仙丈ヶ岳地蔵尾根-北沢峠-栗沢山
山梨県
長野県
maikusan22
yosuke_noji
- GPS
- 128:00
- 距離
- 34.0km
- 登り
- 2,876m
- 下り
- 3,029m
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2/25 くもり
10:00 伊那バスターミナル→11:10 柏木→17:00 松嶺ピーク幕営
都内から高速バスで伊那バスターミナルに向かい、そこからまたタクシーで柏木に行く。登山口は雪がなく夏道が露出している。サクサクと進む。歩いていると、真冬だというのに暖かく、全身汗ダクになり半袖で歩きたいくらいだった。道はテープや標識も豊富にあるため迷うことはない。林道と登山道のショートカットを繰り返し高度を上げて行く。
だんだんと無雪から膝ほどの雪量になってきた。ザラメ状の雪質が踏み込みに難儀する。松嶺ピークに着いたところで、暗くなってきた為幕営した。
2/26 晴れ
3:50 起床→5:40 out→8:40 地蔵岳→14:00 2550mピーク
昨日到着を予定していた松嶺小屋に着かなかったため、夜明け前から出発し仙丈ヶ岳を目指す。道も単調であったこともあり、松嶺ピークから15分ほどで着いてしまった。これは今日中に仙丈ヶ岳ピーク踏めそうだなと高を括っていたら、そのあとのラッセルに苦しめられた。前日同様ザラメ状の雪質が踏み込んでも固まらず、また腰ラッセルであるために思うように前に進まない。地蔵岳を越えても高低差のない平凡な尾根歩きに加え、ラッセルが続き疲れた。日当たりの良い2550mピークに幕営し、そのあと偵察でトレースを作り幕営とした。
2/27 晴れ
3:50 起床→6:50 out→10:50 仙丈小屋→11:40 仙丈ヶ岳→13:00 小仙丈ヶ岳→15:00 長衛小屋
朝起きると野尻の体調が悪いらしく、荒い息を立てている。朝食も箸が進まず食べない。体が冷えていると思い、甘いお茶を与える。しばらく野尻の様子を見て体調が若干よくなった為7時前に出発。偵察のトレースが残っていたおかげで初めはサクサクと進めたが、途中からハイマツのズボリと腰ラッセル箇所が出現し、極端にペースが落ちる。2700m過ぎで樹林限界になった。2750mJで急峻な道になり、トラバースすると露出した夏道に復帰した。雪も少なく楽に歩ける。アイゼンもよく効き、風もない快晴の中予定より1日遅れで仙丈ヶ岳を踏む。頂上から見渡すと南部の南アや八ヶ岳、北アがよく見渡せた。その中に一際大きな存在感を示す北岳が印象的だった。仙丈ヶ岳から一つ降りたピークの下りでスタカット1ピッチ、トラバース地でfixを2ピッチをした。その後は淡々と北沢峠まで下り長衛小屋で幕営する。トイレが開場されていて、また沢の水が流れていた為快適なテン場だった。
2/28 曇り
3:50 起床→5:40 out→7:10 仙水峠→10:00 栗沢山→11:30 アサヨ峰直下で引き返し→12:10栗沢山→13:25 仙水峠→13:50 仙水小屋
沢の林道沿いの緩い道を上がり仙水小屋に着く。樹林帯を抜けると岩稜の間を進み、仙水峠に着く。そこからまた樹林帯で150-200m程腰ラッセルをし、それより上は岩稜歩きになった。アイゼンの扱いに慣れていない一年生は大変そうだが、三点支持で慎重に歩かせる。栗沢山に着き、アサヨ峰に向かう。途中まで岩稜と固まった雪で歩きやすくサクサク進む。途中10mの垂雪壁があり、スタンディングアックスビレイで確保して登らせる。するとアサヨ峰直下の岩峰が目に映った。急峻で上部は雪が若干付いた岩、下部は雪壁、雪庇の地形だった。推定6ピッチほどだと考えた。ロープを出しどう登るか、思考していたが想定外の地形の悪さに実力評価より上だと判断し撤退した。下のトラバース地点での雪庇崩落・雪崩、上部の雪壁登攀は一年生を連れては槍が岳千丈乗越より条件が悪いと考えた。そのあとは下山し仙水小屋に泊まる。
3/1 吹雪
停滞
冬型で多く雪が降った。
3/2 快晴
