登山の基本装備を揃えようとすると貧乏人はゴアテックスの扱いに困まります。ネットを見ても友人に聞いてもやはりゴアテックスでないとといわれる。でもゴアテックスを使用している装備は高いので、カッパはわかるが靴や手袋や帽子まで本当に必要なの? 似たような日本製の素材を使っている商品ではダメなのと考えてなやんでしまうことになります。
そこで調べて考えてみました。理論的な間違いがあれば是非ご指摘ください。
まずゴアテックスは防水性のある透湿性のある素材です。
効果は、
(1)外側の雨などが体側に染み込まない
(2)体側の湿度の高い空気を外に出す=中が蒸れにくい
この両方を実現しているのがすごいところです。(1)だけだったら、普通の雨ガッパでも十分ですから。ここまではよく知られたメリットです。
ここからがあまり知られていないところです。
上の水は通さないが湿った空気は通すというのはどうやって実現しているのかといえば、空気は通すが水は通さない機能は小さな穴がいっぱい構造で実現しています。小さな穴は水通れないが空気は通れるように設計されているそうです。
なのでいい素材かどうかは特徴である湿った空気の通過割合になりますが、
カッパが使われる場面の雨天時で機能をイメージすると結構機能発揮が難しいことがわかります。
湿った空気の移動の原動力は濃度勾配です。外側が大雨で湿度100%であれば、逆に体側に湿った空気が流れ込んできますし、カッパの表面を雨が多量につたって落ちる場合は水の膜となり、内部の湿度が外より高くても空気が外に出ることはできません。
なので体側の汗などにより生じる高い湿度を外に出す機能は、その時の周囲の環境に大きく影響を受けます。よって強い雨などの湿度の高い環境の時はこの機能は期待できないことを留意しておく必要があります。
機能が発揮しにくい環境においてはときどき体側の汗を拭くことやインナーを着替えることが冷え防止に有効な対策になると思われます。また濃度勾配によらず水蒸気が出ていける雨が入らない開口部があるものや自力で空気を入れ替えることも有効だと思われます。
これらは雨が少なく機能が発揮される場合でもこころがけておく必要がありますね。
汗をかきやすい方も同様です。
上の機能を考えるとカッパがもっともゴアテックスの機能が一番必要な装備であることがわかりました。雨に合いやすく着替えなども十分持てない高い山や数日間の山歩きを主にされる方は必須だと思います。それ以外の方は自分の登山シーンや性格などを考慮されて選択するのが良いと思います。
次は悩ましい靴の場合を考えます。
『カッパの表面を雨が多量につたって落ちる場合は水の膜となり、内部の湿度が外より高くても空気が外に出ることはできません。』
そのとおりです
ですので、素材の撥水状態が重要になります。
劣化して全く撥水しなくなったゴア製アウターでも防風着としては優秀ですが、雨具としてはゴム引き雨具と大差なくなります。
撥水性能維持のためにテキトーな撥水剤を使うと「湿気が通れる小さな穴」を塞いでしまうので、やはりダメ雨具になってしまいます。
ゴア雨具の賞味期限を明言する事は難しいですが、ある程度は消耗品と考えた方が良いようです。
gankoyaさん 水膜をつくらせないように外表面の撥水性が重要とのコメントありがとうございました。
ゴアテックス生地は二層あるいは三層なっており、いずれも外表面はナイロンなどの水を吸わない生地が使われています。たぶんこの生地とゴアテックスの間に水が入り込むのを防ぐ防水性を担っており、撥水スプレーはこの生地について、中に水を入れない働きになるのではと思います。
なおゴアテックス自体は撥水スプレーの成分と同じテフロンなので撥水性に問題はありませんし、劣化もないとの認識です。性能の低下は外の生地に細かな傷や繊維の隙間に細かな汚れが入り込んで、防水性がそこなわれるのが原因だと思います。
ずいぶん以前に「ゴアはすごい、ゴアテックスの手袋をした濡れた手が水の中で乾く」と聞いたことがあったので探してみたら動画があった。
https://www.youtube.com/watch?v=1ptEArBhHhY
あと参考になりそうなので。
https://yamahack.com/2047
heinaiさん 貴重な情報ありがとうございました。
実は参考のリンク記事を読んで、湿度の違いにより内外の湿気が低いほうへ移動すると考えました。メーカーさんもほぼ同様のコメントをされています。
しかし教えていただいた動画は英語?がわからず、どう理由を説明されているかわかりませんでしたが、上記の原理でいけば「乾く状態」になる内外の湿度差がでるのは難しいとの認識です。実際にはゴアテックスの手袋の手首側が空いているので、そこから体温で温められた湿度が外気に出て行っていると推測しています。
「実際にはゴアテックスの手袋の手首側が空いているので、そこから体温で温められた湿度が外気に出て行っていると推測しています。」とのことですが、それは間違いだと思います。あの実験のキーは外側が冷たい水であることではないでしょうか。返信不要です。
前回 カッパは透湿性能が必要と書いたけど実際買うとなるとかなり違いました。そこを補足しておきます。
ゴアテックス以外だとワークマンなどでは5000〜8000g/m2・24hr
ですが、モンベルでみると
40000〜20000g/m2・24hrのものがあります。
2.5〜4倍ですね。なのでしっかりとたしかめて選びたいでしね。
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