で、春から秋にかけては登山客より観光客で賑わいを見せているヒュッテです。
車山肩の駐車場から車山へ向う途中に建てられていて、若者向けするヒュッテとして認知されていますが、創建当初は寂しく訪れる人も少ないランプの宿でした。
エッセイストとしても有名な手塚さんが、その山小屋で一人静かに認めたエッセイの数々は、偉ぶったところが全くなくホッコリする易しい文章です。
静かな霧ヶ峰の草原が目に浮かぶようです。
ゼブラ山、山彦の北の耳、山彦の南の耳などは手塚さんが命名した地名のようです。
この本を読み進むうちに、霧ヶ峰は近い将来樹木のほとんど無い草原から樹林帯へ変貌してしまうことに気付かされました。霧ヶ峰の森林化です。
霧ヶ峰は八幡平のような樹林に蔽われた山になっていき、今のような草原景色は失われるのです。
元々人間の手が入らなかった大昔は樹林の山だったのであり、長い年月を掛けて昔の霧ヶ峰に戻っていくのです。
手塚さんによるとその原因は三つだそうです。
�� 草刈りや火入れをしなくなったこと
�� 道路（ビーナスライン）の開通
�� 人工植林
麓の農家が牛や馬に頼らなくて良い農業に変貌し、餌にする干し草が不要になり、干し草を育てるための火入れをしなくなりました。
経済効果を上げなくなった広い土地から少しでも収益を上げるために植林が開始されました。
自動車道路の開通を契機に、帰化植物が増え牧草から草原に変化していきます。
八幡平のような針葉樹林ばかりの森なのか、はたまたカラマツやアカマツ、モミなどの針葉樹林とミズナラやノリウツギなどの広葉樹林の入り交じった森になっていくのか・・・いずれにしても草原は次第に消えていくのです。
その草原もヒメジョオン、セイヨウタンポポなどの帰化植物が多くを占めていくのです。
ミヤコザサの多かった、しなやかでやわらかな感触の草原は失われていきます。
霧ヶ峰の森林化について、本来の姿に戻り始めたとも考えられることから、手塚さんの心は微妙に揺れるのでした。
画像（1）単行本表紙
画像（2）コロボックルヒュッテの看板
画像（3）八島湿原
画像（2）（3）は私の山行から掲載
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5670216.html
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