寄〜同角ノ頭-檜洞丸-蛭ヶ岳〜東野(青ヶ岳山荘泊)
- GPS
- 14:50
- 距離
- 33.9km
- 登り
- 3,054m
- 下り
- 3,026m
コースタイム
- 山行
- 6:11
- 休憩
- 1:22
- 合計
- 7:33
- 山行
- 5:50
- 休憩
- 1:26
- 合計
- 7:16
天候 | ■23日=晴れ時々曇り ■24日=晴れ時々曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2018年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
■復路:東野〜橋本駅 神奈中バス(三ケ木乗換) |
コース状況/ 危険箇所等 |
☆寄〜雨山峠:来るたびに沢の様相が変わる。夏草の時期は踏み跡不明瞭な部分も。今回は若干流量が多く、渡渉に苦労した。上部の沢は夏の豪雨のおかげか流路の倒木や石が洗い流され、きれいな滑状の廊下が復活した。 ☆雨山沢:古い桟道は一部ガタが来ている。沢床を歩かされる区間もあり、注意。 ☆同角山陵:ユーシンロッジのトイレは閉鎖。ただでさえ激しい急登の登山道は玄倉林道不通で人が減ったせいか、踏み跡が一部消えかかり、倒木も多いなど荒廃が見られる。同角ノ頭山頂から先は木段などが整備されているものの、踏み段上は黒くカビ?に覆われ、ぬれた木の根のように滑る。石棚山陵の手前で踏み跡が薄れる。 ☆檜洞丸〜蛭ヶ岳:夏草が茂り、歩きにくいが問題ない。蛭ヶ岳西斜面の急登は、特に標高1500m付近の道標の下が鎖場等で難儀する。この付近はイバラが多いので注意。 ☆蛭ヶ岳〜袖平山:蛭山頂からしばらくは木段が続き、非常に歩きやすい。地蔵平付近の植林帯などでやや道が不明瞭になるが、問題ない。姫次から袖平山までは途中の小ピークを挟んで10分程度。 ☆釜立沢ルート:急坂だが、整備はよく歩きやすい。標高900m付近で沢と出合い、給水できる。大きな砂防堰堤の下が涸れ沢状になっていて、ここで右岸⇒左岸へ渡ると、ほどなく林道登山口に至る。ただし、林道歩きは長い。集落に出てからの道迷いに注意(笑)。 |
その他周辺情報 | ★青ヶ岳山荘:きれいなスカイブルーの外観に比して、内部は「昔ながらの山小屋」という雰囲気を保っているが、掃除が行き届き、布団をはじめ清潔で居心地が良い。必ず365日常駐とは言わないものの、「季節、曜日にかかわらず通年営業の小屋です」とのこと。 ★いやしの湯:3時間700円。露天はキンモクセイがいい香りだったが、屋内のかけ流しの源泉は体温並みでぬるかった。飲食も可。東野バス停からは標高差100mほど下った所で徒歩20分は見たほうがいい。ジグザグに下る車道を短絡する山道があり、3〜5分は早く着く。 |
写真
装備
個人装備 |
ヘッドランプ
予備電池
1/25000地形図
ガイド地図
コンパス
筆記具
保険証
飲料
ティッシュ
バンドエイド
タオル
携帯電話
計画書
雨具
防寒着
ストック
水筒
時計
非常食
緊急保温シート
着替え
ツェルト
ファーストエイドキット
医薬品
カメラ
GPS
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感想
連休の天気が何とか持つようなので、丹沢4つの通年営業小屋で唯一泊まっていない青ヶ岳山荘を利用し、同じく丹沢のメインルートで唯一踏破していない蛭ヶ岳〜姫次間を歩くコースを考えた。玄倉林道不通で人影の失せた同角山稜は厳しく、950mの雨山峠越えと組み合わせるのは体力的にいささか消耗したが、貸し切り状態の居心地よい山小屋で蘇生することができた。
【23日】 さらりと席が埋まったバスを終点で降りた。宇津茂公衆トイレに寄って雨山峠を目指す。前後にこのコースを歩く登山者は見えない。ヤマレコの登山届を忘れたので水源林管理棟で記入して投函し、林道終点の登山口に着いた。峠を越えてから本番の同角山稜だから、ペースを上げ過ぎないよう注意しなくてはならない。
まだ暖かいのでヤマビルの用心にスパッツを着けて出発。例によって登って降りる登山道ではなく、道標の「成長の森」方面を目指す。いささか水量が多くて渡渉場所探しに時間をかけたが、見ると正規の登山道の渡渉も似たり寄ったりの難易度だ。なぜこちらを本道にしないのだろう。
第2、第3、第4の渡渉点も水の多さに多少緊張しながら渡る。しばらく来ないうちに第3渡渉点の崖崩れは進み、沢床の様相もだいぶ変わっていた。第5渡渉点で寄沢と別れ、尾根をジグザグに登った先は寄コシバ沢。夫婦連れらしいのが大型犬を水浴びさせている。