4:00 起床→6:00 out→7:40 北沢峠→9:30 大平山荘→12:00 戸台大橋
下山判断のタイムリミットであったため、北沢峠から下山することを決める。北沢峠までは雪がそれなりにあったが、それ以降は雪量が少なくなり、歩きやすかった。大平山荘から下の河原歩きは単調な道で辟易しながらと戸台大橋まで行く。戸台大橋でタクシーに乗り、温泉に入り帰京した。
◆総括
予想外の積雪量に苦労しながらも、長い尾根歩きをできたことはよかった。しかしアサヨ峰の岩峰登りや、早川尾根のルート完遂がならなかったことなど反省点も多い。
| 過去天気図（気象庁） | 2018年02月の天気図 |
|---|---|
| アクセス |
行き 新宿（高速バス）伊那バスターミナル（タクシー）柏木 帰り 戸台大橋（タクシー）高遠さくらの湯（路線バス）伊那市駅（高速バス）新宿 |
| 予約できる山小屋 |
|
写真
下部のトラバース箇所や上部の雪庇の発達が不安で、撤退しました。上部の岩峰も傾斜が強いため、初心者がいるならザイルは必携です。
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上部の岩峰も傾斜が強いため、初心者がいるならザイルは必携です。
装備
| 個人装備 |
?衣 類：インナー上下
アウター上下
手袋(オーバー
ウール厚手・薄手
インナー)
毛靴下2
防寒着
目出帽
ニット帽
ネックウォーマー
ゴーグル(サングラス)
スパッツ
冬靴
腕時計
着替え
?生活具：食器2 冬用シュラフ シュラフカバー シュラフマット テントシューズ ?雪山具：アイゼン ピッケル ビーコン ゾンデ わかん スコップ ?登攀具：ハーネス ATC（環付1） カラビナ3(環付2) スリングロング2ショート1 ヘルメット ?小 物：コンパス ナイフ 笛 ヘッドランプ(電池SP2) ライター2 ロールペーパー ビニール袋2 ポリタン2Lカバー付 計画書 財布 学生証 筆記具 地形図 携帯電話(予備バッテリー) ?非常具：赤布5枚 油性ペン 保険証コピー エマージェンシーシート テーピングテープ 三角巾 ?食 料：行動食8日分 非常食1日分 |
|---|---|
| 共同装備 |
?幕営具：2-3人用テント【エスパース緑】(本体
ポール)
1-2人用テント【エスパース緑】(本体
テンマ2
竹10
?炊事具：EPI缶大4 鍋セット(中 なべた 茶濾し) 雪袋2 ?修理具：針金 針・糸・あて布・安全ピン ダクトテープ フレームジョイン ?内 傷：ロキソニン(鎮痛剤)4 正露丸(整腸剤)4 パブロン(風邪薬)5 バファリン(頭痛薬)4 ユベラ30 体温計 ?外 傷：ペリドール ドルマイシン ワセリン 包帯 絆創膏15 ガーゼ1 消毒綿10 ビニール手袋 日焼け止 ?食 糧：25日夕食 26日朝夕食 27日朝夕食 28日朝夕食 1日朝夕食 2日朝夕食 3日朝食+各茶セット2 ?その他：ラジ天(用紙8 予備電池1)テルモス500mL2 たわし2 塾旗 ?登攀具：ロープ8.6mm(50m) カラビナ7(管付4) スリングロング4ショート3 スノーバー(ビナ付)2 |
感想
◆今回獲得したもの
○一年生→縦走形式での体力精神力の向上
○上級生→縦走形式でのルーファイ、危険箇所通過
一年生
縦走形式での体力精神力の向上
地蔵尾根の長い尾根歩きではワカン/アイゼンを使用したラッセル、稜線ではクラストした斜面のアイゼン歩行、栗沢山直下のアイゼン岩稜歩行を経験。危険箇所ではコケのミスは一切なく、フルザックで集中して歩けた。
また実働5日平均7-8時間の行動があり疲れたと思うが、フルザック（15kg）でしっかり歩く体力の獲得ができた。
雪山形式の歩行/生活能力に関しては慣れてきてある程度信頼して任せる部分はあるが、メンバーとして隊に貢献するメンバーシップがまだ弱いと感じる。行動中や幕営中にも、隊に何が最適か自分はどういった役割をするべきか、というメンバーシップの意識が希薄である。今後下級生を彼ら自身が連れていくことで、色々と学びを得ると期待しており、今後も引き続き隊に貢献できるメンバーを目指して欲しいと思う。
