新穂高〜西穂高岳〜上高地
- GPS
- 08:07
- 距離
- 10.6km
- 登り
- 764m
- 下り
- 1,522m
コースタイム
- 山行
- 6:45
- 休憩
- 2:15
- 合計
- 9:00
天候 | 濃霧のち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
9:55松本発のアルピコバス高山行き→平湯温泉で濃飛バスに乗り換え→新穂高ロープウェイ |
コース状況/ 危険箇所等 |
新穂高ロープウェイ〜西穂山荘、 西穂山荘〜西穂高岳、 西穂高岳〜上高地 全てのコースにおいて、気になるような状況は見られませんでした。良く整備されています。 西穂高岳は落雷対策のため鎖はほとんどありません。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
着替え
靴
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ハイドレーション
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
カメラ
ヘルメット
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感想
まずこちらを訪ねてくださった方へ、この記録を11月初旬のデータとしては参考になさらないようお願いしたいです。それは今回の山行が、この時期の西穂としては好条件すぎたためです。
ご存じの通り、上高地は11月半ばには閉山を迎えますし、北アルプスの山小屋のほとんどが11月頭には営業を終了します(北ア南部では西穂山荘のみ通年営業です)。
つまり10月・11月は北アルプスのオン/オフシーズンの境目にあたり、その年の気候条件によって冬の訪れが前後します。
実際に西穂周辺では、今年の10月下旬に雪だるまが作れるほどの積雪が観測されましたが、11月に入り、日本全体が温かい天気に逆戻りしたため、ほとんど溶けてなくなりました。それでも私が西穂に行く前日には雨が降りましたので、「もしかしたらまた雪が積もるかもしれない。状況をみて、独標、あるいは丸山までにするか判断しよう」と考えていました。
当日としましては、1日目は濃霧で20メートル先も見えないような状況でしたが、2日目は朝から見事な晴れでした。山頂に向かう途中の8時頃までは、立派な霜柱や地面の軽い凍結などが見られました。また、日の当たらない岐阜側の岩場には、雪が凍り付いて残っている箇所もありましたが、気温が上昇したことによりそれらはほとんど溶け、西穂の岩稜は11月とは思えないほどの暖かさに包まれました。
結果的に、降雪や凍結のリスクを負わずに頂を踏むことが出来ましたが、私が下山した翌日には雪がちらついたようですし、この時期の穂高は当日のコンディションを自ら目で見て、冬の装備の必要性など判断することが大事だと感じました(天候や状況の確認は、どの山行においても基本中の基本ではありますが…)。
さて、前置きが長くなってしまい申し訳ありません。
西穂の道程については、写真のコメントに詳細を書き加えていますので、山荘の様子を載せておきます。実は、私の母が約50年まえに西穂に登った際、こちらで一泊したとのことで、いつか泊まりたいと思っていました(^_^)
<西穂山荘について>
本館と、連絡通路にてつながっている別館がありますが、私が宿泊した日は小屋泊が15人ほどでしたので、食事・宿泊ともに別館のみの使用だったようです。テン泊は5張ほどでした。
洗面所は本館のみです(ただし冬は凍結のため、水はでません)。本館には図書室もあり、山の雑誌や小説、マンガなど充実していました。図書室の近くに充電スペースもあります。宿泊者の記録ノートも置かれており、登山者それぞれが、様々な想いを抱えて訪れているのだと感じました(私は下山後に書こうと思っていましたが、時間の制約上断念)。
夕飯は18時、朝食は6時ですが、季節によって変動すると思います。朝食はお弁当に変更可で、夕食時に受け取る形式です。
別館のレストハウスでは、宿泊者のみガス等を使用して調理できるので、是非早めに着いて酒盛りすることをオススメします(^ ^)
窓から見える景色は絶景ですよ!
寝床は畳の部屋で、6畳くらいのスペースに布団4つでした。この日は空いていたので、私と同行者の2人だけで広々使うことが出来ました。他の部屋も、グループごとに個室状態で使えていたのではないかと思います。
各部屋を出てすぐの廊下に棚がありますので、ザック等はそこに置いておきます。
スタッフさんたちは、みなさん穏やかで落ち着いた方々でした。
またお世話になりたい山小屋です。
<感想>
上高地や涸沢から眺めては憧れていた穂高連峰。その第一歩として、今回西穂に挑戦しました。
実はここまでの岩稜歩きははじめてでしたし、雪も気になっていたので、「引き返す勇気」を忘れずに行こうと同行者と決めていました。
当日は天気に恵まれ、独標から続く道を覗き込んで、「行こう!」と決断。
それでも岐阜側から10メートル前後の風が吹き付けてくるたび足は止まり、気持ちが怯むことも。
「風に煽られて、バランスを崩したら真っ逆さまだ…」
そんな気持ちを自ら戒め、
「いや、絶対に山頂を踏んで、そして絶対に生きて帰るんだ!」
「そして西穂ラーメンを食べる!」
と奮い立たせます。
だって西穂ラーメン、14時までなんですもの。東京から公共交通機関で来たら、日帰りじゃ食べられないんですもの…(・_・)
などと自問自答している間にも、いくつものピークを超えていきます。
比較的大きい4峰を超えるころには、風も収まり、いよいよ山頂が目の前に。
山頂直下のスラブ状の岩では、慎重に三点確保で進みました。私たちの後ろにはおじさまが1人と、まったく混雑のない状況だったので、「ゆっくり自分のペースでどうぞ」とのおじさまの言葉のとおり、集中して手と足を掛けて行きます。
気付いたときには「主峰」の文字が目の前に!
