笈ヶ岳



- GPS
- 27:57
- 距離
- 23.4km
- 登り
- 2,253m
- 下り
- 2,262m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ちなみにnakkiさんはスノーシューとアイゼンです |
写真
感想
nakkiさんが笈ヶ岳は初めてということで、私も2回目なのですが山スキーと歩きのコラボでアタックしてきました。
私は山スキー同士のコラボがないなぁ…と思ったのですが、どうもその理由は山スキー向きでないところを好んでるために誰も一緒に行きたがらないのが原因ということに今日気付きました(笑)
さて前置きはこれくらいにして、直前にsouさんが日帰りで笈ヶ岳に登頂されたレコがアップされてました。さすがに2時登山開始は…ということで、夜勤明けのnakkiさんには酷ですがお昼12時スタート、ブナオ山〜冬瓜平のどこかで幕営という予定です。
気温も高めなお昼、集合場所の駐車場で待機しているとnakkiさんの車がビューンと通過!慌てて電話して、駐車場入口で出迎えます。
nakkiさんビールはロング缶4本(笑) 私は2本と頑張ります。
前回にツボ足で往生した導水管横のルート、今回はスキーで登ります。途中までは良かったのですが、雪が切れて薮が茂ってくるとスキーではどうしようもなくなり、諦めてツボ足シートラでなんとか導水管横の階段を目指すも導水管に阻まれて行けず、導水管のつなぎ目で何とか導水管を乗り越えて階段にたどり着きます。もう汗だくです。
階段もハードですが確実に登れるだけ全然マシです。nakkiさんに遅れること10分、ようやく雪の豊富なNo.6のつなぎ目にたどり着きました。ここでも導水管をまたいで乗り越えます。
地獄の導水管が終わればあとは黙々と登るだけ〜と思いきや、雪がザクザクでよく滑ります。nakkiさんはストックのスノーバスケット脱落という持病に悩まされ続けましたが、なんとか3時間半でブナオ山に到着です。ビューポイントで写真を撮り、次なるルートは〜と200mの下り。つまり帰りに200mの登り返しになることを察知したnakkiさんの提案で、今日はここで幕営して明日は2時間早い4時スタートということにしました。結果的にこれは大正解でした。
乾杯をしてしばらく山談義、その後夕飯を済ませたら早めの就寝です。風のない静かな幕営地でしたが、床からの冷えに何度か目が覚めて、諦めて2時に起きて朝食にします。準備を整えてまだ3時、時間があるので横になってウトウト…nakkiさんの呼びかけで4時起床。すぐにテントを出てスタートします。
ブナオ山からの稜線は何でもないようで急斜面もあり痩せているので神経を使います。アイゼンなら安心ですが私は山スキー。硬い雪面にクトーを軋ませ這い上がります。それでも雪が硬い早朝は効率が良く、2時間程度で冬瓜平の分岐に到着しました。ここでトレースの主の先行者のテント場を発見。もちろん出発されてて、冬瓜山の稜線に向かわれたようです。あれは急過ぎてスキーでは無理、我々は巻きルートの冬瓜平に進みます。ここからは強烈な巻きとなるので、2日前に準備した可動式クトーにプラスして固定式クトーを追加し、ダブルクトーで臨みます。
冬瓜平はとても素敵な場所で、ここで幕営するのが本望なのですがいかんせん遠い!と思いつつ凹凸のある冬瓜平をルート確認しながら歩きます。
ここは昨年来ているのでルートは覚えており、あまり迷いはありません。ただ、雪の状態はその時々で異なるので都度確認して判断を変えることがあります。計画通りに行くとは限りません。なので雪山の計画は現地に行って急遽変更するということがよくあります。
今回はややシリタカ山寄りの巻き方となりました。結構な斜度のトラバースでしたがnakkiさん根性で歩いてきます。ダブルクトーの効果で結構安心して巻くことができました。
ここで尾根沿いを歩いておられた先行者を追い抜かしたことを確認。鞍部で小休止していざ笈ヶ岳への稜線を目指します。正面の岩を目指す方法とやや左に寄って巻いて登る方法がありますが、山スキーなら傾斜緩めの左寄りに巻いて行くことになります。帰りに見たら非常に細いトレースでしたが、これもダブルクトーのおかげでしょうか。それほど恐怖心はありませんでした。ただここは滑落したらどこまで行くのかというくらい深いので、板が外れるとかクトーのかかりが悪いというようなことは絶対に避けないとまずいでしょう。
さて何とか稜線に上り詰めると後は小笈ヶ岳と笈ヶ岳を狙うのみです。それほど難易度は高くありませんが、小笈ヶ岳手前で雪庇の乗り越えがあり、ここはスキーでかつかつまで雪庇に食い込ませて、上半身だけ雪庇の上に乗り上げて寝転んで下半身を持ち上げました。また小笈ヶ岳の直下では壁のような斜面になっており、滑落しながら降りるという感じでした。下山時は到底スキーでは登れないことは容易に想像できました。
ここまでくればもう少し、長い長い行程を乗り越えての登頂は感慨深いものがあります。狭い山頂では何かものを流そうものならそのまま谷底まで一直線という感じなので、ザックを置くにしてもビレイしておかないと心配です。スキー板が一番流されやすいので非常に怖いです。スキー装着も斜面ですると危険なので平坦なところでやります。
例によって土下座撮影も行い、シールを剥がして滑降準備をします。小笈ヶ岳の登り返しはアイゼンでないと無理なので、シールはシリタカ山の鞍部まで必要ありません。小笈ヶ岳まではあっという間ですがやはりシールなしで滑るのは快適です。登り返しは壺足でも不可能ではありませんが、滑落して大変な目に逢う可能性を考えると面倒でもアイゼンを装着しました。ピックストックとアイゼンの前爪を雪面に突き刺して登攀します。
小笈ヶ岳ではまたアイゼンからスキーに切り替え、鞍部までの滑降となります。雪はやや固めですが快適な方で、転倒やスキー板が外れるといったアクシデントは絶対に避けないといけない緊張感はありますが、これをコントロールできる快感が打ち勝つ感じです。美女坂滑降のような雄叫びは出ませんでしたが...
