記録ID: 107260
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積雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍
焼岳縦走(安房峠〜焼岳〜新中尾峠)[本州横断シリーズ]
1993年04月28日(水) 〜
1993年05月01日(土)
Junjapa
その他1人
- GPS
- 80:00
- 距離
- 20.5km
- 登り
- 2,011m
- 下り
- 1,759m
コースタイム
4/28 小田原=籠坂峠=御坂峠=一宮御坂IC=[中央高速]=松本IC=赤怒谷隧道入口(車中泊)
4/29 中ノ湯(1:45)安房峠(0:55)2091m地点(1:00)2119m地点[小アカンダナ山南峰](0:20)小アカンダナ山北峰(0:35)アカンダナ山(0:30)小アカンダナ山北峰(0:20)白谷のコル(幕営)
4/30 白谷のコル(1:05)白谷山(0:50)白谷山・焼岳コル(4:00)焼岳頂上(幕営)
5/01 焼岳頂上(1:15)中尾峠(0:15)新中尾峠(2:35)上高地帝国ホテル
4/29 中ノ湯(1:45)安房峠(0:55)2091m地点(1:00)2119m地点[小アカンダナ山南峰](0:20)小アカンダナ山北峰(0:35)アカンダナ山(0:30)小アカンダナ山北峰(0:20)白谷のコル(幕営)
4/30 白谷のコル(1:05)白谷山(0:50)白谷山・焼岳コル(4:00)焼岳頂上(幕営)
5/01 焼岳頂上(1:15)中尾峠(0:15)新中尾峠(2:35)上高地帝国ホテル
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
親不知から蜿蜒とつながる北アルプスの山並みは穂高連峰で大団円を迎えたあと焼岳に余韻を残し安房峠で終止符を打つ。だが縦走路は焼岳頂上までであり以南は安房峠まで北アルプスながら道がなく原始の姿を保っている。山小屋・指導標の類は一切ない。この「北アルプスの空白地帯」というアンマッチな言葉が我々の冒険心を激しく揺さぶった。資料などのない言い換えれば行き当たりばったりの山行がこうして始まった。 4/29 雨。出だしからまことに”ついている”。ともかく安房峠までは舗装道路だ。と重い腰を上げる。閉鎖中の中ノ湯のゲートを過ぎると車もいない。安房トンネルの工事人たちがいぶかしげに重荷を背負った我々を見る。それを横目に長いジグザグを何度も切って高度を徐々に稼ぐ。幸い雨はあがり薄陽が路傍のふきのとうを色鮮やかに浮き立たせている。細池、小船の窪地は雪で真っ白だが路上は除雪されている。息を切らして安房峠に到着。クレーン車が除雪作業の真っ最中だ。峠の焼岳側には防護柵が続いているので上宝村側の柵がつきたあたりからいよいよ縦走をスタートした。さっそく膝までもぐる苦しい登行となる。H2O氏はトップで歩くが元気だ。急登150mを一気に登る。いったん緩斜面になりさらに登ると標高点・2091に着く。このあたりは笹が雪で覆われ疎林の斜面となっていて登りやすい。大木の周囲は繰りぬいたように雪がない。その断面をみると驚くべきことに2m以上の雪でさらにその下に2mほどのササヤブが生えている。つまり自分の体は地上4mのところにあることになる。 ・2019m地点から・2119m地点へは尾根を西に乗り換える必要があるが火山特有の微地形に加え雪とガスのために非常にわかりずらい。地形図・コンパスで慎重に乗り換えたつもりだったが、いつまでも平坦な地形で尾根に乗らない。そのうちに左側に尾根が見え始め、初めて東側により過ぎていることがわかった。とほほ。 左折して尾根に向かう。つぼ足はつらい。堅雪では足首程度だが場所が悪いと股まで潜り大木の近くにうっかり寄ると胸まで沈む。 左側が樹林帯、右側が小雪庇の尾根上を緩やかに登って・2119m標高点に到着。ここを我々は小アカンダナ山と名付けた。晴れていれば展望がよいはずだが、ガスが立ち込めて本当に残念だ。ここまではヤブが雪で覆われときどき潜るのを除けば快適な登行だった。ここは台地状になっており、北端のピークまではやや樹林が濃い。そのため空洞に落ち込むことが多くルートを探しては落ちてもがくということを繰り返す。 小アカンダナ山の北端ピークからアカンダナ山を往復するかどうか協議した。疲労しているが、再び来ることもあるまい。H2O氏は相変わらず元気だ。なるべく樹林を避けて広い雪面をとらえて下る。周囲は一面のガスだ。登り返してH2O氏を追うと姿が見えない。あれ〜? トレースが消えている・・・・と思いきや深さが3mはある大穴に落ち込んでひとりもがいていた(笑)。アカンダナ山で写真撮影。晴れていれば展望が開けることだろう。ちなみに昨夜泊まった”赤怒谷”隧道、そして今いる”アカンダナ山”。何か音が似ている。