季節がらか道端にキノコが多い。地面から顔を出したばかりのタマゴダケを見付けて掘り出してみた。夜まで持ち歩くのは無理そうなので再び地面に戻したが、一度は食べてみたいものだ。
峠が近づいて登山道が沢と同化した際、沢床が随分きれいなことに気が付いた。この夏の集中豪雨で倒木や石、土砂などが洗い流されたのではないだろうか。鉄階段で尾根を越えて隣の谷筋に移り、急斜面をトラバースする道を注意して進む。小滝のある廊下のナメは、ずっと前のような美しい状態に戻っていた。平らなナメ上を流れる水を踏んで進めばやがて谷が狭まり、鉄梯子が見えて雨山峠に至る。
峠では奥様5人が鳩首談義中だった。どうやら二つのパーティーで、一方の3人はユーシンから通行止めの玄倉林道を下るつもりだったらしい。一方の山に詳しそうなのが雨山〜檜岳ルートを薦め、自分らは鍋割山方面へ進発。残る3人は薦めに従って雨山方面へ向かったが、うち1人が「磁石は持ってるけど地図がないのよね、アハハハ」と言い残したのには苦笑せざるを得なかった。地図があっても読めないのかもしれないが、そういう方はせめて整備のいい大山か大倉尾根あたりで我慢していただきたい。
こちらはお握り一つを早弁して雨山沢の道を下る。錆びた桟道は危なっかしそうだが、昔から残っているのだから信用するしかない。ただ、木橋にぐらついているのがあってヒヤリとした。頑丈な骨組のアルミ天板桟道でようやく一安心。ほどなく雨山橋が見えて玄倉林道に合流した。
ユーシンロッジへ向かう途中、わきからの沢水を土管で流していた所に大穴が開いていた。これではがけ崩れが復旧されてもロッジまで車が入れない。玄倉川の橋の上は半分まで流入した泥に覆われ、ずぶずぶと靴が潜った。ロッジのトイレは冬からずっと板で閉ざされ、建物もどこか痛み始めている印象。この先どうなるのだろうと心配になった。
檜洞を遡行するという重装備の3人組を見送り、一人マジックパスタなどの昼食とする。日が照ると暑い。水は2Lほど持参し、途中の沢で補給したので宿まではもつだろう。40分ほど休んで出発した。
のっけから急登となる。すぐ先の東屋の所でだいぶ足に来ていることを感じた。寄から標高差650mの峠を越えてきたのが響いているようだ。急斜面と同化しつつある淡い踏み跡を辿るのも疲れる。ところどころにある倒木を避けるのも面倒だ。ようやく大石に着いて一休み。さらにひと頑張りして大石山に到着した。
絶景の山だが、あいにく今日は雲が多く、西の富士山はもちろん、蛭ヶ岳からの主稜・主脈もきれいには見えていない。休憩は呼吸を整える程度にしてザレた鎖場を下り、細かい起伏を梯子などで乗り越えながら同角ノ頭を目指した。
草生したザンザ洞キレットを渡り、最後の急坂をクリアして同角登頂。もともと林の中であまり眺望の効かない山頂だが、ガスが出始めてしまった。とはいえ、今日最大の難所に辿り着いたことでホッと一息つくことができた。
さあ、あとは最後の登り返し区間……とは言うものの、檜洞丸まで間に中沢ノ丸など2つのピークによるアップダウンがあって休まらない。ここまでに比べると整備は良い道だが、頼みの木段は踏板上が黒くなって大変滑るのには参った。あと少しで石棚山稜合流という辺りの草地では、一瞬、道形が消えて冷や汗が出た。
石棚山稜も雲が勝って眺望は今一つ。疲れて重い脚に鞭打って標高差100m余りを登り切り、誰もいない檜洞丸山頂に到着した。ユーシンからこちらでは男性1人とすれ違っただけ。ここも貸切だと思っていたら、若い男性が一人現れた。犬越路の避難小屋に泊まるのだという。こちらも予定の時間を超過しているから早く腰を上げなくてはならない。眺望は明日の天気に期待することにして、2分ほど下った先の青ヶ岳山荘に向かった。
記憶と異なり真っ青に塗られた山荘では、小屋番の高城さんが迎えてくれた。母娘で切り回す娘®さんの方で、きさくで話好きという印象。ほかに外で木材を加工している人がいたが、こちらはお客のOさんだという。もっとも、聞けば最近は毎週末に登ってきて力仕事を手伝っている超常連=準小屋番さんだった。
1961年の開業時からのものという石油ランプの照らす下で、おいしいカレーとスープの夕食をいただく。もちろんLEDライトもあり、地図を取り出したら途中でつけてくれた。Oさんは後からということで、まさに貸切状態。炭の炬燵に入り、持参のウイスキーをちびちびやりながら、小屋番の娘®さんに寡黙なOさんも交えて静かな夜の語らいを楽しんだ。
