測量の山

鉄塔の用地測量のために、送電線に沿って歩くのは登山とは違う雰囲気だった。植林地、自然林や窪地を渡っていくと、山ではなくて森に居る様に感じ、霧の立ちこめる切り開きの笹原を歩いていると、今度は丘を彷徨っている様な気持ちがし始めた。

尾根のこぶを越え、広葉樹の斜面を分け入って降りたところで、今まで聞こえなかった沢の音に、目覚めの様な驚きを感じた。紅葉は浅く、まだ緑の濃い広葉樹の林に薄い霧が流れ、空の雲が風に途切れて日が差し込んで来た。

ふと沢音が大きくなった様な気がした。尾根を吹き越えてきた強い風が、ホウの木の大きな枯れ葉をあたりに落とし始めていた。カラカラと乾いた音はとても陽気で、明るい秋の始まりを告げていた。


明日からまた出張で留守にします

コメント

きみどり

RE: 測量の山
うーーン　いいねえ！
多摩には…、叙情的にね。

秋だね

jimzaemon

RE: 測量の山
ただいま帰りました 叙情する余裕も無くなって参りました