さて鞍部まで滑るとシールを貼ります。往路と同じ巻きルートにするか、はたまたシリタカ山まで登ってそこから際どい弱点を突いたルートにするかnakkiさんに聞いて見ます。今回は新しい下山ルートにすることにしました。下る方向は落ちるだけなので落ち方を制御できれば何とかなります。
シリタカ山を登り返し、そこから冬瓜山への稜線の鞍部まで滑ります。そこからはトラバース的に尾根をまたぎ、いよいよ核心部の滑降です。ここを避けると、もう少し手前からの下りになりますが、そうすると上りに通った核心部の通過があります。どっちもどっちという噂もありますが...
狭い急斜面を雪片を大量に落としながらの滑降はもちろん転倒厳禁、とにかく安全に滑り降ります。そうするとデブリ地獄のところに出ますのでそれを何とか通過すれば静かな冬瓜平に合流することができます。このルートは雪が安定しているのが絶対条件でかつ下山時にしか使えませんのでくれぐれもご注意ください。
冬瓜平からはシールを貼っての歩行となります。そのままブナオ山への稜線に入り、シールのまま歩きと滑走が続きます。最近はスキーブーツを歩行モードのままシールで滑るのにも慣れました。ポイントは左右の足をできるだけ前後に開けて前後方向の安定性を高めることです。すなわちテレマーク姿勢というわけです。
今朝苦労した急斜面も明るくなれば巻きルートも分かりやすくなりそれほど苦労はありませんでした。ラストはブナオ山への標高差200mの登り返し、一歩一歩無心で歩けばいつの間にか幕営地に到着しました。
テントなどを撤収してパッキングし、重い装備を背負っての滑降です。ここから発電所まではシールなしで行けるのは助かります。雪質は相変わらずスベスベザラメで超快適、だんだん痩せ尾根で薮が増えてきますからかなりコントロールが難しくなります。ここでゲレンデスキー時代に後ろ向きに滑る練習をしていたのが役立ちました。
ラスボスの導水管横は雪をつないで回っていきますがやはりどうしても雪が切れてしまいます。そこは急斜面でスキーでは草地でも滑るので危険、一度壺足になってまたスキーを履き、雪を削りながらガリガリと滑り降ります。
大変でしたがそれでも登りよりはマシ、歩いて橋を渡って最後はまたシールを貼って登り返しも少し凶悪。クリアすれば駐車地までショートカットの登りで無事にゴールです。
この大変な行程を、登頂を果たして無事に下山できたことに感謝しての熱い握手。とてもハードでリスキーな内容ですが、やはり手応え十分でした。
素晴らしい冬瓜平の雰囲気と笈ヶ岳の眺望は他では得られない感慨があります。ここに山スキーで挑戦するのは加賀禅定道と同等の難易度だと思います。もちろん難易度のみならず体力も相当に要求するのですが、雪の状態にも大きく左右されるでしょう。こればかりは行って見ないと分からないところもあります。無事に登頂できたか阻まれたかは実力よりも雪の状態が大きく占めるのではないかと思いますし、それは同時に雪の状態を読むスキルがいかに重要かということにもつながるのかと思います。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
早速行かれましたね。
しかも、テン泊でコラボとは
土下座写真など見てると楽しそうですが、コメント読むと考えて行動されてますね。
他にも入山者がおられて用でこれからにぎやかになりそう。
しかし、スノーシューのnakkiさんに際どいトラバースを強いさせるとは鬼ですねっ
souさんこんばんは!(おはようございますだったりして〜)
nakkiさん、souさんのトレースに感謝されてましたよ!私は山スキーのトレースがないので苦労の連続でしたが
nakkiさんどこまでも着いてくるのでついつい鬼トラバースの連続となってしまいました・・・。そろそろ導水管横の雪も完全に消えてあそこは歩きやすくなりそうです。
こんにちは、2日間の晴天、御利益ありましたね。
山毛欅尾山の痩せ尾根をスキーで通過は流石の変態ですね
写真と感想を見るのに時間がかかりましたが、全て拍手です。
hakusanさんコメントありがとうございます!
