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残念ながら少し山歩きはお休みだ。
服部文祥氏の「息子と狩猟に」を少し前に読んで、服部文祥という著者に興味を持ちこの本を読んでみた。
「息子と狩猟に」はノンフィクションというか実体験に基づいたフィクション小説であったが、この「サバイバル登山家」はノンフィクションである。
圧倒的な迫力で迫ってくる山岳ノンフィクションだ。
後半に出て来るパーティを組んでの冬山登攀記である「三つの初登攀」は他にも似たようなものがある登攀記である(とはいえ、サバイバル登山家ならではの視点での記述が特徴)が、ソロの縦走記は類い希な、それこそサバイバル山行記である。
テントは使わずにタープ、食料は調味料以外持ち込まずに現地調達(サルナシの実や岩魚、カエル、ヘビ、茸、ミズナ、ギョウジャニンニク等々)、携帯電話やGPSなどは一切持ち込まず、ヘッデンも持ち込まないという恐ろしい(としか私には思えない)過酷な装備で人の居ない山奥に入る。
南アルプス奈良田から黒河内に入る初っぱなのサバイバル山行から圧倒された。
知床山山縦走、冬期蝙蝠尾根単独行、日高全山ソロサバイバルに至っては、そのリアリティの持つ力にグイグイ引き込まれてあっと言う間に読み進んでしまう。
冬の黒部の横断は単独行ではないが、和田城志(わだせいし)というこれまたとんでもない強者のことを知った。
カエルを食べる前に毒抜きが必要(毒腺から出る毒を良く洗う)
アメマスとは岩魚の中で海に下ったモノ
枯れたギョウジャニンニクの根元を掘るとラッキョウのような球根がある
岩魚のムニエルを作る際には調理前に岩魚を少し風に通す。水分が多いと身が反り返り、フライパンにくっつく
大キジを撃ったら紙で拭くより雪で拭いた方が清潔
などなど、そうなのかという山で生き抜くための知識が沢山得られた。(とはいえ実戦することはないだろう。)
服部文祥(旧制は村田文祥)氏は私より10歳年下のようだから今55歳か。
和田城志氏は私より10歳年上だから今75歳か。和田は1999年体力の限界を感じ登山の一線を退いている。50歳でのことか。
服部文祥氏はその後狩猟免許も取得し、実際に鹿や熊を撃っている。
この本を読んで、「息子と狩猟に」が生まれた背景やあの文章が生まれた礎が理解できた。だからあのリアリティ有る文章が生まれたのだと。
服部文祥氏も55歳で三人の子供の父親、サバイバル登山からは少し離れている模様だ。
子供達と虫取りに行くのが楽しみだと書いている。それでいいのだ。
最後に、全く関係ない話かも知れないが、太平洋戦争終結後に何十年も一人で行き続けた小野田さんや横井さんのことを思い出した。
彼らは武装解除の命令がなかったので、そのまま孤島で戦闘状態のまま生き続けたのだが、きっと火を熾したり、動物を捕まえて捌いたり、食べられる木や草を選んで食べたり、寝る場所を作ったりして生き延びていたのは、服部文祥氏のサバイバル登山と共通点が有ると思った。
最後に服部氏の文祥を引用して終わりたい。此処に彼の考え方が凝縮されている。
「登山を通して強くなったと実感することは、シンプルな喜びである。生き延びる自分を経験すること。ここに僕の登山のオリジナルがある。体験は目には見えないが、僕のからだの一部となり、僕を確実に変化させている。自然には意志も過ちもなく、純粋な危険があるだけだ。その危険に身を晒す行為に、情緒と感傷ををくすぐる甘い香りが漂っている。」



この本は本物のみ持つ重みを感じます。とても私には真似のできない極限を追求する人ですね。
そうでしたか、「岳人」のスタッフでしたか。山に行くので一ヶ月休みますと言ったときに、一度退職すればといわれたのに、戻ってみたら自分の席があったし又仕事をさせてくれたという記述がありましたが、「岳人」は流石に太っ腹な雑誌ですね。服部文祥を非正規とはいえ雇っていたのは腹が据わっているほんものの雑誌です。
服部氏がヤマレコ等を否定されるのは当然かと思われます。
私はこれからも計画の段階から実際の山行中もヤマレコ頼りで山に行きます。
インフルエンザに罹患とのこと。お大事になさって下さい。
先日の「息子と狩猟に」の日記も読ませて頂き、お気に入り日記にさせて頂きました。私も服部文祥さんのファンです。
「サバイバル登山家」、服部さんが36歳の時ですね。お若い!
発売してすぐ購入した「北海道 犬旅サバイバル」(2023年9月)、少なくともこの時まで サバイバル登山が続いております。子供とじゃ無く 犬と。(私も犬と山歩きをしているので、とても共感出来ました。)
彼の本音が満載で、大ファンになりました。
サバイバルかどうかは ?ですが、その後もロングトレイルを続けておられるような気がします😉
あと数日、有意義な休養となりますように✨
久し振りのインフル感染、熱は下がったのですが鼻づまりが治らなくてまだ辛いです。
拙い日記をお気に入りに入れて貰って恐縮です。
服部氏はサバイバル登山は卒業されてもロングトレイルは続けられているかも知れませんね。
「北海道 犬旅サバイバル」も面白そうですね。読んでみたくなりました。
ありがとうございました。
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