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今日は、自戒の念を込めて、そして、これから山を志す方が、私と同じ過ちを繰り返さないために、敢えて自らの恥を晒そうと思う。
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私の地元、六甲には、多くの谷がある。その中の一つに、大月地獄谷がある。永らく廃道状態であったこの谷筋に、ベテランさんが新しく道を付けたという情報を元に、この谷の入り口に向かった。
住吉霊園の脇から沢に下り、遡行を開始。歩き始めてすぐ、ほんの5分ほど、少し高さのある堰堤を乗り越えようとしたそのときに、事件は起こる。
「急なトラバースで危ないなぁ」と思って足を踏み入れた瞬間、足が宙に浮き滑落。
スローモーションに、そして確実に、頭から真っ逆さまに落ちていく...。
そして、堰堤下の深さのある水の中に落ちた。無我夢中で、這い上がり、沢でへたり込む。あ〜、やってしまった...。
気が付くと、メガネがない。スマホは?とりあえず、家に連絡だ。だが、スマホは、水没して電源が入らなくなっていた。
頭から落ちたので、頭を恐る恐る触ってみると、頭皮が割れて血が流れ出ていた。こりゃやばい。あかんやつやん。とりあえず、戻ろう。
水に沈んだメガネの回収は諦め、谷からの脱出を目指した。近くに柵が見えた。柵を乗り越えた先は、霊園墓地の敷地であった。
ここで誰かと出会っていたら、さぞかしびっくりしただろう。全身ずぶ濡れで、頭から血を流す人が、お墓に突然現れたのだから。
休憩所に入って座り、タオルで全身を拭き、呼吸を落ち着けた。スマホを取り出すと、なんとか電源が入った。ラッキー。家にいる嫁さんに連絡がつき、事情を話すと、すぐに車で迎えに来てくれた。
とりあえず自宅に戻り、血まみれの頭をシャワーで流した後、嫁さんの付添のもと、休日救急外来を受け付けている神戸市立中央市民病院に車で移動。
受付で「どうされました?」と聞かれて、事情を話し、頭を見せた。「あっ、こりゃひどい。すぐ処置室に搬送します」といって車椅子に載せられ、処置室に担ぎ込まれた。
(不思議なもので、車椅子に載せられた瞬間、立ち上がれなくなった。緊急事態を察知して、私の体を動かし続けてきた非常用バックアップ回路が事切れた瞬間でした)
頭部数針を縫う怪我でした。
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あれから数年が経つ。
なじみの散髪屋に行けば、「あのときは大変だったね。でももう、跡形も無いよ。髪の毛も生えてるよ。良かったね。」と時折ネタにされる。笑い話で済んで良かったと、心底思う。(下手をすれば、あの世行きでした)
低山だからといって、油断をすると痛い目にあう。そんな事例をご紹介しました。
この山行後、私は山に入る前には、必ず「護身法」を結ぶようにしている。自分の心に潜む「油断」という魔物を排除するために。
皆さんの山行の際、遭難防止のための注意喚起の一助になれば、幸いです。
kickeyさん、こんにちは
歩き始めて5分で、そんな事が起こるなんて
リアルな映像が目に浮かんでくるようで…思うだけで怖いです
よくご無事で。
こないだ金剛山の なんもないトコで頭流血されて、周り誰も救急セット持ってない事にビックリ。靴擦れ用のでっかい絆創膏あげましたけど…
低山で思い出すのが朽木温泉への下山です。ゴール直前に道間違えてあわやビバーク。水も捨ててしまって、ヒヤリハットでした。
最近多い 軽装で 装備を極力持たない人を見ると、心配です。
アルプス、雪山、バリルートだから…じゃなく、低山でも何かあれば遭難、行動不能、脱水、低体温、になるかもしれない…ですよね
山に入る前は、必ずお風呂入って身を清めて、神棚に手を合わせてから 家を出ます (^。^)
我らがヒーロー、田中陽希さんの講演会でも話されていましたが、「もう少しで下山口という所で、足を滑らせ捻挫した。」とか、普通では、考えられないことが起こる。
「油断」が招いた事故の典型例だと思います。
大キレット通過、とかの場合は、危険であることを承知の上、誰しもが集中して臨むのですが、低山だとどうしても気がゆるむ。そんな場合の方が、実は危険なのです。(低山でも命を落とす危険性は、大いにあると思います)
山は本質的に危険な場所なのです。その認識を決して忘れないでほしいと思います。
皆さん、ご安全に!
