ゴルフというものをまったくしないからよくわからないのだが、日本のゴルフ人口は、私なんかが若い頃と比べると、やっぱりかなり減っているのではないだろうか。とりわけサラリーマンの接待ゴルフというやつは、どの企業でも経費削減に躍起となっている昨今、どんどん少なくなっているように思う。
一方、中高年の登山者はどんどん増えている。その中には、企業の部長さん、役員さんなど、お偉いさんがたもけっこう含まれるのではないか。(賭けてもいいが、このヤマレコのメンバーの中にも、おそらく何人もいらっしゃるだろう)
そこで、私の予測はこうだ。「中高年登山ブーム」「山ガールブーム」の次に来るのは、「接待登山ブーム」ではないか。大事なお得意先のお偉いさんに山好きな人がいる、という営業マンのあなたは、急いでこの私の日記をブックマークしておいたほうがいい。
あなたが、とあるお得意先のお偉いさんの歓心を買うために、接待を試みようとする。だが、もしその人が山登りをする人だったら、ゴルフに誘っても来るわけがない。天気のいい休日にゴルフするぐらいなら、山に行こうと考えるからだ。あるいは金曜の夜などに飲みに連れ出して、「どこそこのお店にいいコがいますよ、もう一軒行きませんか、明日お休みだからいいじゃないですか」と、高級クラブに誘おうとしても、翌日の山行にそなえてさっさと帰ってしまうかもしれない。そういうお偉いさんには、ゴルフでも女の子でもない、「接待登山」に限る。
お得意のお偉いさんにつきあって、一緒に山を歩くのである。そして、接待ゴルフと同じように、すべてにわたって気をつかい、時にはヨイショをしてあげる。
「いよっ!松浦部長、ナイス三点確保!!」
「なんだい、おおげさだよ、田中君」
「やっぱり、フォームがいいですねえ、部長は」
「家の近所にある神社の石垣でちょっと練習したからね」
「いやいやいやいや、天性のものですよ、部長の場合」
なんて歯の浮くようなことを言って、相手の気分を良くしてあげるのだ。もちろん、できるだけ眺めの良い、居心地の良いポイントを休憩場所に選んだり、相手が疲れてきたな、と思ったらすかさずアメを出して口に入れてあげる、などの細かな気配りも忘れないようにしたい。
さて、このような接待登山が広く行われるようになったら、当然、各地の山小屋も接待登山客のニーズに応える新しいバリューを提供しなければならないだろう。
すぐにできることでいえば、売店で販売している飲み物や食べ物の高級化があげられよう。ビールはプレミアムビール、ジュースはご当地物の100%天然ジュース、酒肴にはキャビアの缶詰、まあこれぐらいは用意したい。ドンペリをはじめ年代物のウイスキー、ワインなど高級酒も必要になるかもしれない。売価はできるだけ高く設定すること。そのほうが接待登山客たちには喜ばれる。いちいち領収書を発行しなければならないので、手間は増えるが、これは山小屋の収益増にかなり貢献するだろう。
そして、小屋を増築または改築して、接待登山客専用のラウンジスペースを設ける。できればキレイどころも常駐させたいところだ。
「ああら、マーさん、すっかりおヒサだったじゃなあい。どこで浮気してたのよん。あ、わかった。あたし知ってるもおん。○○岳山荘にすっごくキレイな新人が入ったんですってね」
「ははは。馬鹿だなあ。何言ってるの。君に会うことだけ考えて、今日も○○岳山荘をノンストップで通りすぎてさあ、雨の中をさあ、あのキレットを越えてさあ、ここまで来たんだよお。ねえ?田中君」
「まあまあ松浦部長のモテること、モテること。さささ、それはいいから、部長の十八番いれてよ。『いつかある日』ね。ささ、部長、デュエットお願いします!」
かくして、夕闇迫るアルプス稜線の山小屋の小窓から、カラオケの「いつかある日」のデュエットが漏れ聴こえ始めるのである。
そうなったら、あれだなあ。そのうち「同伴登山」なんてのも、出てくるんだろうなあ。ザックから帽子から雨具から全身ヴィトンでキメた山ホステスと山オヤジが、腕組んで登山道を歩く、という。
ああ、おぞましい。
面白い!!!
札幌に居た頃、「スキー接待」をしたことがありますが、「登山接待」イイですねぇ〜。
ところで、これだけ事細かに情景描写ができるということは、『北新地』の経験豊富ですね。
こんばんわ。donburiさん細かい夜の世界の描写
silverstarさんがおっしゃるとおりで北新地
私は バブルの頃数回あるだけです。接待登山が
盛んになると「社長のザック高そうですね
持てないでしょうから
気を遣いますね
あはは、朝から笑わせてもらいました
そして、素晴らしい文章表現に感嘆!
