「村上さんのところ」村上春樹(新潮文庫)は、読者のメールでの相談に時期限定のサイトを開いてお答えする企画を本にしたもの。その中で読書感想文の書き方を問われ、村上春樹が答える:
「よくぞ訊いてくれました。僕は昔から読書感想文を書くのが得意でした。読書感想文を書くコツは、途中でほとんど関係のない話(でもどこかでちょっと本の内容と繋がっている話)を入れることです。それについてあれこれ好きなことを書く。そして最初と最後で、本についてちょろちょろっと具体的に触れる。そうするとなかなか面白い感想文がすらすら書けます。やってみてください。」
ジョークなんだけど、ほんとらしくもある。村上春樹だったら、きっとそのように書けるだろうな。
読んでみたい気もする。
さらに別のところで、小学五年生を担任している先生から、「妖怪ウオッチ」にしか興味のない子供に本を読ませるにはという質問があって:
「…ほんとうに真剣に本を好きになる人間は、全人口の5パーセントくらいのものです。つまり一つのクラスにせいぜい二人くらいです。だから「みんなに本を読ませよう」と思っても無駄なんです。その貴重な二人をみつけて、うまく指導してあげることが大事ではないかと思います。そしてそういう人たちは、自分の読むべき本を、基本的に自分でみつけていきます…」
こっちが村上の本音ですね。
ああ、読書感想文!子どもも親も、そしてもちろん先生たちも、壮大な労力を費やしてきて、その成果はあまり華々しくはないような。
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ところで隠れた読書感想文向きの名作(科学系)と言われるこんな本はご存知でしょうか。
「素数ゼミの謎」吉村仁(文芸春秋)
大学の数学の授業の話ではなく…13年あるいは17年ごとに大量発生する蝉のこと。セミはふつう生まれてから地中に潜り7年ほど過ごして、地上にでてきて羽化し、2週間ほどの命を生きる。
それが北アメリカの一部で、その発生の周期が13年と17年と、「素数」の年に現れ、素数ゼミと呼ばれているのだという。
どんな進化と選択を経て、素数の年(周期)に生まれるようになったのか。
その謎を解明したのは日本人、生物学の教授吉村仁先生である。
セミと素数??この不思議感が楽しくて一気に読めます。
平易な説明と豊富なイラストで小学高学年でも多分理解可能。大人には少しものたりないが、論理の展開が実に美しく「科学的」です。何より短くて30分で読めるのでまだ間に合うかも。少し古い本ですが。
(すぐ答えを知りたい人は、「素数ゼミ」で検索してみてくださいね)
おひさしぶりです。村上さんの話、そうでしたね。憶えています。文庫になったんですね。
気がつけば僕もそんなふうに書いているような。自分の話を盛り込まないとその人の感想にならないですからね。
読書好きになる年齢がすごく遅い人もいますしね。でも5%の人は、かなり小さい頃から変わりませんね。
素数ゼミ、また面白い紹介ありがとうございます。
面白い本でした。
本の中にあったサイトウキネンを率いる小澤征爾と鬼才大西順子のコラボ、ラプソディインブルーがユーチューブで見られますね。素晴らしい演奏です。
村上さんには音楽のことと翻訳のこと、いろいろ教えていただいています。
初めて知ったことだけど、村上さんの趣味の一つが絵画収集とか!びっくりですね。彼が死んだら、そのコレクションが初めて世にでるのでしょうか。膨大なレコードや蔵書も。秘密が多い人ですから、楽しみ、というか、私も同世代なので彼の死後なんか生きてないや!
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