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ウチには半世紀ほど前から固定電話があった記憶がある。
最初の電話器はダイヤル式の黒い電話器だった。録音機能も何もなく呼び出し音はビックリするほど大きい。
深夜の間違い電話、いたずら電話、しつこい勧誘、選挙のお願いの電話に何度となく不愉快な思いをさせられた。
公休日なのに会社の口うるさい上司から電話があり説教された事もある。
ホントに電話にはいい思い出は何もない。
父親に「もう電話を止めようよ」と話した事もある。
しかし戦友会の幹事をしていた父親は電話を頻繁に使っており「バカ野郎！電話を止めてどうすんだ！」と怒鳴られるだけ。全然聞き入れられず。
戦友会の人からの電話を私が取る事もあるが、その人の名前を聞き忘れるとまた怒鳴られる。
父親が他界してからは、これでもう電話に悩まされる事もないだろうと思った。すると今度は今まで籠の中の鳥だった母親が羽を延ばし、詩吟の会に入り頻繁に電話を使うようになった。
もう勘弁してくれよ。オレは電話の取り次ぎ役じゃねーんだよ！
その母親も今は高齢で寝たきり状態になった。
もう電話には詐欺電話ぐらいしか録音されていない。
昔は固定電話の権利を買うのに10万円近い金額が必要だったらしい。
解約してもそのお金は戻って来ないが、このままずっと基本料金を取られるのもバカらしいので解約する事にした。
固定電話がないと災害が発生した時に困るという意見もあるが、そんな事をいちいち気にしていたら何も出来やしない。その時はその時だ。
新聞も取るのを止めたので、これで年間約７万円の節約になる。
これも終活の一環だ。自分には子供がいないし、姉や姉の子供には迷惑をかけたくないので。
何かスッキリした。
さて、次は何を処分しようか。