はじめまして。
まさしく今、接待登山を求められて悩み中、
日記で相談しようかと迷っていたらdonburiさんの日記に遭遇してビックリしました
得意先の会長の初(?)登山にいきなり東北の名峰を指示されてどうしたら良いのか逃げ出したい気分
このような会話や気配りも必要なのですね
このまま来月前半まで雨予報が続いてくれることを秘かに願っているのです
また参考日記お願いします
>siverstarさん
「スキー接待」もいいですね〜!(笑)
私は営業職ではないので、あんまり新地には行ってませんが、それでもバブルの頃などは、お得意さんの接待に、営業マンにつきあって同席することもありましたね。そんな時、「ああ、これが登山接待やキャンプ接待だったら、もっと楽しいのになあ」とよく思ったものでした。
>miccyanさん
北新地も今は、ごたぶんにもれず閑古鳥が鳴いているようですよ。私もすっかりごぶさたです。これは好みによると思いますが、私はそこらへんの安い居酒屋で飲むほうが好きですねえ。
>melonpanさん
バカ話でどうもすみません。「登山を冒涜するな!」と怒る方も出てきそうでびびっています。。。
>kozakuraさん
マジですか?!
私もビックリしました。ジョークのつもりで書いたのですが、うーん、まさに「事実は小説より奇なり」ですね!しかし、お気持ち、よくわかります。好きなことに仕事がからんできたら嫌ですからね。。。
凄いです。
何が凄いって、文章の面白いこと面白いこと。
もう、ヨイショでも何でもなく、本心から言わせて頂きます。
「いよっ!donburi部長、ナイスヤマレコ日記!!」
プロの書くコラムでも、こんな面白い文章まず出会えない気がします。
良いもの読ませて頂きありがとうございました。
皆さん、こんばんは。
数年前にそんなことになりそうになったのですが
非常時の救援隊とヘリコプターの手配を条件に出したら
没になりホットしたことを思い出します。
日常から離れるための山に仕事の延長、その上
命を預かるなんてことはお断りです。
donburi先輩!
いよいよ炸裂!本性(あ、イヤ、本領)発揮!ですね。
でも、ビックリですね!本当に接待登山があるんですね。
何か中高年登山禁止法も現実になりそうな気になったりしてクワバラクワバラ(今時こんな表現使わない?)です。
はじめまして。
国会法案の次は接待ですか
重厚な「八甲田山死の。。」の日記を書いた同じ人とは思えないユニークな発想力
発想力のエキスをお裾分けして頂きたいっス!
はじめまして。
国会法案の次は接待ですか
重厚な「八甲田山死の。。」の日記を書いた同じ人とは思えないユニークな発想力
発想力のエキスをお裾分けして頂きたいっス!
P.S. すみません二重送信してしまいました(^^ゞ
登山も接待となると、やっぱりゴルフ並みの
気配り・ヨイショが必要ですね。
私は接待というほどの物ではありませんが
メキシコからのお客様数名を蓼科山方面の登山に
連れて行ったことがあります。
ラテン系で大騒ぎでした
はじめまして。
何を隠そう小生が山の世界に復帰したのは「接待登山」(at高尾山)でした。
取引先の方と山の話で盛り上がり、山道具を再び買い揃えてお供する事に・・・
でも今ではミイラ取りがミイラの如く、すっかりハマッてしまい、導いていただいた取引先の方には感謝しております。
さすがに山では「ヨイショ」はヤリ過ぎのようで、気配りとして若輩の小生は、装備(水、ガス、救急セット等々)を余計に担ぎ、お茶サービス・地図手配など、ポーターもしくはシェルパとなりきり精進しております。(自分のトレーニングにもなります。
ゴルフ・酒と違い余りお金はかかりませんが、会社に経費を認めてもらえないのがチョッとつらいですね
>takecさん
ありがとうございます。
しかしながらそれはやっぱり褒めすぎで、くすぐったいです。
馬鹿もおだてりゃ木に登ってしまいます。
>shigeさん
へえ〜!やっぱりそういうことあるんですね。本当に。
「救援隊とヘリコプターの手配が必要」って、確かにそうですね。
仕事上のリスクヘッジを考えると、そうなると思います。
>bokemonさん
いやあ。あるんですね〜。皆さんからいただいたコメントを見てビックリしました。私が時々一緒に山に行くメンバーの中にも、前の会社の得意先企業の人がいるんですけど、その人はまったく友達みたいな人なんで、接待登山とはほど遠い感じなんですけどね。
>bonbonmaruさん
ウケていただいて恐縮です。
暇にまかせて馬鹿なことを書くのが好きなだけなんで、
お恥ずかしい限りです。
>sakusakuさん
なるほどそれは楽しそうですね。
接待登山でも、そういうシチュエーションならそれなりに楽しめそうですね。なるほど〜。
>harutakeさん
はじめまして。harutakeさんの場合も、幸運な接待登山の実例ですね。案外、harutakeさんの方が接待されていた、ということになるのかも。(笑)。あー、しかし、会社に経費を認めてもらえないのは、ちと痛いですね。
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