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色川武大(阿佐田哲也)が亡くなったのは1989年、もう30年も前のこと。「麻雀放浪記」も話の特集の「怪しい来客簿」のことも懐かしく思い出す。ずいぶん読んだ。小説もエッセイもいい。
この本は、2003年に同じちくま文庫で出たエッセイ集3巻をさらに一冊にまとめたもの(多分)で、つい先日出たばかり。「博奕」「芸能」「交遊」「食」など7つの項目に並べてあって、もちろん「博奕」だけでなくどれも面白い。昭和の20年代、30年代の話なのだろう、遠い昔のことなのに、今でもひりひりするような臨場感があり、描かれる人たちが目の前にいるよう。ああこの人は人間がちゃんと書ける人だ、人間の業も。どのエッセイも最後の一文が際立っている。どこから読んでもいいけど、たぶん読みだすと結局最後まで一気に読んでしまうと思う。
阿佐田本人が、本物の無頼でアウトローで、幾多の修羅場にくぐってきてるのに、少しも崩れていない。多くの人に愛された。亡くなったのは、一関に引っ越しをした直後で、田舎に引っ込んで創作に専念しようとした矢先だったとか。一関には有名なジャズ喫茶「ベイシー」があるからというのは本当の話かどうか。
Wikipediaに交友関係が載っていて、こっちもなかなか面白いです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%89%B2%E5%B7%9D%E6%AD%A6%E5%A4%A7#cite_note-50_100-13
なんだかすごく久しぶりに麻雀したくなってきた。もう面子はそろわないけど…
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先週、NHKのアサイチに小澤征爾さんが出演。御覧になられた方もいらっしゃるのでは。お元気な様子に安心。というかなんということもない小澤さんの話にずっと聞き入ってしまう。番組の最後に、思い出せない曲のことになって、タリララーと歌ってたあの曲は一体何だったのか。
「山本直純と小澤征爾」柴田克彦(朝日新書)2017/9/13
は、二人の天才の交友とそれぞれが進んだ対極の道のりについて、交差する人生と音楽を詳細に追った評伝。小沢の経歴やエピソードは多少知っていても、小沢が真の天才といった山本直純のことはほとんど知らず、チョコのCMや寅さんの音楽、「オーケストラがやってきた」などで有名でも、これほどの人だったとはちょっとびっくり。
小澤と直純は斎藤秀雄の弟子だった。中3の小澤が初めて斎藤を訪れた時、
「今は手がいっぱいで教えられないから、しばらくは山本直純という人に教えてもらいなさい」
と紹介されたのが二人の出会い。3歳年上の東京芸大1年生だった直純は、小澤の家に出向き、今日はこの曲と直純が言って、一人がピアノを弾き一人が指揮をする。直純が小澤の問題点を指摘するというレッスン。これが一年続いたとか。小澤に初めて指揮を教えたのは直純だったという話。直純が亡くなるまで、その交流は続く。
小澤の評伝は今後も書かれるだろうけど、山本直純との交流を中心に描いたこの本は少し変わった視点で、楽しめると思う。
斎藤秀雄がオーケストラに編曲したバッハのシャコンヌ、小澤が振っている動画をネットで見つけてしばらく聞き入った。とても好きな曲。
松本のサイトウ・キネン・フェスティバルのサイトウさんですね。松本ではサイトウさんて誰なのか、あまり知られていません。フェスの名もセイジオザワに変わってしまいました。恩師の名をつけるってすごくいいと思うのですが。またまた面白そうな紹介、ありがとうございます。
岳都、楽都松本いいですね。コンサート一度行ってみたいものです。小澤さん以後はどうなるんだろうか。山本直純さん、破滅型の天才で魅力的に描かれていました。
色川さんの本では、昭和の演芸の話が面白く、圓生、志ん生、文楽の話もいいが、金語楼とか三平とか、特に「本物の奇人ー左卜全のこと」はなかなか読めないものでした
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