竜ヶ岳〜藤原岳縦走☆赤いヒツジはいなかったが
- GPS
- 08:49
- 距離
- 21.9km
- 登り
- 1,863m
- 下り
- 1,964m
コースタイム
- 山行
- 7:40
- 休憩
- 1:09
- 合計
- 8:49
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
下山後は西藤原駅よりタクシーで宇賀渓キャンプ場に戻る |
写真
感想
本来、御在所への山行を考えていたのだが、金曜日の山行でご一緒させて頂いたdoiご夫妻とお話しするうちに竜ヶ岳の赤いヒツジを見に行くのもいいでしょうというお話を頂き、山行先を変更する。
まずは竜ヶ岳へのルートとしてはマイナーなルートだろうが、doiご夫妻のレコで拝見する尾根に広がる笹原の雰囲気がとても魅力的であり、その軌跡を踏襲させて頂くことにする。
果たして、942m峰の手前あたり、樹林の足元に熊笹が目立ち始めたと思いきや、斜面には笹原が広がるようになる。
このコースのもう一つの大きな魅力は人の少ない静けさを挙げることが出来るかもしれない。駐車場に車を停められていた方々は恐らく石榑峠からのコースを辿られたのではないだろうか。遠足尾根では二組のパーティーに出会った他には全く人に出会わない静かなコースであった。
金山尾根からのコースと合流し、1042m峰を越えるといよいよ竜ヶ岳である。笹原に疎らに散在するシロヤシオの樹が満開の花を纏った頃には白いヒツジとしてレコを賑わしていたが、シロヤシオと思しき樹々の紅葉はごく僅か。紅葉は間違いなくこの時期だと思うのだが、どうやら今年の夏から秋にかけて来襲した二つの台風21号、24号の影響でかなり葉が落ちてしまっているのでほないだろうか。竜ヶ岳山頂にたどり着くと、さすがに多くの人で賑わっている。好天に恵まれ、南は御在所岳、雨乞だけ、北には御池岳、藤原岳を望み、360度の展望が広がっている。
静ヶ岳に向かうべく分岐に戻ると、金山尾根から来られたのだろうか。数人、登ってこられる方がいる。分岐から治田峠への縦走路に入ると、いよいよ宏大な笹原とお別れである。途端に人が少ない。
トレラン・スタイルの若者二人と出会うがこの時間にここを南下するとは、果たして「どちらから登られたのですか?」と聞くと「藤原から」との応答。6時頃から登られたらしいが、それでこの時間にこのあたりを通過しているのは素晴らしいコース・タイムだ。迷いの尾根では滋賀県側についているテープに誘われて、尾根をコースアウトしたらしい。
鞍部に至ると葉が黄色く色づいた森が広がっている。いつしか二重山稜となり、小さな山稜の間に池が見える。池に映る樹々と青空の美しさに魅かれ、池の畔を歩いていると、堆積した落ち葉を踏んだ途端、ズブズブと足首あたりまで沈む。気が付いてみると両の足が泥だらけになっていた。
気を取り直して斜面を進むと静ヶ岳への分岐である。見事に三重山稜となり、正規の登山道は真ん中の尾根筋を行くようだが、右手(南側)の尾根に登り、行動食の朝食をとりつつ休憩する。
静ヶ岳の山頂は南側に見晴らしがよく、竜ヶ岳、雨乞岳に至るまで鈴鹿の中心の山々を展望することが出来る。縦走路への分岐に戻ると、縦走路は二重山稜の北側の尾根から右手に曲がっていくようだ。二重山稜の間には再び小さな池がある。今度は足を泥濘の中に沈めないように気をつけながら慎重に池の畔に近づいてみる。周囲の樹々を水面に映すには先ほどの池ほどの深さがないのだろうか、かわりに浅い池の底には沈んだばかりの木の葉が多く堆積しているのが見える。
次は銚子岳へ向かう。小さな鞍部に下り、登り返すとすぐに調子岳への分岐であった。なだらかな尾根を西に歩くと調子岳の山頂である。銚子岳への山頂からは北に展望が開けており、藤原岳と御池岳が近くに見える。銚子岳に辿り着いた時点でスタートの宇賀渓からの時間が4時間程であれば、そのまま藤原岳へ縦走することも考えていたが、ここまでの時間も丁度、4時間である。
美しい紅葉の樹林が続く。藤原岳へは治田峠にかけて大きな下りである。このあたりは全般的にテープ類は少な目であるが、尾根筋が明瞭であり、道を外れる心配は少ないように思われた。
