老いるということ

4月15日M先生をお誘いして、宮城県加美町の荒沢湿原を訪れた。水芭蕉の季節である。10日程前はたっぷりの雪で湿原も小さかったが、この日はもう木道が大分顔を出している。

お目当ての水芭蕉は今が盛り。小ぶりのものが多いが、清楚で美しい。雪解けの冷たく透明な水が流れる場所に、春、一番最初に咲く花である。

M先生は、私より一回り年上。公私ともお世話になった方で、転勤してからも時々励ましのお電話をいただいていた。ただ私の多忙と余裕のなさゆえ、お会いする時間が取れず、いつも心苦しく思っていた。

直接お話をするのは10年振り以上になる。でもすぐに前のように自然に会話にはいっていけた。二人とも積もる話が沢山。70を過ぎた今でも週に1度卓球をしておられるとか。現役時代卓球は名人級。私は手も足も出なかった。

荒沢湿原はまだ雪に覆われていて、残雪と木道との境目の段差が大きい。M先生が遅れがちになるので変だなと思って振り向いた。段差を上がるのを少しためらっておられるご様子。手を差し伸べたら、しっかりと握ってくださった。そのままひっぱりあげた。

近くにこんないいところあったんだね。先生に褒められた生徒のような気持。少し遠回りして、船形山麓のお気に入りの蕎麦屋さんに行く。そばもいいけど、3品つく山菜の付きだしがおいしい。ちょっと早いが山菜とキノコの天ぷらも一人分を注文して、二人で一個ずつ交互にいただいた。失礼だったかな。でも、いい店だね、なんでも知ってるんだねって、先生、昔から褒めるのが上手かった。

間に合ってよかった。

コメント

uedayasuji

RE: 老いるということ
おはようございます

わたしはcheezeさんと同年代

恩師を師と認識する教育を施された年代です。

わたしの子供たちにもその教育はしたつもり・・

世間を見ると、モンスターといわれる親が急増らしいですね。

その子供たちの意識に「仰げば尊し、わが師の恩・・」の歌詞は通じるようには思えないですね

cheezeさんと恩師のような関係がいつまで見られるのか・・

寂しい限りです　　　　でわでわ

ad70s

uedayasuji様
働いていると、日常のことがいろいろと手薄になってしまいます。引退してみて、なんと自分は不義理をしてきたことかとあらためて嘆息。自分だけのことにかまけ過ぎていました。背筋のピンとしたM先生、いつまでもお若くとても70代には見えませんでした。このように老いていきたいと思いました。
コメントありがとうございます。

e-mine

RE: 老いるということ
はじめまして　良い峰をもじって　e-mineと申します。
12日にすれ違いで大黒天登山口を私が先に降りたようです。
それでこちらにお邪魔しました。

ふっと題名が気になって読ませて頂きました。
素直に感じ入りました。
目頭があつくなります。
とても良い表現だと思いました。
またお邪魔させて頂きます。

ad70s

e-mine様
中央蔵王も、なかなか美しいですね。午前中はガスが早くて、風も冷たかったですが、最後のコマクサ楽しめて、いってよかったと思いました。
いまはまだ元気に歩いていますが、いずれ近いうちに老いと向かい合わなければなりません。M先生は、私の生き方のひそかなモデルです。若いころからの目標でした。明るく元気で前向きな方。
私も狷介な人間にならないように、いつも戒めております。
コメントありがとうございました。