上級生
○縦走形式でのルーファイ、危険箇所通過の判断力
地蔵尾根下部では一度ルートを外れてしまったが、現在地を確認して修正した。また稜線上では視界もよかったため特にルーファイに困ることもなく、夏道に沿って仙丈ヶ岳栗沢山の岩稜帯歩行では安全に歩けた。
テープが豊富にあったことや人の多い箇所（仙丈ヶ岳-北沢峠）でトレースが残ったことを考慮すると完全にルーファイしてトレースしたとは言えないが、読図をして現在地把握に努めた。
危険箇所の通過は仙丈ヶ岳でザイルを使用する想定をしていた。現地で見てみるとどちらともしっかり歩けばザイルを使うほどの箇所ではなかったが、万が一を考慮しザイルを使用した。(下りのスタカット1,トラバース2)
一年生の安全を担保することが上級生の努めであり、基本的には想定していた箇所では必ずザイルを出す判断で通過するべきである。行けるのではないか、と安易に突っ込むことは危険であると剣の事故の件から、下界での想定と現地判断からザイルをどう使用するか具体的な想定をしておくといいと考える。
×栗沢山の上り、アサヨ峰の直下の岩峰歩きの想定が甘かったこと
栗沢山の上りは樹林帯→ハイマツ帯→岩稜帯であったが、上部の岩稜帯の岩が脆く、また上り下りを要する箇所でもあったため、アイゼンに慣れていない下級生は慎重に歩かせた。下界での調査では、記録も少なかったこともありあまり想定をすることができなかった。
またアサヨ峰の直下では、地図で見たときの地形や夏の写真からは危険だと考えていなかったが、雪庇のついたトラバースや上部の危険な上りなど想像以上に悪い箇所で敗退を決めた。
敗退を決めた理由として
・雪庇がついていた不安定だったこと
・険しい岩稜のザイル経験が井熊になかったこと
・雪が浅くついていたことから、スノーバーでの支点が取れないと思ったこと
・翌日1日に天気が崩れる予報があったことから、2日の引き返しでこの箇所をエスケープすることは現実的ではないと考えたため
想定外の対処として今回の判断は間違っていないと考えるが、北沢峠という退路が近くにあったことは省みるべきである。仮に行程が鳳凰三山から早川尾根に入りアサヨ峰の下りをしなければいけなかったらどうだったろうか。退路があるかないかの場合突っ込むのかについて考えたい。
今回は日数が少なくエスケープの関門を設けていた特殊な山行であった。そのため隊が危険な状態にあるときにすぐエスケープが使えるようにしていた。しかし一般的な山行では退路を使う＝敗退であり、好ましい判断ではない。
そのためこれから一般にこういった危険箇所の通過で悩ましいときを想定して以下の通りに山行を練っておくべきだと考える。
・日数を多く設ける
→難所で考える時間を確保でき、熟考したうえで進退を考える
・実力評価の明確化
→今回の�”坩堕蠅�2-3m程の雪庇がついている箇所のトラバース20m、�∪稱匹両紊�10m、��支点が取れなさそうな岩稜の上り30mの3ピッチは自分の実力では無理と判断したが、具体的な根拠がなかった。
下記に各ピッチの不安要素をまとめてみた。
�＼稟澆離競ぅ詒獣�
→リード中雪庇崩壊しランナーそのものが流れる恐れがある。雪庇のザイル理解には樹林帯・雪稜での不安定な雪質でのリード経験が必要。自分には雪稜での安定した時期（5月）にしかザイル操作をしたことがなかった。
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フルザックでの雪壁上り（斜度45℃）、上部は雪が浅く支点（スノーバー）が取れなさそうだった。
�４篶任両紊�
急な岩稜斜面での支点が取れなさそうだったこと
これらの評価を現地ではっきりできるよう実力評価をしておかなければいけない。
・道具想定が甘かったこと
→スノーバー2本にザイル1(50m) は心もとない。余裕ある装備の用意が必要であると感じた。
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