多志田山が孫太尾根との分岐点になっている。ピークを踏まずに左手にトラバースする道もあるのだが、大した登りではないと踏んで、ピークを立ち寄っていくことにする。山頂は展望のない樹林の中の小さな広場である。既に樹々の葉が落ちているせいか林がとても明るい。山頂から北西に稜線をたどると、ついに藤原岳が大きく目の前に迫ってくる。
藤原岳の山頂に立つとこれまで歩いてきた縦走路を一望する。山頂の北側は御池岳と同様、広大な山頂台地が広がっている。
藤原山荘にたどり着くと、トイレからバケツをぶら下げて出てきた人物がいる。おそらくトイレの掃除をされておられたのだろう。「ご苦労様です」と声をかけて通り過ぎるのだが、すぐに戻ってこられる。なんと、先週、金曜日の山行でお会いしたF氏であった。御池岳においては北西稜と鞍掛橋との間の山域で国土地理院の地図の改訂のための調査を任されているとのことだったので、下山後に私が下ったコースの報告をさせて頂いたところだ。この日は地元の小学生を引率して藤原岳に登ってこられたとのこと。
F氏は小学生達を連れて下山するところだったので、我々は下山の前に藤原岳山頂から見えていた1128m峰のピークを訪ねてからF氏の後を追いかけることにする。1128m峰に向かうべく天狗岩への道を辿るが、ピークが近づくと紅葉の樹々が美しい色合いを見せているが、ピークに至る踏み跡が見当たらない。このピークを訪ねるのは雪の季節にとっておくことにして、藤原岳最高地点である天狗岩を往復してみることにする。天狗岩のピークは目の前に見えていると思ったのだが、尾根上の頭を見ているに過ぎなかった。天狗岩にようやくたどり着くと、滋賀県側に深く切れ込んだ茶屋川に沿った谷の眺望が素晴らしい。
藤原山荘に戻ると小屋の近くにはマユミの花が満開である。赤紫の花の色は紅葉の中にあってひときわ鮮やかに目につく。天狗岩で時間を費やしすぎたせいだろうか、再び藤原山荘に戻って下山路についたのはここを出てから50分も経過してしまっていた。八合目の少し下で斜面を下っているF氏達の一行が目に入る。先頭で一行を誘導するF氏と共に話をしながら下る。それまでのペースから考えるとかなりゆっくりと下っている筈なのだが、話に花が咲いているうちにいつの間にか、かなり下まで下っていた。冬季は北アルプスでアイスクライミングやナイフリッジの稜線を辿ることが多いというF氏であるが、氏の「山は歩かせて頂いているのである」という謙虚な姿勢は印象的であった。
西藤原からの三岐鉄道の本数が少なく、西藤原では次の電車まではかなりの時間を待たなければならないようなので、下山途中でタクシーを予約する。西藤原駅に呼んだタクシーの時間があるので途中で失礼させていただくが、お別れしてすぐに登山口にたどり着く。
西藤原からタクシーに乗ると、まもなく東藤原のあたりで、太平洋セメントの大規模な石灰岩の採石場を通る。この石灰岩の採石によりセメントがつくられ、コンクリート建築という恩恵を我々は享受しているのだが、この美しい山に刻み込まれた傷痕がその代償なのかと考えると複雑な気持ちになる。西藤原からは宇賀渓キャンプ場の駐車場までわずかに30分弱であり、16時前に帰り着く。駐車場に多数あった車はわずか数台を数えるばかりとなっていた。
竜ヶ岳には赤いヒツジはいなかったが、竜ヶ岳、静ヶ岳、銚子岳、藤原岳と様々な表情を見せる個性的な山々、静かな紅葉の森と鈴鹿の魅力を満喫した一日であった。
※doiご夫妻の白いヒツジのレコ
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1466740.html
yamanekoさんyamaizuさん、こんばんは。
シロヤシオは真っ赤な羊の群れのようにはいきませんでしたね。
藤原岳縦走のロングコースお疲れ様でした。
コメント有難うございます。doiさん達が歩かれていなければ、竜ヶ岳で引き返していたかと思いますので、レコに感謝です。訪れられた時にはジェイソンが出てきそうな池のあたりは新緑も美しかったのではないでしょうか。
果たして赤い羊が出てくるかどうか、来年以降に捲土重来したいと思います。
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