江戸時代のお宮参りの旅行解禁により旅行案内本として解釈されている『東海道中膝栗毛』は当時の旅行が割と命がけなことから遭難対策本とも捉えられます。
主人公の弥次さん・喜多さんの名前に「喜びが多い」と未来永劫を表す「弥」の字を使っているのも縁起担ぎと考えられるかもしれません。
*:万歳より弥栄(いやさか)の方が歴史が深い。
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以前、秋田県の生保内川源流部で源流遡行ツアーを行った組織(県外団体)がありました。
組織のその後は知りませんがその時の記録が見つけられないため当時の報道を記憶の限りで伝えたいと思います。
*:後日、他の方の日記に同様と思われる内容を発見。詳細が異なるのは当事者側の情報と報道側の情報が違うためと判断し、この日記は報道をベースにしたものとしてこのまま残します。
▽ ▽ ▽
この組織は源流遡行ツアーのプロといえる団体だが、ツアー客1人がまぶたの上を虫(アブ・蜂 ?)に刺されて腫れ上がり行動不能となった。
雨模様となってきたため行動可能な他のツアー客を案内する側と虫刺され客に付き添う2人(リーダー含む)に別れて脱出組は無事に下山。
停滞側は雨水増水を避けるため山側を登りわずかでもビバークしやすい場所を見つけて待機。
元々源流遡行なのでビバーク装備は所持。
脱出組とビバーク組のどちらが通報したかは不明だが食料等は十分に揃えており雨のやむのを待っての連日ビバーク。
この時のGPSは使用機種・座標系が不明のため位置情報の正誤も不明。
警察は沢筋水量・山域が急斜面なことから二重遭難回避のため入渓ポイント付近にて連日待機。ビバーク組との連絡は取れていた。
連日経過後、雨の弱まりとツアー客が行動可能となった事から付き添い2人のサポートにより脱出・下山を果たした。
△ △ △
今回は下山遅れとも言える遭難ですがツアー組織として立派に責任を果たした具体例であり、沢登りの危険性と遭難救助の難しさを考えさせられてしまいます。
単純な雨水増水だけであれば体力が残っている間に急斜面を慎重に登って尾根筋を北上する事により岩手県側の国見温泉に脱出するルートもあったかもしれません。
県境付近のこと故に管轄の違いから難しいかもしれませんが…。
勝手に公開しているため訂正箇所等のご意見があれば遠慮無く申しつけ下さい。
*:私はツアー組織名称を既知ですが公表する気はありません。
ツアー組織名を公表するコメントは勝手ながら削除させて頂きます。
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◇:前回の日記で不本意ながら自己責任という単語を使ってしまったため以下に記します。
自己責任という言葉に過剰反応を示す人は次の2種類に大別できると思います。
・驚くほどお気楽な無謀登山者。
・無謀登山遭難者の救助不要論者。
山渓さんの『穂高小屋番レスキュー日記』文庫版(初版)に丁度よい文章があったため引用させて頂きました。(追加増刷を祈っております)
▽ ▽ ▽
もう自らではその「責任」を果たすことができなくなっている状態を「遭難」というのではないのでしょうか。
〜(中略)〜
自己責任と自業自得は違います。
〜(中略)〜
「自己責任だから助けなくてもよい」というのは違うやろうと。まずは救うこと。
〜(中略)〜
ともかく助けてから、あとはドツくなりケトバすなりすればいい。
〜(中略)〜
目の前で助けを求めている人がいるのなら、走っていけばたどり着ける場所で救助を求めているのなら、ぼくたちが助けてあげたい。
△ △ △
これらの言葉を受けてどう思いますか ?
宮田八郎さん、篠原秋彦さん、谷口けいさんや登山誌を飾ったその他の方々に生前会ったことはなくとも、遭難者を助けたいという彼等の想いを受け継ぐ者がいる限り彼等は山の守り神として昇華され山岳文化として刻み込まれてゆきます。
少なくとも彼等に助けていただいた遭難者から見れば間違いなく神・女神として見えていたことでしょう。
「遭難したけど、どうすれば良いですか ?」という通報をしている時点で責任を放棄している自覚のない人が割といるそうです。
今やっと時間に空きができて「メシ食える」と口を開けた瞬間に救助出動のかかった側にだって食欲はあります。「お腹が減って力が出ない」なんて言い訳もそんな理由での救助ミスも許されないのです。
…という事に触れない上に「予防・原因・対策」を考慮することなく自己責任という単語の羅列だけコメントを繰り返すというのも如何なものでしょうか ?
明らかに遭難状況を知らない者からの渋々の一般意見をそのまま語っているのがバレバレの報道を目にすることがたまにありますが、これは遭難発生を伝える初期報道での誤謬情報とは別の問題です。
自己責任という言葉を使う人達は日常生活の全般において自己責任を果たしているのだろうかと疑惑・疑念がわき上がってきます。
夫が家事を一切行わないため夫婦げんかをしてトイレで泣いていた妻が、いつも少なくなったトイレットペーパーをこっそり取り替えていた夫の唯一の家事に気付いたという話を聞いたことがあるのですが…、う〜ん、微妙に伝わらない話だったかもしれませんね。
「山の恥はかきすて」よりは「山は道連れ、世は情け」のほうが楽しくなると思うのです。
全国の有名・無名を問わず山岳救助を支えてきた故人・指導霊・山の神々を含む全ての方々に万感の感謝を込めて山に入りましょう。
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楽しい思い出と共に安全下山することを願って。
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