本当に土下座のご利益ではないかと信じてしまいそうなくらいいいお天気でした
あの痩せ尾根は想像以上にハードでした・・・テント泊装備を担いでからは一層。
これでますます他の山スキーヤーの方が私と一緒に行きたがらなくなりそうです
結局テント泊にされたようですが大成功でしたね。やっぱり笈ヶ岳白くて綺麗、冬瓜平もオブジェな木が沢山あって雰囲気良さそうだし超イイーー‼やっぱり行きたかった・・(オイオイふざけんなってのは無しで(笑)
冬瓜、シリタカ巻いても危険なのに変わりは無いようで(汗)souさんの稜線ルートとどっちが危険???
私より遥かに安全ハイカーのnakkiさんでも相当苦労しているのがよく分かります。
それと滑落写真凄く上手く撮れてるんですが・・・さすがにあの写真のヤラセは無理ですしmomochannさん偶然カメラ構えてた?
nakki、hukkiは笑わせてもらいましたが笑って良い写真なのかな。
千載一遇のチャンスを逃しました!今年は無理そうなので出来れば来年お願いしますm(__)m
あ〜あ、でもこんな白さと快晴に恵まれる事は無いのでしょうね〜!お疲れ様でした。
kabukiyaさんこんばんは!
いやー山と家庭の両立は難しいと思います・・・笈ヶ岳は噴火でもしない限り逃げないでしょうからまたチャンスは訪れますよ。次回こそは是非ご一緒しましょう
巻きルートもそれなりに危険ですが、ただ滑落してもそれほど落ちないので、失敗してもリカバリー可能なんです。カリカリに氷化してたら別ですが・・・。
それに対して冬瓜山の稜線はトラブルがあると垂直落下して一発アウトという可能性があります。そういうのはやっぱり神経がすり減るんですね私の場合
nakkiさん滑落写真は偶然です。滑落というか、ザバーザバーとスノーシューで豪快に下降している途中でスノーシュー同士が引っかかってバランスを崩されたようなので、想定の範囲内、滑落制動しなくても斜度が緩やかになる斜面なので必ず止まりますから、助けにも行かず悠長に写真撮ることができました
本人は必死だったかも知れませんが〜そこはnakkiさんのレコで明らかになるでしょう!!
モモちゃん、まいどです。
ダブル・クトーって、聞いたことねー!
海外でビンディングの前に固定式をセットしてるのは見たことあるんですが、ダブルはすごいね。可動式のほうが、アイゼ君ならもっとすごいですがね。
nakkiさん、はじめまして。
滑落停止訓練と思いきや、マジだったのですね。よく止めましたね。モモちゃんが決定的瞬間を撮ったんですね。大事に至らなくて良かったです。また、ウィペットの場合は、すっぽ抜けに注意してくださいね。
クマ
クマさんこんばんは!
普段は可動式のクトーで頑張ってるのですが、美女坂のカリカリ斜面で踵が浮いた時にクトーが効かないという怖い思いをしてから、今回は何とかしたかったので眠っていた固定式クトーを別のスキー板から外して持ってきた次第です。
工藤静香と工藤夕貴のクトーコラボは最高の食いつきでした。SMAPが解散してもクトー健在です
先日はありがとうございました。
憧れの笈ヶ岳登れて感無量です。
百四丈滝に続き山スキーとスノーシューの異色コラボ楽しかったですね^^
もう鼻歌まじりのトラバースですよ(笑
またよろしくお願いします!
やっと落ち着いたのでぼちぼちレコ書きたいと思います。
kuma-sanさん、ご心配いただきありがとうございます。
危なそうに見えますがコケても大丈夫な安全斜面で爆走したら足がもつれてこの有様です・・・転んだ所に木の枝とかあると危ないので無茶はしない方が良いですね。
nakkiさんこんばんは!
某Mさん並みの遅さですが(笑)、色々満喫していただいたようで何よりです
ずっとnakkiさんのレコ楽しみに待ってましたーもうしばらく我慢して待ちます(笑)
こちらこそまたよろしくお願いします!
火の御子峰の途中まで、とかどうですか(笑)
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する