アカンダナ=赤怒谷のことではないだろうか。赤怒谷がある山だからアカンダナ山ではないだろうか。赤怒谷とは日本語として珍しい音だがどういう意味が籠められているのだろう? 火山特有の赤い砂礫が悪天ともなると怒ったような土石流となって押し出されてくる・・・・そんなことを想像した。 小アカンダナ山北端まで戻り、白谷のコル手前の樹林中の平坦地で幕営した。 4/30 翌朝も曇天。最初から地形図とにらめっこだ。幕営地点からひと下りで白谷のコル。樹林がなく細長く東西に開けている。晴れていれば気持ちのよい場所だろう。風を受けながら目前に展開する大斜面をキックステップでひたすら登る。上部は勾配がきつく滑落は禁物だ。慎重に尾根上に出て雪庇に注意しながら登ると白谷山の頂上。今日もガスで展望は皆無だが、晴天なら好展望だろう。ところどころに偶蹄類の足跡があり原始の臭いを感じる。 白谷山からの下りは上部がやせており注意して進む。下り始めてすぐに西側い主稜と似かよった尾根が派生しておりガスが出ているときには要注意だ。またピークから標高2000m付近までは雪庇の発達が見られる。 やがてメルヘン調の疎林のコルとなる。テントも十分に張れそうだ。・2027m地点を目指して直登。下って小コルから標高差50mを登り小平地へ。その先の台地には凹地があり地形が複雑だ。台地から北進し凹地を右に見てトラバース。そのまま入り口の曖昧な小沢に入るが少し登ると沢状になる。そこを詰め上げ東北東に進むと焼岳とのコルに出た。コルから標高差70mを登って小平地。風雨が強まる。標高2180m付近が森林限界。2200mからはガスの中に大雪面が現れそれが急角度でせりあがっている。ときどき耐風姿勢を取りながら70mを直登し、ピークから大きく半円状に張り出した顕著な雪稜にたどりついた。読み通りだった。硫黄の臭いの中、雪と岩とハイマツの尾根上を2370mのこぶを超えてしゃにむに登り続けるとやがてガスの中に一本の杭が現れた。 そこには「焼岳」の2文字。やった! H2O氏と固い握手。涙が出そうになる。 さてここからはふつうの縦走路だ。ところが容易ではなかった。外輪尾根を北にかうと急峻な斜面に阻まれてしまった。急な斜面に重荷を背負って腐れ雪を下るのは困難だった。ザイルを持ってこず悔やまれる。八方塞がりとなり、協議の結果、雪面の締まった早朝に通過するべく行動を打ち切り頂上にテントを張った。まわりは相変わらず真っ白で何も見えない。 5/1 翌朝。テントから出るとガスがない! まわりは大展望! 突然現れた高所の展望になぜか恐怖感さえ感じた。小さいころ急に父が目の前に現れたときに感じる恐怖感にも似ていた。予定どおり火口湖側は慎重に下る。案の定、堅雪となっておりアイゼンがよく効く。氷化した火口湖を通り、噴気孔のピークを巻くと、大斜面の下降だ。ここでスリップすれば真っ逆さまに沢に落ちる。ここを下れるか?二人とも無口になる。下から人が上がってくる。H2O氏は思わず「お〜い!」と叫んだ。答えがない。よく見ると動いていない。よーく見るとそれは2本の足のついた看板だった。しかし二人とも笑わなかった。 慎重に慎重を重ねて下り中尾峠。さらに新中尾峠から上高地へと下る。雪が腐りアイゼンが団子になる。やがて傾斜もゆるまり、人が行きかうようになると春の上高地は目の前だった…。 |
感想
・変化のあるとても楽しい山でした! 資料などは何もなく行き当たりばったりという登山にあるまじき姿勢であったかも知れませんが、ないモノは仕方がない(今は結構情報が流通しているのであるかもしれませんが当時はなかった。)
・考えてみれば本来、山には資料などはない時代があったはずですね。そう思うと自分たちで考えて進むしかないと割り切れたのかも知れません。
・いやぁ、H2O氏が看板に向かって「お〜い」なんて急に手を降ったものだからこちらもびくり。でも緊張した場面だったから笑えなかった。それが今でも語り草になっているのです→今なら笑える(爆笑)
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コメント
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junjapaさん、こんにちは。
本州縦断、期待しています。実は私も似たようなスタイルで山歩きをしています。
ところで、この記録、6年間も山に入りっぱなしに見えます。年号の入力ミスからでしょうが・・・
差しでがましいようですが、気づいてしまいましたので、コメントさせて頂きました。
Nomoshinさん、ありがとうございました! ぜんぜん気が付かなかったです。いやはや…(汗)。またまだ記録が充実していずUpできませんが、順次あげていきたいと思います。
安房峠〜焼岳〜上高地をUpしました。
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