なぜ、しんどい思いをして、また山を目指すのか?
いくつかの理由は挙げられるが、今ひとつしっくりこない。
でも、この本にあった、下記の表現は、言い得て妙だと思った。
『背丈を越えるような藪を掻き分けながら進み、冷たい淵を泳ぎ、泥にまみれる。
はたから見れば意味のないような行為に情熱を注ぎ主題を置く。
ナンセンスなように見えてそこに喜びと発見があるのだ。考えて見れば多くの登山者は、
好き好んで休みの日に山に登るのだ。山ヤと呼ばれる人種の中で家族や同僚に
「なんであえて大変なことするの?」と聞かれたことがないものはいない』
決して経験の無い人には、理解されることのないであろう価値観。筆者の様な強烈な沢登りは真似出来ないが、価値観は共有できると思った。
沢登りに興味はある。赤木沢の美しいナメ等、いつか遡行してみたい。ただしソロで挑むには、無理がある。単独行では、なにかが起こった時のリスクを、どうしても担保できない。強く感じたのは、奥黒部を縦走したときのこと。
長い読売新道を下りて、奥黒部ヒュッテに到着したときのこと。小屋の前で、休憩されている方とお話させて頂いた。その方は2人組で行動されており、黒部川の上ノ廊下を遡行する計画であったが、入渓初日に、単独行遭難者の第1発見者となり、小屋に引き返して、通報したとのこと。楽しいはずの山行きが一変し、すっかり肩を落としていた。
複雑な心境でお話を聞かせて頂いた。自然を相手に向き合う山を侮ってはいけないと、強く考えさせられた出来事であった。
「外道クライマー」久々に面白い本と出会えたと思う。本物の沢ヤが書いた漫画の様なエピソードが、ぎっしりと詰まっています。冒険好きな方に、是非お薦めします。
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