「朝の気は鋭、昼の気は惰、暮れの気は帰。」
『孫子』軍争篇第七より。
ここは、軍隊の士気が一日で変化する様を述べたくだりである。「帰」とは一説には陣営や自国に帰ろうとする様子、他説には戦意が失せ果ててやる気が喪失する様子という。孫子は作戦の書であるから、一日のうちどの時間の敵軍を攻めるのが一番効果的であるのかを説く。事前によく準備することができたならば、敵の寝込みを襲う夜襲は最も戦果を挙げることができるであろう。
古代中国思想において「気(氣)」とは、人間の生命を成り立たせているエネルギーを指して、大宇宙・大自然から人間に分与されて、体内で大きくなったり萎(しぼ)んだりする。古代中国では、人間の頭と体の両方が最も気に満ちて活動的になるのは朝の時間である、ということを知っていた。「朝廷」とは、古代中国の王が重臣会議を毎朝の時間に行っていたところから来た言葉である。国家の大事な事案は、朝陽が降り注ぐ早い時間に決断するならわしであった。
山登りはなにも敵軍を襲撃する必要はないが、孫子の説く朝・昼・夕の気の変化は、山登りをする人であれば誰でも感じることであろう。もっとも昼から登り始めることを好む人もいるし、夜歩きを好む人もいるだろう。それは人それぞれであるが、人間のおおかたの中心値は孫子の言う朝・昼・夕の活動力の変化あたりにあるだろうと思われる。あんまり遅い時間から集団で登り始めると、帰りの電車やバスを気にする人が出てくるであろうし、冬の季節にはまもなく暗くなって人心を不安にしてしまうかもしれない。
夜ひとりで歩いて背後でガサガサいわれるとビビリンで歩けなくなる恐れがあります
孫子の兵法とは関係ありませんが夜歩きはなるべく控えたいと思います
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