360度パノラマの大絶景と、温かい日差し、心地よい風に抱かれたひとときをすごしました。
そしてそんな絶好の環境のなか、好物のナイススティックをいただきます。金曜日に近所のスーパーでラス1だったナイススティック。一緒に来てくれてありがとう、君、相変わらず旨いよ…。
そう広くない山頂でしたが、当時はおじさま、カップル(ご夫婦?)、私たちの3組5人だけでしたので、各々ゆったりとスペースをとることができました。
下山のタイミングが全員同じでしたので、1番遅いであろう私たちは先をお譲りし、最後に発つことにしました。
さて、先程よじよじと登ってきた岩を下りますが…さっそく同行者が「足をどこに置いたらいいのかわからない!」と焦り。しかし上にいる私からも何も見えないほど斜度がきつい…。立ち往生している私たちを見かねて、先におりたカップルの男性が引き返して、「そこに足を掛けて」「そこから一旦右に移動してね」と文字通り手取り足取りアドバイスをくださいました。
もしこのお兄さんが先を歩いていなかったら、下手すると谷底へ真っ逆さまでした…。この点は今回最も反省すべきところで、登りで一心不乱に進むのではなく、帰りのことを踏まえてある程度岩のどの位置を通っていくか、記憶しながら進まなければならなかったと思いました。今後の課題です。
独標までは、再びいくつものピークを越えていきますので、あまり降りという感覚はありません。ただ、独標を過ぎると徐々に下降していきますし、ロープウェイが動き出して独標までチャレンジに来る方々も増えますので、すれ違いや落石に十分注意して歩きました。
少しずつ近づいてくる西穂山荘や焼岳。花のシーズンの丸山も歩いてみたいなぁ、なんて思いながら、無事に山荘に到着。
生きて帰ってこれた喜びと西穂ラーメンが染みました。
帰りは、上高地へ降ります。岩稜歩きの緊張から解き放たれたのもつかの間、こんどはひたすら降り、降り…。それでも、心地よい木漏れ日を歩く歓びを感じながら、上高地からの景色を楽しみに進みました。
上高地は、すでに晩秋。猿が数匹集まり、暖め合っていました。
数日後には上高地も閉山。長く、静かな冬を迎えます。
今回、帰宅してからずっと考えていたことがあります。
「山道を歩くこと」と「無事に下山すること」についてです。
これは、帰宅後に夫(登山は初心者、運動は得意なほう)から「西穂って、俺でも歩けそうなところだった?」という問いかけがあったからです。
うーん…。西穂の岩場は、最新の注意を払っていれば、初心者でも歩けないことはない。現に、ガイド本によっては西穂は北アルプスの初心者デビューとして取り上げられたりもしている。
でも。
疲れていない状態で、好天候のなか、ポン、とその場に下ろされたら、「歩ける」かもしれない。しかし、実際は、前日に山荘まで10キロ背負ってきて、夜中は何故か数時間置きに目が覚め、5時には起床する。テン泊だったら朝はもっと早いかもしれない。
そういったコンディションの中で、
・天候を読んだウェアの判断(めんどくさがらずに臨機応変に脱ぎ着できるか)
・マーカーや浮き石の判断(落石を起こせば他人にも迷惑がかかる)
・自分に適した速度で進む(周りのペースに流されない、焦らない)
・休憩のタイミング(めんどくさがってシャリバテしてからでは遅い)
などあらゆる事象にアンテナを張り巡らせながら進まなければなりません。
このようなテーマは、ガイド本でもわかりやすくマニュアル化されているけれども、結局は何度も山を歩いて自分自身で感覚を磨いていくしかないと思うんです。
どんな上級者と一緒に歩いても、汗のかき方なんて人それぞれですから。
だから、初心者の夫は西穂の岩稜を「歩ける」けれども「無事に下山できる」かは別問題だなと思ったのです。
己の感覚を磨き続ける。
都心住まいの私が北アルプスなどに行けるのは、時間的にも金銭的にも年に数回あるかないかです。ですが、日頃の低山歩きでも山歩きの感覚を磨くことはできるし、反対に低山でも舐めたら遭難だってする。
どんな山でも、感覚を研ぎ澄ます訓練を忘れずに。西穂登頂は、今後の登山に対する意識を変えられる、良い経験となりました。
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