岐阜県が登山条例で北アルプスへの全登山者を対象に登山届の提出を義務化し、長野県も登山条例を検討している今、遭難を防ごうという規制策の是非について、賛否双方の主張を掲載。
【規制賛成】木下喜代男 岐阜県山岳連盟会長
1、登山届作成は登山者における計画の見直し、遭難が発生した場合の捜索救助の迅速化と、リスク管理に資する。
2、本来登山は自由であり規制はおかしいという議論は昔からあるが、もうそんなことを言っていられないほど山岳遭難や無知な登山者が増えている。
3、条例には盛り込まれなかったが、救助ヘリの遭難者実費負担や穂高の冬山登山における装備等チェックをすべき。
4、ツアーガイドに引率されるだけの「おんぶに抱っこの登山」者、とにかく踏破せねばと悪天候でも強行する百名山ハンター等、実力不足の登山者が目立つ。
5、山について学び、自立的な登山者となることが重要で、そのために山岳協会も一般登山者向けの活動を増やしていくべき。
【規制反対】溝手 康史 弁護士・登山家
1、登山届を出したからといって登山者が慎重になって遭難が減るとは思えない。岐阜県の条例では事前チェックが無いため無謀な計画でも受理されてしまう。
2、憲法上、規制は必要最小限かつ合理的でなければならないが、対象範囲が広すぎて事前のチェックも勧告・指導も無理な状況では遭難防止効果も期待できず、これでは妥当な規制と言えない。
3、救助の有料化については 海難救助等とのバランスがとれない。また、保険にも限界があることから、御嶽山噴火のような多額の費用がかかる場合は結局税金で賄うしかない。
4、程度の差はあれ、あらゆるものにリスクはあり、リスクがあるという理由だけで行動を制限することは人間の創造的な活動を阻害する。
5、行政がすべきことは、登山者自身がリスク判断力と危険回避能力を身につけられるようにする等の登山環境の整備であって、登山届の義務化等の規制や強制ではない。
【感想】
両者とも、現在の岐阜県登山条例では不十分、経験・知識不足の登山者への何らかの対応が必要という点では一致しているように感じた。
規制は嫌だが、それで稜線混雑が緩和するのであれば、それはそれで…。
よく危ない橋を渡る時に「自己責任」ということが言われるが、自分の生死・出処進退 を自分自身でどうにもできなくなった時点で自己責任を全うできていない。
というのは、我が友人の言である。
自己責任は免罪符にならない。自己責任を云々する前に、まず自分が自立・成熟しているか見つめ直す必要があるだろう。
narodniki さん、今日は。
私も読みましたが、2年後から届けを出さなかったり、嘘を書いたら5万円以下の罰金らしいですね。
と言ふ事は、遭難しなかったら出さなくても分からないし、嘘を書いても分らないと言ふ事でしょう。それに誰が、何処でチェックするんですかね。管理が出来るのですかね。
遭難した時だけ、罰金の対象になると言ふ事ですね。
私は何だか中途半端だなぁ・・と思います。
まぁ、お手並み拝見ですね。
mesnerさん こんばんは。
24時間365日全ての登山口に係員を置いて…というのは無理でしょう。
また、登山届をメールで、或いは他の場所で出した!!等と言われたときに即座に確認できるかどうかも分かりませんね。
ある事が問題として世間の関心を集めた時に、とりあえず何かしないと…となるのは行政においてもよく見られることですが、この条例もその類いでしょう。
山開きの時期にニュースで取り上げるでしょうから、注視していきたいと思っています。
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