火打山 縦走断念から一転の駅まで歩き


- GPS
- 32:00
- 距離
- 32.2km
- 登り
- 1,488m
- 下り
- 2,274m
コースタイム
- 山行
- 3:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 3:00
- 山行
- 9:20
- 休憩
- 0:45
- 合計
- 10:05
天候 | 晴れのち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
写真
感想
今回の山行は火打山。以前TVで見た雪が残る山容が美しく印象的で、いずれ時期を見計らって訪れたいと思っていた山でした。当初は火打山〜妙高山の予定で考えていましたが、当日風雨がひどくて縦走を断念、火打山だけのピストン登山となりました。ただ、それだけでは何となく体力的に物足りないと、地図を広げて思案の結果、ちょっと強引な帰路を選択することに…
乗り継ぎの連続の移動手段の関係で、最寄りの妙高高原駅に着いたのはお昼前。登山口のある笹ヶ峰へは季節運行のバスが7月からしか無いで、仕方なくタクシーで6千円!これもすべては残雪の景色に会うため…
よく晴れた空の下、12時半やっと登山スタート。きれいに整備された木道をのんびり進む。遊歩道の分岐からはブナ林になり、新緑がキラキラしたトンネルの中を緩やかに登って行く。
やがて、おそらく雪解け水を集めて流れる黒沢の橋を渡ると、十二曲りという名がついた急登が始まる。曲がり角には丁寧に順番がふってあり、距離が短いので順調に登って行く。たぶん12分ほどで尾根筋まで登りきる。
名前はないが、実はここから少し進んだ先の傾斜の方がしんどい。岩や木の根に時々手を掛けながら高度を上げていく。所々で視界が開け、乙見湖や高妻山(2年前に戸隠山経由で登ってヘトヘトでした)が望める。
しばらくすると斜度もゆくなり、残雪がちらほらと現れ始める。やがて富士見平の分岐に着く。この辺りの展望地からは、その名の通り目の前にそびえる黒姫山の上に富士山が見えるらしいが、いつの間にやら空には雲が増え始めていて見えず。
ここから先はきつい登りはないが、そのためか残雪の量が俄然増えてくる。所によっては雪の斜面をトラバースする形に。キックステップで踏みこめるのでアイゼンまでは必要としないが、滑らないように、踏み抜かないように慎重に進む。
やがて、右手に黒沢岳を巻くように進むと、左手に残雪を纏ったあの火打山と高地池ヒュッテが見えくる。だが、この頃には空模様はほとんど曇り。火打山の西の焼山にいたっては完全に雲を被ってしまっていて、その塊も火打山の方に流れ始めている。
歩調を早めて、登山口から3時間で三角屋根の高地池ヒュッテに到着。なんとか池越しの火打山を見逃さずに済み、ホッとする。ぽってりとしたシルエットの山容に、白い雪、ハイマツの緑、剥き出しの山肌の茶のコントラスト、やはりこの景色は絶妙に美しいと面前にして改めて思う。
本格的シーズン前と今夜から天気が崩れる予報と相まって、当日の宿泊者は自分ただ一人。小屋番さんに翌日のルートを相談する。先週実際に見てきている意見では、ピッケル+アイゼンの雪山装備でないと妙高山に向かう大倉乗越のルート(PCで写真も見せてもらう。まさに白い壁をトラバースしつつ下る感じ。)は難しいと…しかも天気も悪い。朝迷った挙句ピッケルを持ってこなかった甘い判断を悔やむ。小一時間ほど悩んでいる間に火打山も雲に隠れてしまう。
とりあえず明日の早朝に火打山に登ってから、天候の状況もみて判断をすることにする。夕食のカレー&ハヤシを食べている頃には予報通り雨が降り始める。悪化が最小限になることを祈りつつ早目に就寝。
