唐松岳 残雪期登山に思うこと
- GPS
- 05:18
- 距離
- 9.8km
- 登り
- 955m
- 下り
- 953m
コースタイム
- 山行
- 3:54
- 休憩
- 1:16
- 合計
- 5:10
天候 | くもり時々はれ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
アルペンライン往復2900円 7時よりチケット販売開始して7時半運行開始でした。 チケット購入の際に記入済みの登山届けをチケット窓口に提出します。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所は特にありませんが、強いて言うなら頂上山荘に出る手前の細尾根付近とトラバース付近。よろけたりつまずいたら危ないです。 実際その細尾根付近の崖下5mほどで、意識の無さそうな遭難者を頂上山荘の方がロープで確保作業されてました。残念ながら亡くなられたようです。 |
その他周辺情報 | 八方の湯800円 白馬駅前藤屋 カツ丼がめっちゃうまいっす。 |
写真
感想
前日に降雪した北アルプス。
白馬岳大雪渓ルートで登り、栂池に下りるプランが第一希望だった。
前日に雪が降ったようなので、サブプランで唐松岳ピストンも考えていて、二通りの登山届けを記入して夜中の2時半に自宅出発。安曇野インターを下りて、山の降雪状況を見てから決めようと思っていた。
夜が明けた5時過ぎ、安曇野インターから、常念から白馬方面まで雪化粧の素晴らしい山々が見渡せた。
何度も何度も今日登りたい白馬岳〜小蓮華山方面の稜線を見渡す。
降雪直後の沢(雪渓)歩きはやっぱり雪崩が怖いなぁ・・どうなんだろう、そんなに降ってないかもしれないし、大丈夫かもしれない・・歩きたいなぁ大雪渓。
自宅から約300キロ近く走ってきて、GWで天気も良い。白馬大池への稜線歩きもさぞ素晴らしいだろうなぁ・・。
白馬方面へ車を走らせながら、雪化粧の山々を何度も見ながら自問自答を繰り返す。
春山の降雪直後→雪崩の可能性が高い→沢歩きは尚危ない→やっぱり尾根歩きだな・・てな判断で、グーグルナビの行き先を、猿倉から八方アルペンラインに変更した。気は楽になったけど、天気も良さそうだし退屈な雪尾根歩きになりそうで、自分自身で下した判断に少し不満気でアルペンラインのチケットの列に並んだ。
何度か夏山で八方尾根〜唐松岳は歩いているので、風と濃霧さえ無ければ安全なのはわかっている。
だだっ広い雪原をゆったり歩き、八方池の辺りでちょっと早いかな、なんて思いつつもアイゼンを装着しピッケルを持った。
横には白馬の稜線がずっと見えている。大雪渓は見えない。
どうだったんだろう、大雪渓はたくさん歩いているのかな・・なんて思いながら何度も白馬岳方面を見ていた。
丸山を過ぎ、もう少しで山荘かな、なんて思い細尾根を通りすぎる手前で、崖下5mほどの岩場に人が見えた。
(この先は遭難救助現場の様子をちょっとリアルに書いてますので、気を悪くされるかもなんで自己責任で読んでください。)
救助者は岩にロープを巻いて支点を取って、おそらく懸垂で下り、横たわっている人を確保している様子。はじめは訓練でもしてるのかな・・なんて思っていると、いやこんな危険な場所で訓練をするはずない、これはリアルに遭難者の救助作業だと悟る。
救助者はお一人、横たわっている遭難者は動かない。俺の30mほど前を歩いている登山者も足を止めて見ている。この山頂手前の風も無い静かな雪道に俺を含め4人だけ。
救助者(おそらく頂上山荘の方)は黙々と遭難者の体とザックをこれ以上崖下に落ちないように確保している。確保後、県警のヘリを待つのだろう。
見てはいけないのかな・・いや見ておいた方がいいのかな・・そんなことを思いながら救助の様子をしばらく見てしまった。
遭難者の両足にはグリベルのアイゼンがしっかり付いていた。確保作業の間、遭難者はピクリとも動かない。意識が無いのは表情と体勢を見てもわかった。
しばし作業を見守った後、重い重い気分になりつつ、いろんなことを考えながら俺は山頂へ向けてまた歩き始めた。
程なくして山頂へ。
雪をまとった剣岳が素晴らしかった。日本海〜能登半島もしっかり見渡せた。
富士山も、八ヶ岳も南アルプスも全部見える。
持参したおにぎりとドーナツを、風もないこの北アルプスの穏やかな残雪の山頂でゆっくり腰を下ろしてほお張った。
なんとも重苦しい気分だ。
下山を始めると、山荘の上のへリポートからハンドメガホン持った女性がヘリが来るから安全な場所で座って待機してくれとアナウンスしている。
俺はヘリポートの石垣の影に隠れるように言われ、ヘリが来るのをしばらく待った。
10分ほど上空を旋回したあと、遭難現場のすぐ上でホバーリングして遭難者を引き上げてふもとへ飛んでいった。
目の前で県警の方々、ものすごい仕事してる、命がけで。本当に尊敬します。
山の遭難事故の際、ヘリや警察などで捜索や救助があるとよく言われるのが、そんな危ないところ行ってるんだから自業自得だ、救助なんて税金のムダ使いだ、救助隊も命がけなんだ、遭難者に救助費用を請求しろとかいろいろ登山はバッシングされます。
確かに危ないことしてます。アウトドアを全くしない読書家などのインドア派の方々からしてみたらそんな風に言いたくなるかもしれません。
気象判断、自分の技量をちゃんと考えて登る山を決める。
そして必ず生きて家族の元に帰るという強い意志と意識を持つ。
どんな遊びでもその作業とリスクは同じだと思う。
ゴルフでも釣りでも草野球でもサッカーでも。
生きて家に帰ってきてるので、俺の今朝の判断は間違ってなかったんだ。
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