奥明神沢から前穂高岳と、間違えて間ノ沢
- GPS
- 32:22
- 距離
- 16.3km
- 登り
- 2,506m
- 下り
- 2,502m
コースタイム
- 山行
- 6:10
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 7:20
- 山行
- 9:10
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 10:10
天候 | 2日とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰りは新島々までバス、松本まで電車で帰りました。 上高地からのバスは乗車整理券が必要になっており、14時半過ぎにバスターミナルに着きましたが、15時15分のバスは満席で、16時のバスで帰りました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
岳沢登山口からすぐ雪道でした。岳沢小屋までは、特に危険個所はありません。 小屋より上は急斜面で、踏み外したり滑落したりすると止まれないと思います。 |
写真
感想
岳沢にベースキャンプを作って前穂&西穂は、昨年のGWに計画していたのですが、忙しかったり雪が少なかったりで実行できず、今年は登りたいと思っていました。
幸いにも雪は多く天気も良く、2日は山に充てられそうです。
ただ、友人との予定が合わず残雪期アルプスとしては初めて1人で行くことにしました。
初日は順調に岳沢まで登り、テントを張って奥明神沢からダイレクトルンゼ経由で前穂高岳を目指しました。
急斜面でしたが荷物も軽いし日陰で雪も腐っていないので、案外早くに山頂に着けました。
山頂はほぼ無風で晴れ、遠くは霞んでいましたが木曽山脈、赤石山脈と富士山、八ヶ岳、妙高・火打、後立山、立山・剱、槍・穂高、白山、乗鞍、御嶽山まで見えて絶景でした!
問題の2日目、本来なら西穂高沢から西穂高岳を目指すつもりが、間違えて手前の間ノ沢に登ってしまいました。
当時は右に西穂高岳があると思い込んでいたので、途中で右の急斜面を登ってしまい、進退窮まりそうになって腐りかけの雪の急斜面を滑ったら死ぬなと思いながらクライムダウンで下りたりしながら、何とか稜線に到達。
人が少ないのが気になるけど、明瞭な踏み後もあるし右側の西穂高岳に登ろうと少し進んで見上げると、岩が覆い被さるように積みあがっているのが見えました。
これが噂に聞く逆層スラブ?しかし、西穂高岳の手前にこんなところはあったかな?と思って振り向くと、西穂高岳のように見える尖峰が見えます。
あれ?どこかで分岐を間違えて北寄りに登ってしまったか?少し稜線を進めば行けるかな?とも思いましたが、よくよく見ると飛騨側のとんでもないところにトレースが付いています。
1人でこれを突破できる可能性はあまり高くないし、見えないところにもっと大変なところがあるかもしれない、しかも登山届は岳沢から往復で出しているので、飛騨側に滑落すると行方不明のまま見るからないのでは?と色々考えて、取り敢えず来た道を暫く戻り、分岐を探すことにしました。
(この時はまだ西穂登頂をあきらめていませんでした。)
下るといっても、もの凄い急斜面で、日向なので雪が腐り始めており、アイゼンを2~3回蹴りこまないと足場ができません。
1歩でも踏み外して滑落したら恐らく生きて帰れないので、体力的にも疲れますが、精神的にかなり堪えました。
下を見ると、正しく西穂高沢に向かったと思われる団体さんがこちらを見ているように見えて、きっと「変な沢を登っている変な人がいる」と思われているのだと思っていました。
何人かはかなり長い間見守ってくださって、今考えるとそのうちの1人は前日に前穂高岳の山頂で会った人だったのかもしれません。
一度、何か声が聞こえましたが、流石に内容までは聞き取れませんでした。
下っている途中でどこからともなくヘリコプターが近づいてきて、ここで手を振ったら救助されるのかな、早く楽になりたいとも思いましたが、いやまだ体力も食料も水もあるし午前中だし、ヘリコプターのお世話になるわけにはいかない!と思って黙々と下っていると、2~3分して吊尾根の方に去っていきました。
通報されたかな?とも思いましたが、単に見回りだったのだと思います。
正直、手を振らなかったことに少し後悔しました。
ピッケルを打ち込む腕が痺れてくると腕を変えていたのですが、いよいよ両腕が痺れてきて、滑り降りたらいっそ楽に下りられるのかな?とよぎりました。
すると、家族の顔が浮かんできて、仕事も中途半端なまま放り出せないし、ゆっくりでも1歩1歩進んでいればいつかは下りきれると開き直って下ることにしました。
かなり下っても南側に見えた尖峰の向こうに行けそうな分岐は現れず、ようやくそもそも詰める沢を間違っていたことに気が付きました。
日が高く登って左右の断崖から雪が少しずつ雪崩れてきていて、早く通過しないと危ないのですが、体力も限界に近く、1歩1歩下りざるを得ませんでした。
大きな雪崩が起きなかったのは幸運だったと思います。
少し斜度が緩むと急に空腹になったので行動食をたくさん食べると、力が出てきました。
体力が限界だったのではなく、単にエネルギー切れだったようです。
考えてみれば出発前にラーメンを食べてから7時間以上、ほとんど飲まず食わずでした。
稜線で冷静にエネルギー補給しておけば、もう少し早く安全に下りられたのかもしれません。
4時間以上クライムダウンで下って、ようやく安全な所までたどり着き、生きて帰ってきたと実感できました。
(まだ上高地まで下りなければなりませんが。)
山で死にたくないと思ったのは初めてでした……。
道を間違えた大きな原因は、残雪期のバリエーションルートなのに、山と高原地図しか持っていなかったことだと思います。
縮尺が荒いので、何番目の谷が目的の沢なのか非常に分かりにくく、縮尺の細かい地形図を持っていくべきでした。
(下山途中でよく見ると岳沢小屋からもっと南に進んでいなければならないと分かったのですが……。)
また、普段はGPSで現在地を地図上にプロットできるスマートフォンの山と高原地図アプリを使っているのですが、この時に限って紙の地図を持っているのでアプリの地図を買っていませんでした。
もっと早い段階で道間違いに気がつけば、怖い思いもせず、西穂高岳に登れていたのではないかと思います。
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