グンマ―　鉄の味

2023年01月28日 15:36山仕事全体に公開

先日、静岡方面の出張で、集合場所でTMさんと再会した。去年の山仕事以来久しぶりなので新年のあいさつをしたが、一笑に付されて、「おい、鉈もってきてやったぞい。」と一言。研ぎの依頼だが、まるでこちらから頼んだみたいなものの言い方だった。さらに、「砥石持って来たんだろう、jim君と砥石はセットみたいなもんだ。」悪気もなく笑って言う。驚いてはいけないこれが群馬県人のノリなのだ。慣れるまで大変だが、気分は悪くない。

こちらの腕を信用してくれているのが自然と伝わってくる。依頼された鉈は、ずいぶん前に私が一回研ぎ上げたものだった。腕を試されているかと思い、手間をかけて刃こぼれを取り、姿を整えたものだ。リピートで頼むくらいだから気に入ってくれていたんだと思う。状態を確認すると、何度か自分で研ぎながら使用していたようで、傷みは少なく充分に切れる状態だ。写真①

TMさん、「もったいなくて使えねえな」。前回研いであげた後で言っていたのだが、研ぎ直しならなんぼでもするから安心して使って欲しいと、こちらの勧めを聞いてくれたのだと思う。なんだか嬉しい気持ちになれた。

「お前の一番好きなもの持ってきてやったから。」TMさんの軽トラックにはお米が積んであった。山仕事だけでなく米作りの名人でもあるTMさんのお米５キロ、こんなにありがたい研ぎ代もめずらしい。写真②　早速、その日の晩に荒砥石の工程に入った。宿の流しを使っての研ぎ仕事は、アウェイのサッカーチームのようだが、一心不乱に荒砥を２種類。何時間やったかも分からない。出張から帰ったその日の晩に、中砥石で研ぎ傷を消し、今朝がた天然砥石で一気に仕上げた。下地が済んでたんだもんで(静岡弁リスペクト)、仕上げが実に楽だった。窓の外の冬の青空と、植え込みのミカンの緑がよく映った。写真③

刃が晴れれば気持ちも晴れる。今年も仲間内の鉈を研ぎ上げて過ごそうと思った。

2022-05-29 群馬県　栗原川林道　おまけで袈

2023-03-21 片桐鍛冶店

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