翌朝4時半、風雨の音で目が醒める。明るくなっているが、小屋の周りは真っ白で何も見えない。午前中は雨が弱まることのない予報なので、意を決して雨装備でとにかく火打山は登ってしまうことにする。そんなに寒くないのが唯一の救い。
視界が悪い中を所々残雪を越えながら池畔の天狗の庭まで進む。群生して水芭蕉が可愛らしく咲いていて、地獄に仏のような気分になる。
やがて広い雪原に出る。視界はガスって真っ白、踏み跡は雨に溶かされ不明瞭、手探りの状態の中をGPS頼みで進む。登り自体はさして厳しくないが、視界の悪い白い斜面は大きい場所で2箇所あり、ルートを見定めるのに注意深くならざるをえないので思ったより時間がかかる。山頂直下の急坂だけ雪が雨を吸い過ぎて固く滑るのでアイゼンを装着する。
風雨が更に強まる中、なんとか山頂に到着。前日の優しい山容から想像つかない骨の折れる登頂に安堵。ハイマツの陰に隠れて雨風をしのぎながら、もしかしてライチョウが現れないかと、朝食しながら15分ほど粘ってみるが、結局は見れず、来た道をまた慎重に下って小屋に戻ることにする。
一向に弱まらない風雨にさらされて戻る道すがら、この後妙高山への縦走は無理だなと気持ちがかなり傾く。ヒュッテに戻り、温かいコーヒーを飲みながら改めて話して、笹ヶ峰へ戻ることにする。それが妥当な判断だと。山は逃げないわけですし。
小屋で20分ほど休憩した後、さっそく下山を開始する。雨水が沢のように流れている箇所もあったが、来た道を戻るので特に問題なく進める。途中あり得ない方角から人の話し声が聞こえてきてギョッとさせられたりもしたが(遭難者とかではない)こういったことは山中ではたまにある現象かと認識しているのだが、一般的にはどうなのだろうか?そんなこんなで下るうち途中で雨も止み、2時間ほどで遊歩道分岐まで戻る。
前日、最悪笹ヶ峰に戻った場合を想定して(タクシー代を浮かせることも目的だが)この先の妙高高原駅までのルートを一応考えていた。地図上では笹ヶ峰遊歩道から中部北陸自然歩道、信越高原トレイルの道を経て駅まで辿り着ける。想定時間5時間ほどだが、実際体力的にも問題ない感じだったので、こんな状況でもないと絶対にやらないことをやってみることにする。
まずはトレランでも使っているらしい遊歩道。きれいに整備されいて歩きやすい。途中ギンリョウソウの群生も見られる。次は牧場の間を抜け、中部北陸自然歩道なる道へ。発電所の脇の急坂を九十九折で一気に関川のへりまで下り、スティール製の吊橋を向こう岸(新潟と長野の県境)に渡る。先にコース案内板があるが正直なところマメに整備されている感じがしない。そこから今度は一気に急坂を登り返す。一瞬後悔するくらい厳しさに喘ぐ。登りきると林道と併用した道を電線の鉄塔に沿って進む。道すがら日差しも出てきて、すっかりレインコートも乾いてしまう。
1時間半ほど補給食を取りながらダラダラ休みなしで進むと、やがて道が下り始める。ほどなくして目の前が急に開け、行く先の川沿いの集落前方に望める。そこからはドンドン高度を下げていき、無事に人がいる杉野沢地区に達する。ホッとして発電所前に丁度あった土手のベンチでやっと休憩。
そこからは電車の時間から逆算して、信越高原トレイルの道ではなく、車道沿いのルートでショートカットする。山里を歩く左手には妙高山も見えるが山頂付近は雲の中。そして、遊歩道分岐から約5時間で妙高高原駅まで歩き倒し、目標を達成。さすがに疲労困憊気味。
今回は残念ながら運悪く予定とは大きく違う山行となりましたが、残雪の難しさを知り、本当に使われているか不安な道を確認しながら進み、なにより意固地にならず柔軟にその時々の状況に対応することを学んだ気がします。それに1日で比高1900m、約25kmを歩けたのも我ながらビックリでした。
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