kickeyさん、
ハラハラしながら読ませていただきました。
意識を失っていたらと思うと危なかったですね。
「車椅子に載せられた瞬間、立ち上がれなくなった。」
その気持ち、すごく良く解ります。
私も基本的に単独山行が多いので肝に命じます。
Kumainkobe ฅʕ·ᴥ·ʔฅ
Kumainkobeさん、こんにちは。
自分で書いておきながら、自分でもドキドキしてしまいました。
(まるで、昨日のことの様に脳裏に焼き付いています)
こうして、生きていられるのは、ただ運が良かっただけです。
(閻魔様の前まで行き、「お前は、ここに来るにはまだ早いから帰れ!」と
言われたのだと思います)
単独で山をする人は、どうしてもなにか起こった場合の安全を担保できない。
それを承知の上で、何重にも備えて、山で遊ぶべきだと思います。
これからも、ご安全に!
kickeyさん、こんばんは。その後、後遺症が無いならばご無事で何よりですね。
レコに失敗談をあげる方はいらっしゃいますが、事故に繋がるリアルなヒヤリ・ハットの詳細報告を見たことはありませんでした。この話...私は特に高い所が苦手なので、読みながら足がジンジンしてきましたが、怖さを感じるのと同時に、よくぞUPして下さった、という気持ちになりました。
最初はおっかなびっくりだったのに、山に慣れるに従って、山に行くことは危険を伴うものだという意識が薄れがちになってしまっています。人から山のヒヤリ・ハット聞く機会がないので、こういった日記を上げて下さるのは、自身の戒めとして受け取れるので有り難いです。
また、どういった状況でその事態になったかを分析する機会を与えてもらえるので、ヤマレコにヒヤリ・ハット報告メニューがあればにいいのにな、と思いました。
dxfさん、コメントありがとうございます。
おかげさまで、頭の傷は今ではすっかり元通りになり、何不自由なく生活できております。本当にありがたいことですね。
山は、ステップアップを急ぎすぎると駄目だと思います。特にソロで行く人は、気を付けないといけないと思います。自分の技量を越える山に入ると、間違いを犯す危険性は高くなります。そして結果的に、多くの人に迷惑をかけることに繋がります。
単独で山に行くということは、たとえ何が起こっても、その結果を自分で負う覚悟が必要だと思います。(パーティの場合には、リーダにその覚悟が必要)。それは、低山であっても同じ。
お互いソロで活動することがほどんどだと思います。心の手綱を緩めずに行きましょう。
これからも、ご安全に!
kickyさん、こんにちは。
魔が刺すと言いましょうか、私の一番の滑落も近所の岩湧山の簡単な谷のトラバースでした。宙に浮いた後はスローモーションで、何故か斜面を蹴って岩のない平たいところに着地しようと判断できる余裕があり、実際には思った所に足から落ちる事ができました。ジンジンして暫くは動けなかったですが、少し着地点がずれていると数メートルとは言え大ごとでした。
気をつけてはいると頭では思っていても、実は身体や精神が付いてきていないかも知れないと吟味するきっかけになりました。焦り、寝不足、慢心etc. 考えられる原因は数あれど大抵は乗り越えれる、でもふとした時に…この「ふと」はきっと捉えられないだろうと…。一つ一つ丁寧にして行くしか無いだろうといつも考えています。
滑落を経験した人は誰しもが思うのです。あの1歩をなぜ自分は踏み出してしまったのだろうと。
今回の場合も、事前に危険を察知したにも拘わらず、踏み出してしまった。たとえ、単独行でも「お前の判断は正しいのか?」という第三者的な視点を持つ自分がいれば、異なる判断ができたでしょう。もっと安全なルートを探す、あるいは、どうしてもルートが見つから無ければ、引き返す選択肢も取れるのです。いくらでも、防ぎようがあったはず。後悔先に立たずとは、よく言ったものです。
生かされた命、大切に使おうと思います。
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