2010年に小屋に立ち寄った時と比べ、設備は同じながら整備と清掃が行き届いた感じがする。きれい好きな娘®さんが、その翌年ころから小屋番に入り始めたおかげらしい。2階の「寝室」も乾燥して温かい毛布ときれいな蒲団で快適だ。階段の右が女性、左が男性と分れて各6枚、階段の裏に2枚の計14人分の蒲団がセットされた部屋を一人で占拠して、8時半から心地よい眠りについた。
【24日】 寝心地が良すぎて寝過ごした。5時を過ぎて窓の外が明るい。蛭ヶ岳の稜線が朝焼けのシルエットになっている。あわてて服を着込んでカメラ片手に外へ出たが、既に朝焼けの色は薄れてしまった。まあ、雲が多いのではっきり日の出を拝める状況ではない。一応、靴をはいて山頂に行ってみたが、西の空はガスが巻いている。一瞬、思ったより大きい富士山が影絵のように浮かんで、再び白いガスの帳に隠れて行った。
小屋に戻ってモサモサ支度をしていると、小屋番さんが「また晴れ間が出てきたから、富士山見えるかもしれませんよ」といざなう。実は、昨日の疲れが足に残って少々おっくうだったのだが、頂上を再訪してみるとちょうど雲から富士が姿を現したところだった。何とか写真に納めたころ、再びガスの中に消えてしまった。
そんなこんなで少々遅めの7時過ぎに小屋を出発。意外に暖かいが、夜露に濡れた夏草が膝上まで繁り、スパッツを付けていてもズボンが濡れる。大きく下って金山谷乗越から神ノ川乗越へ。小さなピークを4,5回越すので消耗する。臼ヶ岳で相棒を待つ逆行の男性と言葉を交わしつつ一休みした。蛭対策をしてこなかったのに蛭ヶ岳山荘で蛭が多いと警告されたという。気休め程度だが、小分けして持参したヒルファイターを靴にスプレーしてあげた。
臼ヶ岳のあとも一つ二つピークを越し、右にそそり立つように見えてきた蛭ヶ岳を登る。ジグザグ道の上はすぐ鎖場、岩場となり、数多いイバラとアザミのとげに注意して進む。標高1500m以下の区間が結構手ごわかった。その先は急勾配ながらも普通の登山道で、一汗かいたころ丹沢最高峰の山頂に到着した。
山荘に寄って水を買う。青ヶ岳山荘で1L買ったが、薄日も出てきて暑いので用心に500CC買い足した。その後、どうも靴の中が湿っぽいので靴を脱いで大休止とした。靴下が両足ともじっとりしている。スパッツをしてはいたが汗にしては濡れ過ぎのようだ。登山靴をソール張替に出したため、モンベルのラップランドブーツというハイキングシューズで来たのだが、ゴアテックスが破れているのだろうか。
30分ほど休んで出発。あやうく丹沢山方面に下りかけて引き返し、道標に従って長い木段を辿った。新しい木段で整備は非常にいい。ただ、特別保全地区を出て植生保護があまり必要なくなったあたりで、道が少し分かりにくくなった。植林帯を都合3本の踏み跡が通っていたりする。
とはいえ、さしたる難所もないまま、以前北から来て折り返した姫次に到着。これで未踏の主脈ルートがつながった。脇道にそれて10分で袖平山に着き、本来の頂上を踏んだうえでベンチで昼食休憩とした。景色は良いが日が照りだして暑い。
いったん姫次に戻り、さあ、後は基本的に下るだけだ。なだらかな下り坂を辿り、八丁坂ノ頭分岐を過ぎると雲に入って暗くなった。宮ヶ瀬ダムが見えないのは残念だが、涼しいのはありがたい。黍殻避難小屋の手前の分岐を左に曲がり、初めての釜立沢ルートに入った。急坂でも整備が良いので歩みがはかどる。ただ、案の定、暑さで水が乏しくなってきた。「沢」のルートなのだからと我慢して下りて行くと、やがて水音がし始め、沢のほとりに出た。
沢の水をたっぷり飲んで生き返り、さらに下ると大きな堰堤があって、その直下で水が伏流した所を右岸から左岸に渡る。と思ったらじきに林道終点に出てしまった。これなら余裕をもって「いやしの湯」に立ち寄れそうだ。もっとも、この林道〜車道歩きは実に長い。途中、八丁坂ノ頭ルートを合流し、右に用水が並行するようになって、ようやく田畑が現れた。
道標はあるが、集落の道はちょっと分かりづらい。地図とスマホをにらめっこして、なんとか最短コースで見覚えある神社に至り、バス停前に着いた。前回姫次から降りた際、ビール片手に長時間休憩させてもらったいのうえ商店は健在だ。バスの時間まで2時間以上あるので予定通りいやしの湯へ向かうことにした。結構距離と標高差があり、車道は大きく迂回して下る。実は1か所短絡路があるのだが、気づかなかった。
たっぷり温泉に浸かって、しかしまた標高差100mを登らなければならない。短絡路に気づいて通ってみたが、標高差50mの山道で結構大変だった。結局、今回もいのうえ商店に寄って店内のベンチで缶ビールを飲ませてもらった。
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